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【勘定科目内訳書の書き方】各科目ごとの作成方法を解説

HUPRO 編集部
【勘定科目内訳書の書き方】各科目ごとの作成方法を解説

勘定科目内訳書は、法人企業が決算の時に作成する資料の1つです。勘定科目内訳書の作成にあたっては、年度末時点の帳簿の内容を勘定科目ごとに転記する作業が必要となります。今回は、経理事務の担当者向けに、勘定科目内訳書の書き方と作成にあたっての注意点を解説します。

1.預貯金の内訳書の書き方

預貯金の内訳書には、金融機関名・種類・口座番号・期末現在残高・摘要を記載します。 預貯金の名義人が法人名と異なる場合は、名義人を記載します。ドル建ての口座など、金額が外貨建で表示されている銀行口座の場合は、外貨換算前の金額を記載しましょう。

残高証明書と帳簿上の預金残高を確認して、金額が一致していることが重要です。
また、期中に取引を廃止した銀行や、新規取引を始めた銀行口座は税務調査対象の企業選定の時に注目されやすいといわれています。
あらぬ疑いを招かぬよう、摘要部分には取引を開始(廃止)するに至った経緯をおおまかに書いておくのが良いでしょう。

2.受取手形の内訳書の書き方

受取手形の内訳書には、振出人・振出年月日・支払期日・支払銀行・金額・割引銀行名及び支店名等・摘要を記載します。
日本国内での取引の場合、ほとんどのケースで流通しているのは受取手形ですが、融通手形や為替手形などの取引がある企業もあります。

融通手形の場合は摘要部分に個別に記載しましょう。
為替手形の場合は引受人の氏名と住所を記載します。
差出人と債務者が異なる場合は、債務者の氏名と住所を記載します。

同じ取引先で、受取手形の総額が100万円以上ある場合には、個別に記載しなくてはなりません(この金額未満の少額取引については一括で記載して問題ありません)
手形の支払人や関係者が会社の役員などとなっている場合、税務調査で注目されるポイントとなります。
取引の詳細を把握しておきましょう。

3.売掛金(未収金)の内訳書の書き方

売掛金(未収金)の内訳書には、科目、相手先、期末現在高、摘要を記載します。
特に未収入金の場合は、具体的な取引内容を摘要に記載しましょう。

同じ取引先で総額が50万円以上の売掛金は、上位5件まで別々で記載し、その他についてはまとめて「その他」として記載して問題ありません。
見栄えよく内訳書を作成するため、住所などの取引先の情報が分かる請求書や契約書を用意しておきましょう。

得意先との関係性から、長期に渡って残高が残っている売掛金がある場合も少なくありません。こうした長期滞留債権については、社外関係者から内容について説明を求められることがありますから注意してください。

4.仮払金(前渡金)・貸付金及び受取利息の内訳書の書き方

科目・相手先・期末現在高・摘要を記載します。売掛金と同じく、同一の取引先で総額が50万円以上のものを上位5件まで別々で記載しましょう。その他の少額の取引先についてはまとめて記載することが可能です。

ただし、貸付金などの場合、相手先が自社の役員や関係会社の場合は、50万円以下でも各別に記載しなくてはなりません。仮払金から正式な科目に振替漏れがないか、取引内容をしっかり確認しましょう。

5.棚卸資産の内訳書の書き方

棚卸資産の内訳書には、該当するそれぞれの勘定科目(商品や製品、原材料、仕掛品、半製品など)、品目、数量、単価、摘要を記載します。棚卸資産を時価で評価替えした場合には、評価増減額を摘要に記載します。

未着品や預け品など、社外にある在庫が計上されているかどうか確認しましょう。販売促進のため得意先に自社の商品や製品を無償で提供した場合、見本品費に振替処理が実施されているか確認する必要があります。

6.有価証券の内訳書の書き方

有価証券の内訳書には、区別種類銘柄・期末現在高・期中増減の明細・摘要を記載します。区別種類銘柄の欄には「売買目的有価証券」「満期保有目的等証券」「その他有価証券」ごとに売買・満期・その他を記載します。

異動事由は売却や買入など実際の取引に沿って記載しなくてはなりません。期中増減の明細については項目に上がっている異動年月日、異動事由や売却・買入先の名称と住所を記載します。関係会社に関わる有価証券の場合は、その旨を摘要に記載します。
期末現在高は上段・下段にそれぞれ帳時価評価前と後の金額を記載します。期中に売却して期末残高が0でも記載します。取引価額には取得時に支払った費用も含めます。

7.固定資産の内訳書の書き方

固定資産の内訳書には、固定資産の種類や構造・用途・面積・物件所在地、期末残高、期中取得・処分の明細を記載します。前事業年度から異動が生じた固定資産については、取引の内容に応じて取得や処分、売却した旨を記載します。

土地等の取得価額には、取得時に支払った仲介手数料などの金額も含めなくてはなりません。なお、期中に売却して期末残高が0となった場合でも、内訳書には記載が必要です。

8.支払手形の内訳書の書き方

支払手形の内訳書には、支払先、提出年月日・支払期、支払銀行名、金額、摘要を記載します。

受取手形と同じように、融通手形の場合は摘要に各別に記載します。同じ取引先で総額が100万円以上のものは個別に記載し、その他については、まとめて「その他」として一括で記載します。期末時点の受取手形や割引手形は残高証明書で確認をしましょう。

9.買掛金(未払金・未払費用)の内訳書の書き方

買掛金(未払金・未払費用)の内訳書には、科目、相手先名称、相手先所在地、期末現在残高、摘要を記載します。未払配当金と未払役員賞与は期末時点に残高がある場合、記載が必要です。

相手先別の残高が50万円以上の取引は各別で記載し、その他についてはまとめて記載できます。長期に渡って支払が保留となっていた買掛金で、支払いが不要になったものがないかを確認しましょう。

10.仮受金(前受金、預り金)・源泉所得税預り金の内訳書の書き方

仮受金(前受金、預り金)の内訳書には、科目、相手先名称、期末現在高、取引の内容を記載します。
相手先別の残高が50万円以上のものは各別で記載し、その他についてはまとめて記載しても問題ありません。相手先には自社との関係性について明記しましょう。

仮受金に計上している取引のうち、収益など正しい科目への振替がきちんと行われているか確認しましょう。長期に渡って数値の動きがない仮受金がないかについて注意することも大切です。
源泉所得税預り金の内訳書には、支払年月、期末残高、所得の種類を記載します。所得の種類はそれぞれの頭文字を取って表すことができます。

例えば、以下のような形です。

・給与所得  :給
・退職所得  :退
・報酬や料金等:報
・配当所得  :配
・非居住者等所:非

11.借入金及び支払利子の内訳書の書き方

借入金及び支払利子の内訳書には、借入金、法人・代表者との関係、所在地、期末現在高、期中の借入にかかる支払利子額、利率、借入理由、担保の内容(担保がある場合)を記載します。

借入先別の期末時点の残高が50万円以上のものについては各別に記載します。自社の役員や株主、関係会社との取引については、期末残高が50万円未満であっても別々に記載します。

12.土地の売上高等の内訳書の書き方

土地の売上高等の内訳書には、区分、商品の所在地、地目、総面積、売上(仲介)年月、売上(仲介)先氏名・住所、売上(仲介面積)、売上金額(仲介手数料)、売上商品の取得年記載します。

土地付建物の売却や仲介に関わる取引では、取得時に土地と建物を分けて経理処理していない場合が考えられます。このような場合には、「売上金額(仲介手数料)」欄の上段に土地付建物の総価額を記載すれば問題ありません。

13.売上高等の事業所別内訳書の内訳書の書き方

売上高等の事業所別内訳書の内訳書には、事業所の名称・所在地、責任者氏名・代表者との関係、事業等の内容、売上高、期末棚卸高、期末従業員数、源泉所得税納付署、摘要を記載します。

当期中に開設・廃止などの動きがあった事業所については、開設や廃止の年月日を記載します
「計」欄は損益計算書の該当科目の金額と一致しているかの確認をしましょう。

14.役員報酬手当及び人件費の内訳書の書き方

役員報酬手当及び人件費の内訳書には、役職名・担当業務・氏名・代表者との関係、住所、常勤・非常勤の別、役員給与を記載します。

人件費の内訳書には、役員報酬手当点・従業員給料手当、賃金手当を記載します。従業員給料手当、賃金手当について、販売管理費及び一般管理費に計上している給与・賞与等は給与手当に記載します。

一方で、売上原価に計上がある給与・賞与等は賃金手当に記載します。個人別に前期と比較して役員給与が大きく変動していないかどうか確認しましょう。役員報酬の総額は株主総会で決定されるので、その範囲内であるかの確認も必要です。

15.地代家賃の内訳書の書き方

地代家賃の内訳書には、地代・家賃の区分、借地物件の用途・所在地、貸主の名称・所在地、支払対象期間、支払貸借料、摘要を記載します。

相続によって貸主が変わったり、支払賃料が期中で増額・減額になったりする場合があります。賃貸借についての情報は常に最新のものを持つようにしましょう。
決算時点で全てを漏れなく把握するのは難しいので、普段の業務のなかで内訳書の基礎資料を作成するのが良いでしょう。

16.雑益・雑損失等の内訳書の書き方

雑益・雑損失等の内訳書には、科目、取引の内容、相手先、所在地、金額を記載します。科目については、取引に応じて雑収入、雑益・損失、固定資産売却損益、税金の還付、貸倒損失等を記載しましょう。

科目別、かつ相手先別の金額が10万円以上のものについて記入します。資産による賃貸料収入についても記載します。

まとめ

今回は、勘定科目内訳書の書き方について解説いたしました。勘定科目内訳書は、税務調査や金融機関の融資審査など、重要な局面での判断資料とされる可能性があります。経理担当者としての実力が問われる書類でもありますので、「誰からどのような点がチェックされているのか」に留意しながら作成を進めていきましょう。

この記事を書いたライター

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