法人事業税とは、法人の所在地に納付する地方税です。法人が得た所得に法人事業税率を乗じて算出される金額を、法人が所在する都道府県に納付します。
今回は、法人事業税とはどのような税金なのか、法人事業税の税率や計算方法について解説していきます。
法人事業税は、地方自治体に対して納税をする税金です。そして、この地方自治体とは都道府県のことを指しています。事業を行う会社や個人が負担をしなければならない税金であり、法人事業税の一部の税金は、地方法人特別税として国税となって地方の財源に充てられます。
法人事業税の納税額は、会社の黒字額に法人事業税率を乗じることにより算出することができます。つまり、会社の黒字額がない年の場合は、法人事業税は納める義務はないということになります。
また、法人事業税は、他の法人税や法人住民税とは異なり、納付時に損金に算入することが可能です。税金として地方自治体に納めるものの、必要な費用として損金算入が認められるものが、法人事業税の特徴といえます。
法人事業税は、法人3税のひとつです。法人住民税、法人税と合わせて、法人3税あるいは法人税等と呼ばれています。
法人税は、会社の課税所得に応じて課税される税金のことをいいます。そして、この法人税は、会社により申告をして納付を行う「申告納税方式」がとられています。ちなみに、法人税は国に対して納める税金です。また、法人税は3つの税金の総称のことです。
法人住民税とは「法人市町村民税」と「法人都道府県民税」の総称です。会社が設立された自治体に課される税金であり、東京23区の会社においては「法人都民税」として課税が行われます。「法人市町村民税」と「法人都道府県民税」には、それぞれ「均等割」と「法人税割」が導入されています。
法人税と法人住民税、法人事業税は、課税標準や納付先、計算方法など異なる点があります。
法人税・法人住民税・法人事業税の違いについては、下記の記事を参考にしてください。
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法人事業税は、地方税のひとつです。法人が納める税金には、国に納付する国税と、各地方自治体に納付する地方税の2種類があります。法人事業税や法人住民税は地方税であり、法人税は国税です。
地方税として扱われる税金としては、法人事業税や法人住民税以外に以下のようなものがあります。
固定資産税とは、個人と同じく、会社が所有している土地や建物、機械などの資産に応じて課される税金のことをいいます。
償却資産税は、減価償却の対象とされる備品や器具などの償却資産に応じて課される税金です。償却資産税は固定資産税に含まれますが、土地や建物に対する税金と区別をするために、あえて償却資産税と呼ばれています。
都市計画税は、土地区画整理事業や都市計画事業に必要とされる費用に応じて課される税金です。原則としては、市街化区域内に所在している土地や家屋が対象とされます。
法人事業税率は、資本金や課税所得に応じて、軽減税率・標準税率・超過税率のいずれかが適用されます。どの税率が適用されるのかは、各都道府県独自の基準で判断されます。
福岡が所在地の資本金1億円以下の普通法人で、軽減税率が適用された場合の法人事業税率は以下の通りです。
・年400万円以下の所得:3.5%
・年400万円超800万円以下の所得:5.3%
・年800万円超の所得:7.0%
※令和元年10月1日以後に開始する事業年度
法人事業税は、法人が得た所得に法人税率を乗じて算出されます。法人事業税の計算式は以下の通りです。
法人事業税=所得×法人事業税率÷100
上記の計算式を見て分かるように、所得がゼロの場合は、法人事業税の計算結果もゼロになります。つまり、法人が赤字の場合には、法人事業税を納付する必要はないということです。
また、法人事業税は他の税金と異なり、損金算入できます。税金でありながら、費用として認められるということです。
法人事業税の課税標準は所得です。この場合の「所得」は「利益」とは異なる点に注意しておきましょう。企業会計においては、「収益―費用=利益」となります。一方、税務会計においては、「益金―損金=所得」です。
資本金あるいは出資金が1億円を超える法人は、外形標準課税の対象です。資本金あるいは出資金が1億円以下の法人の課税標準は所得ですが、外形標準課税が適用されると、所得だけではなく、事業所の床面積や従業員数、資本金なども税額の計算に用いられます。
外形標準課税が適用された場合の法人事業税は、所得割・付加価値割・資本割の合計になります。
会社を設立すると、さまざまな税金の納税義務が課せられます。きちんと税金を管理し、納税をしなければ、ペナルティが課せられます。また、会社の信用を失うことにもつながりかねません。そのため、しっかりとした税金に対する理解が求められるのです。