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著作権譲渡契約で注意すべき点とは?リスクなどを徹底解説!

HUPRO 編集部
著作権譲渡契約で注意すべき点とは?リスクなどを徹底解説!

他人の著作物を利用するときは、著作権者の了解を得なければなりません。特にビジネスで利用するときは継続的になるため、利用許諾ではなく著作権の譲渡契約を行うことが多くなります。著作人格権の問題などわかりづらい点が多いため、著作権に関するトラブルは後をたちません。この記事では、そもそも著作権とは何かから始まり、著作権の譲渡契約を結ぶ際の注意点を徹底的に解説します。

著作権とは

そもそも著作権とはなんでしょうか?

著作権とは、音楽、文学作品など著作者の思想・感情が表現された著作物に対する法律上の権利のことです。これによって著作権者は、著作物を独占的排他的に利用することができます。
例えば、漫画が無断で利用されてしまえば、その漫画を描いた漫画家は経済的利益が得られなくなってしまいます。そのため著作物を著作権によって保護する必要があるのです。

著作権侵害行為

著作物は著作権法によって権利が保護されています。許可なく著作物を利用すると著作権法に違反することになり、差止めの対象となったり、場合によっては損害賠償責任を追求されるおそれがあります。

著作権の内容

著作権法は、著作権の内容として、次の二つを定めています。

財産権としての著作権

著作者が著作物の利用を許可し対価として使用料を受け取ることができる権利です。著作法は、著作権の内容について、細かく定めていて以下の12個がその内容です。

① 複製権
② 上演権、演奏権
③ 上演権
④ 公衆送信権
⑤ 公の伝達権
⑥ 口述権
⑦ 展示権
⑧ 頒布権
⑨ 譲渡権
⑩ 貸与権
⑪ 翻訳権、翻案権
⑫ 二次的著作物の利用権

著作者人格権

著作物は、著作者の思想・感情を表現したものなので、著作者人格権を定めて著作者の人格を保護しています。この著作者人格権は、著作者の人格を保護することが目的なので、譲渡したり相続することができません(一身専属権)。著作者が財産権としての著作権を譲ったとしても、著作者人格権は、著作者にそのまま残ります。
著作者人格権には、次のような権利があります。

①公表権 公表するか否か、公表する場合その場所や時期を決めることのできる権利
②氏名表示権 氏名を公表するか否か、公表する場合本名かペンネームを使うかを決める権利
③同一性保持権 著作物の内容やタイトルを改変することを禁止する権利

著作権の譲渡

財産権である著作権は当事者の契約によって譲渡することが可能です。著作権を譲り受けた者は、著作物を使用することが可能になります。

著作者人格権の不行使について

著作権は財産権ですから、譲渡したり相続したりすることが可能です。しかし先に書いたように著作者人格権を他人に譲渡することはできません。そうすると、せっかく作品の著作権の譲渡を受けても、作品を改変することができないことになり不便です。
そこで著作権譲渡契約においては、「著作者人格権の不行使」を契約内容に盛り込むのです。

著作権を譲渡する際の注意点

著作権は、その全部または一部を譲渡することができます(著作権法61条)。しかし、契約内容として「著作権の全部を譲渡する」としておけば、何も問題がないかというとそういうわけではありません。「著作権の全部を譲渡する」としただけでは、翻訳権や翻案権など(著作権法27条)と二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(同法28条)は譲渡されないのです。

著作権法61条2項により、同法27条、28条については、譲渡の目的として特掲されない場合は、譲渡した者に留保されたものと推定されるとしているのです。
例えば編曲は27条の翻案権にあたるので、編曲をするときには許諾を得る必要があります。
そのため、全部の著作権を譲渡するという契約の場合は、著作権法27条と28条の権利も譲渡することを同時に契約内容に盛り込む必要があります。

著作権法第61条(著作権の譲渡)
1.著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
2.著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

著作権の譲渡契約を結ぶ際は専門家に相談

著作権の譲渡契約を結ぶ際は、いろいろと気を付けなければならない点があります。契約を結ぶ際にあやふやな点があると後になって大きなトラブルに発展することになりかねません。疑問点がある場合には、契約を締結する前に弁護士や行政書士などの専門家に相談しましょう。

この記事を書いたライター

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