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勘定科目明細とは?どんなときに必要な書類?

吉田武夫2020.05.20
勘定科目への記載

勘定科目明細は法人企業が法人税の申告を行う際には必ず添付が必要な書類です。
また、金融機関から融資の審査を受ける際にも資料として提出を求められることもあるので。その時は注意が必要です。今回は、勘定科目明細の意味や作成上の注意点について解説します。

勘定科目明細とは

勘定科目明細とは、決算書に記載されている勘定科目ごとの内訳を記載した書類のことをいいます。

例えば、貸借対照表には売掛金という勘定科目がありますが、「どの取引先に対していくらの売掛金があるのか?」を詳細に説明するのが勘定科目明細の役割です。
売掛金の残高が1000万円であったとして、「A社に300万円、B社に600万円、C社に100万円」といったように、残高の内訳を詳細に把握できるようにするために使われます。

当然ながら、勘定科目明細の各内訳書の合計金額は、勘定科目の金額と一致していなくてはなりません。
決算書上の勘定科目残高と齟齬がある場合には、何らかの原因で不備が生じていることが考えられますから、原因の究明を行う必要があります。

このように、勘定科目明細は、決算業務の進行にあたって処理が正しく行われているかの判断資料として使うことも可能です。

勘定科目明細は誰がどのようにチェックするのか

勘定科目明細は、第一義的には税務署が申告内容の精査を行うために使われます。

そのため、勘定科目明細は、法人税計算の根拠となる決算書類の一つとして、税務申告の際に税務署への提出が義務付けられています。
前年以前の資料と照合すれば、企業の取引先がどのように変遷しているのか、事業の状況にどのような変化が生じているのかといったことを把握するきっかけにもなります。

さらに、一つの企業での税務調査に基づいて、別の企業の調査を行うような場合(反面調査といいます)に、その企業の取引先の情報を参照するためにも用いられる可能性があります。
例えば、買掛金や売掛金の項目には、取引先の住所などが明記されていますから、これらの情報をもとに別の企業の税務調査を行うきっかけにするということもありえるでしょう。

また、銀行や投資家なども、企業の事業内容を把握することに強い関心を持っていますから、決算書に添付された勘定科目明細を参照することが考えられます。
企業がどのような取引先に対して、どのぐらいの債権債務を持っているかの情報は、企業の財務健全性を検討する上で重要な情報となるからです。

勘定科目明細は決算書への添付が必要

勘定科目明細は、法人税の申告を行う際に、申告書への添付が必要です。

勘定科目明細の提出期限は税金の申告時と同時になるので、原則として期末から2ヶ月以内が提出期限となります。

ただし、延長申請をして認められると、期末から3カ月以内が提出期限になります。

法令上の根拠としては、法人税法第74条第1項という法律があり、「申告書に当該事業年度の貸借対照表、損益計算書、その他財務省令で定める書類を添付しなければならない。」というルールになっています。
ここでの「財務省令で定める書類」として、勘定科目明細が指定されているのです。

ただし、この規定には罰則がないという解釈がされており、例え提出をしなくても罰則自体は無いと考えられます(提出しなかった場合、税務署から改めて提出を求められる可能性は高いですが)

一方で、個人事業主の確定申告時には勘定科目明細の提出義務はありません。
個人事業主の所得税申告にあたっては、損益計算書や貸借対照表といった決算書類のみを提出すれば足ります。

勘定科目明細のチェック

勘定科目明細の具体的な作成方法

多くの企業では、決算書類の作成のために会計ソフトを使っているでしょう。

会計ソフト上では、日々の取引を記録している中で、勘定科目の金額はリアルタイムで自動的に集計されています。
そのため、勘定科目明細は会計ソフトからデータとして抽出し、いつでも作成することが可能です。

紙の資料で決算業務を行うのと比較して、はるかに効率的に業務を進めていくことができますので、まだ会計ソフトを導入していない場合にはぜひ導入を検討してみてください。

勘定科目明細は税務申告時の添付書類として作成するのが一般的ですが、経営判断に役立つ資料としても活用できます。

例えば、売掛金や買掛金などについて、企業別の残高がリアルタイムでわかりますから、どの取引先との関係構築に注力していくべきかといった判断を行う上での判断材料になります。

勘定科目明細の作成タイミング

税務申告に当たって勘定科目明細を作成する場合には、法人税申告書を作成する直前(税引き前利益が確定した時点)に作成するのが適切でしょう。
明細を作成する際に、何か間違いがあった場合勘定科目の金額が変わることがあるからです。

そうなると法人税申告書を作成しなおさなければならないためです。
勘定科目明細を作成し、各勘定科目の金額の正確性を確認してから、法人税申告書の作成にとりかかるのが良いでしょう。

まとめ

今回は、勘定科目明細を作成する意味について解説しました。勘定科目明細は、法人税の申告を行う際に添付が義務付けられている書類ですが、経営判断を行うための判断資料としても活用することができます。
会計ソフトの設定によって、リアルタイムで勘定科目明細を確認できるようにしておくと、企業が置かれている状況をより正確に知ることが可能になります。ぜひ活用しましょう。

カテゴリ:コラム・学び

この記事を書いたライター

吉田武夫
税理士試験科目合格者/税理士事務所と企業経理の就業経験がトータルで10年

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