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公認会計士の資格を持つSmartHRのCFO玉木さんに聞いた!クリエイティブなコーポレート部門とは一体?

HUPRO 編集部
公認会計士の資格を持つSmartHRのCFO玉木さんに聞いた!クリエイティブなコーポレート部門とは一体?

「テクノロジーと創意工夫で社会構造をハックする」を会社のビジョンとし、企業が行う社会保険・労働保険の手続きや年末調整など人事労務の業務を、かんたん、シンプルにするクラウド型ソフトウェア、「SmartHR」を開発する、株式会社SmartHR(以下SmartHR)にてCFO(最高財務責任者)を務める玉木諒さん。玉木さんが2017年10月にSmartHRに入社されてから、6ヶ月。玉木さんはどのような思いをもってSmartHRに転職したのか。また、どのような思いでCFOとしてのお仕事をされているのかに迫りました!

SmartHRに参画されるまでの経歴について

〜SmartHR参画の決め手は何でもオープンにしてくれる雰囲気が一番肌に合うと感じたから〜

−こんにちは。今日はCFOインタビューを受けて頂きありがとうございます。
早速ですが、玉木さんがSmartHRに入社されるまでの経歴について伺えればと思います。玉木さんは公認会計士としてあらた監査法人にてファーストキャリアをスタートされていますね。ファーストキャリアとして公認会計士を選んだ理由は何かあったのでしょうか?

玉木さん(以下、玉木):正直に言ってしまうと、特別な理由はなかったんですよね。大学の生協の資格掲示板で目に留まったことがきっかけでした。大学在学中に公認会計士の資格を取得したのですが、学部は文学部で会計とは全く関係ありませんでしたし、家族や友人に公認会計士がいるわけでもありません。ただ、周囲が難関企業に就職していく中で、自分自身も「難しいチャレンジをしてみたい」という考えがありました。

−あらた監査法人にて、監査業務などに従事された後は、2つの会社を経験されていますが、2社ではどのようなことをされていたのでしょうか?

玉木:2社目では中小企業の事業再生をメインとしたコンサルティング業務を行っていました。事業再生という性質上、ネガティブな案件も多かったのですが、会社にとって本当に必要な事業を見極める力が身についたと思います。また、3社目ではシードスタートアップに特化した投資・支援をしているVCに入りました。自社や自社で運営するファンド自体のファイナンス業務、コントローラー業務のようなCFO的な役割も担いましたが、シードスタートアップに特化したVCということもあり、投資先の多くが数名規模のシード期のベンチャー企業だったので、CFOがまだいない投資先の資金調達の支援なども担っていました。振り返ってみると、これまでの3社での仕事を通して、企業のあらゆるステージに関わることができました。

−その後、今お勤めであるSmartHRに入社されたんですね。今までの事業会社に対してアドバイスする立場から実際に事業を行っていくベンチャー企業への転身だったと思うのですが、具体的に何か心境の変化等はあったのでしょうか?

玉木:先ほど少しお話したように、企業のあらゆるステージに携わった経験を踏まえて、実際に事業が成長していく過程が最も面白い、そしてその過程をコンサルタントやVCという立場ではなく、もっと近くで見てみたいと思い、ベンチャー企業に行きたいと考えるようになりました。その中でも、SmartHRはとにかく自分に一番肌が合うと思いました。というのも、まだ入社前にもかかわらず、SmartHRの色んな人に会う機会がありましたし、かなり詳細な社内の情報まで教えてもらいました。とにかくオープンなマインドで世の中をハックしていくSmartHRの社風に惹かれ、入社を決意しました。

CFOとしてのお仕事や考えについて

〜「クリエイティブなコーポレート部門」を作ることがCFOとしての目標〜

戦略的スキームSPVを活用した15億円の資金調達 記者発表会の様子

−実際に入社されてからのCFOとしてのお仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?

玉木:いわゆるCFOの担当と言われているファイナンスの業務だけでなく、コーポレート部門の業務を全般的にやっています。ファイナンスの業務でいえば、今年1月に発表したシリーズBの資金調達を無事クローズしたばかりです。管理業務全般の仕事としては、会社の規模が大きくなってきているこの時期に、しっかりと会社の基盤を作るためにも、会社の文化や社風を失われないような仕組みやルールづくりを行い、実際にその仕組みが上手く機能するかどうか検証しながら業務を行っています。

−玉木さん自身は、どのようなCFOを目指していらっしゃるでしょうか?

玉木:個人的には、特段こだわりもありませんし、こう目立ちたいということもありません。一方で、バックオフィス系の業務を効率化するサービスを提供している企業のバックオフィスとなると、それ自体が会社の評判やブランドの一つにもなり得ると考えています。
その上で、CFOとしてどのようなことを成し遂げたいかという意味では、ビジネスが上手く成長していくような会社の仕組みづくりをしっかりと行っていくことと、クリエイティブなコーポレート部門を作っていくことです。

−今、お話に出た「クリエイティブなコーポレート部門」ってどのようなものなのでしょうか?

玉木:これはSmartHRというサービスで実現しようとしていることにもつながるのですが、企業のバックオフィスに従事していると、どうしても定型的な事務作業やルーティンワークに忙殺されてしまうということが多いと感じています。人事でいえば、労務や給与の書類作成や手続き、経理でいえば、経費処理といったように。こういった業務のうち、テクノロジーで解決できることはそれに任せて、浮いた時間を新しい制度の設計だったり価値を生み出すことができるクリエイティブな仕事にあてられるようなコーポレート部門にしていきたいと思います。

−では、実際にベンチャー企業のCFOとして働かれていて、ベンチャー企業に向いているCFOはどんな方だと思いますか?

玉木:成功体験を常に捨てていけること、ではないでしょうか。ベンチャー企業は常に成長していくことが義務づけられていると思うので、ひとつの成功体験にぶら下がっていると、スピード感をもって成長していくことは難しいと思います。逆に言えば、ベンチャー企業のCFOとして必須のスキルというのは特段あまりないと思っていて、少なくとも数字に対するアレルギーがなければ良いと思います。実際、ベンチャー企業のCFOには色んな経歴やバックグラウンドの方がいらっしゃいます。

SmartHRについて

〜「テクノロジーと創意工夫で社会構造をハックすること」がSmartHRのビジョン〜

−意地悪な質問になってしまうかもしれませんが、SmartHRのサービスを通して、現在社労士の先生がやっている仕事の一部を奪うのではないか?とも思いますが、この点はどのように考えていますか?

玉木:一部にはそういった見方をされる社労士の先生もいらっしゃいますが、SmartHRによって書類作成や申請の部分を効率化することで、顧問先を拡大されている先生もいらっしゃったりと様々です。
アナログな領域のIT化は自然な進化だと思いますし、企業もそういったツールの活用によって、採用や制度づくりにあたって、社労士の先生方に相談したいことが増えてくるのではないでしょうか。手続き業務に加えて、企業の労務コンサルティングに軸足を移していきたいと考えていらっしゃる社労士の先生が多く、一緒にサービスを良くしていこうと考えてくださり、大変ありがたく思っています。

その他、ざっくばらんに

〜物事へのこだわりがなく、常にフラットなところが強み?〜

−最後に、玉木さん個人のお考えについてもいくつか伺えればと思います。まず、公認会計士という資格取得によって得られたメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

玉木:挙げられるメリットとしては、公認会計士と名刺に書いてあるとある程度信頼はしていただけるので、色々な業界の、色々な職種、ポジションの人と話ができることでしょうか。それによって自分の幅を大きく広げることができました。ただ、ご存知の通り、既に公認会計士の資格だけを持っているだけでは食べていけない時代になっており、周りの活躍している公認会計士を見てみると、会計の知識×もう一つ自分の得意分野を持っている人が活躍しているように思います。少なくとも、ITやデジタルといったテクノロジーに対しては常にキャッチアップしていく姿勢が公認会計士にも大事だと感じます。

−日々の生活の中でこれはゆずれない!というコダワリがありますか?

玉木:正直なところ、、ないです(笑)

−あら・・・(笑)

玉木:ただ、特にこだわりがないことで、色々なことを客観的に見られることが自分の強みかな、とも思っています。CFOという仕事も、会社全体の仕組みや数字をフラットに見ていく必要があるので、この強みは仕事に生きていると思います。

−それでは、玉木さんの尊敬されているCFOはいらっしゃるでしょうか?

玉木:すごいな、と思うCFOの方はたくさんいらっしゃるのですが、目標やロールモデルとなるようなCFOを自分でおいたりはしていません。というのも、目標やロールモデル決めてしまうことで、自分の天井を作ってしまうような感じがしています。常に自分自身の限界を超えていきたいと思っています。

−最後に、玉木さんの将来の夢を教えてください。

月並みですが、一番の夢は「良いサービス」を社会に届けることです。

−玉木さんにとっての「良いサービス」とは何ですか?

より多くの人が抱える課題をより深いレベルで解決できることが、私の考える「良いサービス」です。そしてSmartHRの提供するサービスがそうありたいと思っています。

−本日はどうもありがとうございました。

この記事を書いたライター

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