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清算結了とは?どんな手続きが必要?

公認会計士 大国光大
清算結了とは?どんな手続きが必要?

会社には、はじまりがあれば終わりもあります。その終わりのうちの一つが清算となりますが、「清算結了」という言葉があります。では、この清算結了とはどのようなもので、どのような手続が必要であるのかを、今回は解説します。

清算結了とは?

まず、清算結了とは、清算人がすべき清算の業務が全て終了している状態を言います。
全ての債権債務が無くなっており、会社の中身が空っぽの状態である必要があるので、少しでも債権債務が残っていたり、事務処理が終わってなかったりすると清算結了とは言えなくなります。

清算が全て終わっている状態を清算結了と言いますが、終わっていない場合は清算されていないのですから、通常の会社と同じように存在していることとなります。

解散と清算の違い

では会社の解散と清算とはどのように違うのでしょうか。よく似た用語ですが微妙に違います。
まず、解散というのは、会社法で次のように事由が列挙されています。

・定款で定めた会社の存続期間の満了
・定款で定めた会社の解散事由の発生
・株主総会による決議
・合併によって会社が消滅する場合
・破産手続開始が決定した場合
・裁判所から解散命令が出た場合
・休眠会社がみなし解散とされた場合

一方で、会社を解散しただけでは会社は消えることなく残り続けます。
そこで清算を行い、清算結了した時点で会社が消滅することとなります。清算にはいくつかの方法があります。

通常清算

まず、通常清算についてです。
通常清算というのは、解散した会社が持っている負債を全て支払うことができる際に用いられる清算の方法となります。
これは自主的な清算となりますので、自身で在庫や売掛金を換金して借金などを払い終えます。

他の精算はいわゆる「倒産」と呼ばれるものですが、この通常清算は後ろ向きな話ではないので、裁判所からの監督下にも置かれません。

特別清算

特別清算は、通常清算と違って会社が行き詰ってしまった場合に行われる精算です。ただ、破産手続きほどには厳格ではないため、割と早く処理が行えるのが特徴です。

また、破産では裁判所から選任された破産管財人が指揮して進めていきますが、特別清算の場合は、会社がそもそも弁護士に依頼して進めていくものですので、今までお世話になった人に頼んだり、融通の利きそうな人にお願いしたりできます。

また、「破産」と聞くととてもネガティブなものに思えますが、「特別清算」というとそこまではマイナスのイメージが残りにくいので、そのための用語として使われることがあります。

特別清算

清算時の会計処理や税務処理

では会社の解散、清算時の会計処理は通常のものとどのくらい違うのでしょうか。

まず、会社法上と税務申告書上で考え方が異なってきます。会社法上は、残余財産を株主にどれだけ配分できるかが重要になってきますが、税務申告上はどのくらい会社財産から税金が払えるかどうかが重要となるからです。

また、税務申告での会計処理の考え方も通常とは大きく違います。

例えば最終年度であれば一括償却資産の残りの償却を全て行える一方で、逆に将来の貸倒引当金や返品調整引当金などは計上できなかったりします。
これは、清算してしまうと、将来にわたって費用処理できなくなってしまうので、最終年度で全て費用としてしまおうという考え方から来ています。

これ以外にも、様々な会計処理が、清算の最終年度と通常のものとで異なるため、注意が必要です。

清算結了させないとどうなるの?

では、全ての解散した会社が清算結了しているかというと、そうでもないのが現状です。清算をするにもお金がかかるもので、特に資金繰りがうまくいかずに清算をするような場合には、そもそも清算ができるとは限りません。

よって、清算結了していない会社が存在することとなり、この場合は登記がそのまま残ってしまいますし、まだ会社の権利義務がそのままとなってしまいます。

これを放置しておくと、厳密には会社には納税義務が毎年あるため、最低限の税金が積もっていくこととなりますし、その他自動で引き落とされるようなものについてはどんどん引き落とされる、もしくは引き落とし不能となっていくでしょう。

そんな時は、清算ではなく、都道府県・市町村に「休眠の届出」を出すという手もあります。休眠の届出というのは正式な用語ではありませんが私たちの業界ではよく言われるもので、「会社が現在活動していないので、税金は免除してください」という申請となります。

都道府県や市町村によっては受け付けてくれるかどうかが異なるので、清算したいけどお金がないとか、清算まではしたくないけど税金は払いたくない、という場合には一度問い合わせしてみると良いでしょう。

まとめ

清算結了、つまり清算が終わったかどうかで会社が存続しているかどうか、税金がかかるかどうかが全く異なります。清算をすべきなのか、休眠で良いのか、判断に迷うところですが、税金だけではなくその会社を存続させる意味があるかどうかで決めると良いでしょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び
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