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資格取得ならどっち?税理士と社労士の仕事内容と試験難易度

HUPRO 編集部
資格取得ならどっち?税理士と社労士の仕事内容と試験難易度

税理士と社会保険労務士(社労士)は、どちらも国家資格です。資格取得のための難易度も違いますので、並行して受験することは困難です。一方で時期を分けてどちらの資格も取得し、ダブルライセンスで活躍する人もいます。今回は税理士と社労士の違いについて、仕事内容から試験まで幅広く解説していきます。

税理士と社労士の仕事内容と違い

⑴税理士は確定申告などの書類を代理で作成するのが仕事

税理士の主な仕事は、確定申告の申告書作成です。税理士資格は、税務署が管轄する税金の書類作成を一手に引き受けることが可能ですので、幅広い税務知識が必要となります。

<税理士が扱う主な税金の種類>

・法人税
・所得税
・相続税
・印紙税
・源泉所得税

また、税理士業務は独占業務です。独占業務とは、その資格を有している人だけが行える業務です。税理士資格がない人が申告書の代理作成をすることができませ。なので、税理士資格を持っているだけで市場での需要は跳ね上がり、人材価値が一変します。

⑵社労士は労働・社会保険関係の書類作成をするのが仕事

社会保険労務士の主な業務は、労働者が関係する労働・社会保険に関係する仕事です。

<社労士の仕事内容>

・書類等の作成代行
・書類等提出代行
・個別労働関係紛争の解決手続の代理
・労務管理や労働保険・社会保険に関する相談等

作成する書類は、労災や傷病手当、出産手当手続きから、年金に関する手続きも請け負うことができます。また、社労士の業務も独占業務ですので、社労士資格の有無で市場価値が変わり、取得をしていて損が無い資格といえます。

税理士と社労士業務を兼業するメリット

税理士と社会保険労務士は別々の国家資格ですが、親和性の高い資格です。
一度に両方の資格を取得することは困難ですが、タイミングをずらして取得する価値のある資格です。実際、個人事業主でも、税理士・社労士資格の双方を取得している人もいますので、兼業は市場価値を高めるための選択肢となっています。

⑴企業の依頼を一手に引き受けることができる

税理士と社労士が扱っている業務は異なりますが、企業にとっては同じ行政に提出する書類の作成です。提出書類によって、依頼先が変わるのは企業にとっては手間になりますし、連絡等が時間も無駄になります。

しかし、税理士と社労士どちらも有している事務所であれば、企業は申請書類を一任することが可能です。企業にとっては、申請する書類ごとに依頼先を変える必要がありませんし、仕事を受ける側としては2倍の仕事を請け負うことができるので、WinWinの関係となります。

⑵税理士と社労士資格を活用して長期的な顧問契約を結べる

士業といえども、単発の仕事だけで生活をすることはできませんので、企業との顧問契約を行うことが重要です。顧問契約を結べるのは、継続的に事業を行っている会社や個人です。会社を運営すれば確定申告は毎年必要ですし、社員の流動性が高ければ、厚労省に申請する書類も多くなります。税理士や社労士のみの業務なら、顧問先を変更することもあります。
しかし、税理士業務と社労士業務の双方を一度に変更するのは、企業側にとってもリスクです。そのため、双方の業務を担っていると長期的に顧問契約継続しやすくなることがあります。

税理士と社労士はどちらの試験が難しいのか

税理士と社会保険労務士は、どちらとも国家試験であり、難関資格です。ただ、試験範囲や難易度には差があり、一般的には税理士試験の方が合格が難しいとされています。

⑴ 税理士試験は5科目を合格する必要がある

税理士試験は2種類に分類され、2種類の合計5科目に合格すると、税理士資格取得となります。

<税理士試験の種類>
・会計学(2科目)
・税法(3科目)

会計学の試験は、簿記論及び財務諸表論の2科目です。
会計学は税法ではありませんが、確定申告書を作成する上で必要不可欠な、簿記と財務諸表が試験科目となります。
一方、税法は選択制で、税法の中から3科目を選択して受験します。

<税法の種類>
・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法又は酒税法
・国税徴収法
・住民税又は事業税
・固定資産税

税法科目のうち、所得税法又は法人税法のいずれかは必ず選択しなければなりません。税理士試験は年1回で、合格基準点は各科目とも満点の60%です。合格科目が、会計学に属する科目2科目及び、税法に属する科目3科目の合計5科目に達したとき、税理士試験の合格者となります。

税理士試験は5科目に合格する必要がありますが、1回の試験で5科目に合格する必要はありません。1度合格した科目は再度受験不要ですので、数年間かけて5科目合格を目指す人が多いのが特徴です。

⑵ 社労士は合格率1桁の難関国家資格試験

社会保険労務士の試験は年1回であり、税理士試験と同様に難易度は高いです。
平成30年の受験者は49,852人いましたが、合格者は2,413人と、僅か4.8%の難関試験です。合格率が低い理由の一つとして、社労士が扱う法律の範囲が広いことが挙げられます。

平成30年度の合格基準は、次の2つの条件を満たした場合です。
①択一式試験
総得点45点以上かつ各科目4点以上である者
②選択式試験
総得点23点以上かつ各科目3点以上である者
(ただし、「社会保険に関する一般常識」及び「国民年金法」は2点以上)

択一式試験及び選択式試験とも合格率が60%となっておりますが、個別に合格点が定めてある科目あります。

税理士試験は難しいが社会的価値が高い資格である

税理士試験と社会保険労務士試験を比較した場合、税理士試験の科目合格率は15%前後、社労士試験の合格率は5%前後と、社労士試験の方が合格率は低いです。
しかし、税理士試験は5科目に合格する必要がありますので、合格までに時間を要するのは税理士試験だと言えます。また、資格取得以後を考えた場合、一般的には税理士の方が社会保険労務士よりも仕事の依頼があると言われてます。

社労士の仕事は、人を雇う又は退職する際に必要となる書類を作成することです。大企業であれば需要が高い業種ですが、社員の流動性が少ない会社や個人事業の人が継続して依頼することが少ない業種でもあります。

一方、税理士が専門とする確定申告の作成は、毎年必ず行う必要があります。確定申告は年間の収支の決算状況を把握する必要がありますし、節税相談なども請け負うことになります。どちらの資格も難易度が高い資格ですが、所有してるだけで市場価値が上がりますので、取得する価値のある資格と言えます。

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