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身につけたい! 経営に役立つ簿記

HUPRO 編集部
身につけたい! 経営に役立つ簿記

個人事業主はもちろん、法人経営者も簿記の知識については身につけておきたいもの。専任の経理担当者がいたとしても、事業の数字について適宜把握するには簿記の知識は不可欠です。本記事では、経営に役立つ、知っておきたい簿記の基礎知識について解説します。

そもそも簿記とは

そもそも簿記とは、取引やお金の流れを、一定のルールに従って帳簿に記録し、計算・整理すること。そしてその結果を元帳に転記し、試算表を作成するまでの一連の手続きを差します。

その発生は15世紀半ばのルネッサンス期のイタリア。「ベニスの商人」の時代です。大航海時代の交易品を売買するにあたり、その取引の不正を防ぐために「簿記」が発明されました。

経営者にとってお金の流れというのは非常に重要なこと。簿記をしっかりと行うことで、事業の利益や損失をすぐに把握できますし、対前年同期比などの比較も確認できます。経営状況をみるためには、簿記をきちんとしておくことが非常に重要なのです。

経営者が簿記を必要とするわけ

「簿記は担当や税理士に任せているから」と多忙を理由に自身では全く携わらないという人もいます。しかし、それは危険な事といわざるを得ません。
担当者に任せきりでは、会社のお金の状況がわからないだけでなく、本当にその記帳内容が合っているのかどうか把握できないからです。

会社の売り上げ目標○円と事業計画を立てるのは、そこからどれだけの利益が得られるかをわかった上で行わなければなりません。そのために予算がいくら必要で、今現在どれだけ目標と予算が消化されているのか、現状の業績が足りないようであれば、どんな手を打つ必要があるのか、こうした管理会計の考え方をするためにも簿記の知識が必要なのです。

また、現在どれくらい現金預金があり、売掛金がどのくらいあって、どれだけ回収出来たか、または設備投資などの買掛金がどのくらいあって、支払はいつなのか、こうした資金繰りの管理を行うにも、簿記の知識が役立ちます。

実務を行わないとしても、帳簿を見てどういう状況かわからなければ、会社の現況を正確につかむことはできないからです。

経営者が簿記を必要とするわけ

経営者にこそ必要な簿記の知識

経営者となるためには、簿記の資格は必須ではありませんし、記帳作業など作業的な物は担当者にやってもらっても問題ありません。しかし、記帳された内容を確認した時に、現在会社がどのような状況にあるかどうかを確認できるような知識が必要です。

例えば、確定申告や決算の後に税金を納付するにあたり、事前にある程度税額を資産できなければ資金繰りで行き詰ってしまうことも考えられます。
また、自身では売上が上がっていて業績が伸びているように思えたとしても、実際は利益がさほど発生していないような状況というのは良くあるケースです。こうした自身の勘でのみ事業を回していこうとすると、売上のみを追いかけて手元現金があっという間に枯渇し、資金繰りが行き詰ってしまうことが考えられます。

また、事業に使う様々なお金が、資産なのか費用なのか、その仕訳がわからないまま運用するのは大変危険なことです。

簿記の知識の身につけ方

実際に簿記の知識を身につけようとした時に、どのような方法があるでしょうか。まずは担当の税理士がいる場合は確認してみるのがおすすめです。
自身の企業でどういった簿記の知識が必要なのかを把握している経営者の方が、経理業務や申告業務について真摯に取り組んでくれますので、税理士としても話が通りやすくなります。

既に終わった決算書などの内容を解説してもらい、どの数値をどう改善したらよいかなどのアドバイスを受けている場合は、その根拠がわかるようになります。
また、会計ソフトなどを使用して記帳している場合は、決算が完了していなくてもその時々の損益計算書や貸借対照表を確認できる場合があります。折に触れて内容を確認しておき、気になる点は遠慮なく顧問税理士に相談しましょう。担当者の仕訳ミスかもしれません。

もっと体系立てて学びたい人は、経営者向けの簿記について書かれた本を読んでみたり、資格取得は必要ありませんが、簿記3級の勉強を一通りしてみるのはいかがでしょうか。決算数値の構成要素を見るには簿記3級の知識はあった方が確実に役立ちます。
また、業種に寄りますが、工業簿記や原価計算の分野が必要な企業であれば簿記2級までの知識が必要です。コスト管理などで、原価は非常に重要な視点です。簿記の知識を一通りおさらいするのに資格の勉強はとても有効な方法といえます。

その他、経営者向けに財務研修などが商工会議所などで行われていることがあります。こうした研修についても参加してみて、数字についての感性を自分でも培うことが、今後の経営に生きてきます。
自社だけでなく、競合他社の分析にも役立つ、簿記の知識。経営者はその大元が何から成り立っているか、そしてその数字が何を示すかということを学んで、これからの会社経営に役立てていきましょう。

この記事を書いたライター

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