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人材確保等支援助成金の6つのコースとは?支給要件と支給金額を解説!

社会保険労務士 西岡秀泰
人材確保等支援助成金の6つのコースとは?支給要件と支給金額を解説!

平成30年度に、職場定着支援助成金と人事評価改善等助成金、建設労働者確保育成助成金の一部コースが、「人材確保等支援助成金」に整理・統合され、雇用管理の改善と生産性の向上に対する助成金が一本化されました。

今回の記事では、「人材確保等支援助成金」の6つのコースについて、内容や支給要件、支給金額について解説します。

人材確保等支援助成金とは

人材確保等支援助成金とは、事業主等の雇用管理改善、生産性向上等の取組みへの支援を通じて、従業員の職場定着の促進を図ることを目的としたものです。

人材確保等支援助成金の6つのコース

人材確保等支援助成金には、下記の6つのコースがあります。

・雇用管理制度助成コース
・介護福祉機器助成コース
・介護・保育労働者雇用管理制度助成コース
・中小企業団体助成コース
・人事評価改善等助成コース
・設備改善等支援コース

人材確保等支援助成金の特長

人材確保等支援助成金の特長は下記の通りです。

助成の対象は、離職率の抑制や生産性向上にむけた雇用管理制度の改善や設備投資
生産性要件(原則、生産性が6%以上アップ)を満たした場合に加算あり
雇用管理制度の改善や設備投資だけでは助成が受けられないコースあり(離職率ダウン、生産性アップ、賃金アップが支給要件または加算要件)

雇用管理制度助成コース

雇用管理制度助成コースは、事業主が新たに雇用管理制度の導入・実施を行い、従業員の離職率の低下が図られた場合に支給されます。

対象となる雇用管理制度

対象となる雇用管理制度は下記の5つです。

・評価・処遇制度(評価基準、昇進・昇格基準、 賃金制度、各手当制度など)
・研修制度(職務の遂行に必要な知識、スキル、能力の付与を目的とした研修)
・健康づくり制度(法定の健康診断に加えがん検診などを導入)
・メンター制度(指導・相談役となる先輩(メンター)が後輩(メンティ)をサポートする制度)
・短時間正社員制度(保育事業主のみ)

支給要件と支給金額

支給要件と支給金額は下記の通りです。

【支給要件】
・雇用管理制度整備計画を作成し、労働局長の認定を受けること
・認定された雇用管理制度整備計画に基づき、制度を導入し実施すること
・離職率を目標値以上に低下させること など

【支給金額】
・目標達成助成(離職率目標の達成)    :57万円
・(離職率目標と生産性要件を達成した場合):72万円

介護福祉機器助成コース

介護福祉機器助成コースとは、介護事業主が介護労働者の身体的負担を軽減するため新たに介護福祉機器を導入し、 労働環境が改善した場合に機器導入費用を助成するものです。

対象となる介護福祉機器

対象となる介護福祉機器は、下記のうち10万円以上のものです。

・移動・昇降用リフト
・装着型移乗介助機器
・自動車用車いすリフト
・エアーマット
・特殊浴槽
・ストレッチャー

支給要件と支給金額

支給要件と支給金額は下記の通りです。

【支給要件】
・介護福祉機器の導入・運用計画を作成し、労働局長の認定を受けること
・認定された導入・運用計画に基づき機器を導入し、 介護労働者の雇用管理改善に努めること
・雇用管理責任者を選任していること

【支給金額】
・機器導入助成              :導入費用の25%(上限150万円)
・目標達成助成(離職率目標の達成)  :導入費用の20%(上限150万円)
・(離職率目標と生産性要件を達成した場合):導入費用の35%(上限150万円)

介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

介護・保育労働者雇用管理制度助成コースとは、介護事業主または保育事業主が、介護労働者または保育労働者が職場へ定着するために賃金制度の整備行った場合に制度整備費用を助成するものです。

支給要件と支給金額

支給要件と支給金額は下記の通りです。

【支給要件】
・介護・保育賃金制度整備計画を作成し、労働局長の認定を受けること
・認定された介護・保育賃金制度整備計画に基づき、制度を整備し、 かつ全ての介護/保育労働者に実施すること

【支給金額】
・制度整備助成               :50万円
・目標達成助成(離職率目標の達成)(1回目):57万円(72万円)
・目標達成助成(離職率目標の達成)(2回目):85.5万円(108万円)
※()内は、離職率目標と生産性要件を達成した場合の金額
※計画期間が1年の助成金ですが、目標達成助成は計画終了1年経過後に1回目、3年経過後に2回目が支給されます。

支給要件と支給金額

中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コースとは、中小企業者を構成員とする事業協同組合などが、傘下の事業者の人材確保や従業員の職場定着を支援するために一定の事業(中小企業労働環境向上事業)を行った場合、その費用の3分の2を助成するものです。

支給要件と支給金額

支給要件と支給金額は下記の通りです。

【支給要件】
・中小企業労働環境向上事業実施計画を作成し、労働局長の認定を受けること
・中小企業労働環境向上事業実施計画書に基づいた事業の実施

【支給金額】
・支給金額は事業の実施に要した費用の3分の2の額
   ※支給額の上限は組合規模に応じ600万円から1,000万円

人事評価改善等助成コース

人事評価改善等助成コースとは、事業主が生産性向上のための能力評価を含む人事評価制度と2%以上の賃金のアップを含む賃金制度を整備し、実施した場合に制度整備費用を助成するものです。

支給要件と支給金額

支給要件と支給金額は下記の通りです。

【支給要件】
・人事評価制度等整備計画を作成し、労働局長の認定を受けること
・認定された人事評価制度等整備計画に基づき、整備し実施すること

【支給金額】
・制度整備助成(賃金アップが要件)    :50万円
・目標達成助成(生産性アップ、離職率低下):80万円

設備改善等支援コース

設備改善等支援コースとは、生産性向上のための設備等への投資を通じて生産性向上、雇用管理改善(賃金アップ等)を図る事業主に対して設備導入費用などを助成するものです。

設備改善等支援コースには、1年以内の目標達成を支給要件とする「1年タイプ」と、3年間毎年の目標達成を支給要件とする「3年タイプ」があります。「1年タイプ」は設備導入費用が175万円以上1,000万円未満、 中小企業のみが対象で、「3年タイプ」と比較して設備導入費が少額になります。以下では「1年タイプ」について解説します。

支給要件と支給金額

「1年タイプ」の支給要件と支給金額は下記の通りです。

【支給要件①計画達成助成:1年目の目標達成状況により支給】
・雇用管理改善計画を作成し、労働局長の認定を受けること
・認定された雇用管理改善計画に基づき、設備等の導入及び対象労働者へ雇用管理改善(賃金アップ2%以上)を実施すること

【支給要件②上乗せ助成:2年目の実績により支給】
・引き続き生産性向上に資する設備等を活用していること
・雇用管理改善計画終了1年目の平均賃金が、雇用管理改善計画期間の平均賃
金から引き下げられていないこと
・賃金アップの目標要件(6%以上)を達成していること
・「生産性要件」の目標要件(6%以上)を達成していること

【支給金額】
・計画達成助成(1年目の目標達成状況):50万円
・上乗せ助成(2年目の実績)     :80万円

計画期間は1年の助成金ですが、翌年も改善してれば上乗せ助成される仕組みです。

まとめ

人材確保等支援助成金は、雇用管理制度や人事評価制度の改善と設備投資を行う企業などにに対する助成金です。

助成金(または加算)を受けるには、制度や設備などの導入計画を立て労働局長の認定を得たうえで計画を実施するのは当然ですが、離職率ダウンや生産性アップ、賃金アップなどの目標を達成する必要があります。

綿密な事前計画、計画終了後の結果報告、目標の達成などが求められますので、助成金目当ての安易な申請は避けましょう。

この記事を書いたライター

生命保険会社に25年勤務の後、西岡社会保険労務士事務所を開設。保有資格は社会保険労務士資格、ファイナンシャルプランナー2級、生損保各種販売資格。得意分野は人事・労務、金融全般、生命保険、公的年金。
カテゴリ:コラム・学び

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