ファンド経理という言葉をご存知でしょうか。経理職をされている方やファンドで働かれている方については聞いたことがある方も少なくないでしょうが、一般的にはあまり馴染みがない言葉であると言えるかもしれません。そこで今回は、ファンド経理の概要およびファンド経理経験後のキャリアなどについて解説していきます。
「ファンド」という言葉は元々「基金」を意味する言葉ですが、日本では多くの場合、資産運用のための金融商品やそういった商品を運用する会社を表す言葉として使われています。ファンド経理はそういったファンドに関する経理業務を表す言葉です。
ファンドでの業務には、「バックオフィス」と呼ばれる業務と、「フロント」と呼ばれる業務があります。「バックオフィス」は一般企業でいう管理業務の事です。一方、「フロント」は一般企業でいう営業のイメージです。もちろん、ファンド経理は「バックオフィス」の一つです。
このファンド経理には以下のような特徴があります。
ファンドは仕組みそのものがとても専門的です。そのため、必然的に、ファンド経理も専門的な業務になります。特にファンドの収益分析などの業務はファンドそのものについて深く理解していないとできない業務であると言えます。また、ファンドにはファンド特有の会計基準も存在しているため、そういった意味でもファンド経理は非常に専門的であると言えます。
一般企業には社会貢献など金銭以外の目的を持つ場合が多いのに対し、ファンドは資金を集めて利益をあげること自体が大きな目的であるため、ファンドは利益に対して非常にシビアです。その分、バックオフィスに対するプレッシャーも非常に大きいため、ファンド経理はハードな職種です。一方そのことを反映して、年収のレンジは、ファンド以外の業界と比して高いことが多いです。
ファンド経理では、一般的には、以下のような業務を行います。
ファンドは投資家から出資を受けて、その出資金をもとに収益をあげます。ファンドの収益計算はその収益を計算する業務です。この収益を元に投資家への分配金も決まります。
ファンドでも一般企業と同じように決算月には決算を組みます。その決算に関する会計業務もファンド経理の業務の一つです。
ファンドには収益性などについて投資家に報告する義務があります。その報告資料などの作成もファンド経理の業務の一部です。
ファンドにまつわる現金の動きについて分析を行います。
ファンドに関連する費用の分析を行います。
ファンドについても利益をあげれば課税関係が発生します。その税金申告を行います。
ファンドのストラクチャーによって、法律で義務付けられている法定監査を受けなければならないか否かが決まります。また法的な義務はなくとも監査を受ける任意監査も存在します。
会計監査を行う監査法人に対する対応もファンド経理の業務の一部です。
ここではファンドの種類について見ていきましょう。
株主総会における議決権行使などを積極的に行う、いわゆる「物言う株主」のことです。
ベンチャー企業に投資を行うファンドです。ベンチャーキャピタルファンドでは、ベンチャー企業の株式上場支援などを行い、株式上場後に株式を転売し利益を得たりします。
事業会社、未公開会社などに投資し、企業価値を高め、企業を転売したりや高値になった株式を売却するファンドのことです。
業績不振企業などの再生を行い、企業価値を高め、企業を転売したりや高値になった株式を売却するファンドのことです。
集めた資金を不動産に投資し、家賃収入や売却益などで得た収益を出資者に分配するファンドのことです。
ファンドオブファンズは投資ファンドを投資対象とするファンドのことです。
ここまで、ファンド経理の概要およびファンド経理経験後のキャリアなどについて見てきましたがいかがでしたでしょうか。ファンド経理は非常にハードな業務であることも否めませんが、その分、専門性が高くやりがいも大きいと言えるでしょう。またそうであるからこそ、給料面では恵まれていることも多いと言えます。
興味のある方は是非ファンド経理にチャレンジしてみてください。