会計事務所の仕事内容のイメージとしては、コツコツと伝票整理をして記帳をして…というものがいまだに世間では根付いていると思います。
ところが、ここ数年で会計事務所の仕事内容は劇的に変化していると言えるでしょう。そこで今回は、会計事務所の仕事内容の変化について解説します。
10年以上前の会計事務所の仕事内容は、冒頭にお話ししたことがメインの業務となっているでしょう。お客さんから預かった書類を切り貼りして、勘定科目のハンコを押し、会計帳簿にコツコツと記入していくというものです。
申告書についても、手書きで作成する会計事務所もまだまだありました。
この頃の会計事務所の仕事内容の半分以上が記帳代行を占めていて、残りの3割が申告書作成、2割が経営指導というところではないでしょうか。よって、外回りする人が1人しかいない事務所でも事務所内に数名常駐しているという光景が普通にありました。
ここから急激に会計ソフトも進化してきて、安いパッケージソフトであっても自身で入力が簡単に行えるようになってきました。
また、最近ではクラウド化やAIにより自動取り込みによる仕訳ができるなど、だんだん記帳自体を会計事務所に頼むのではなく、自身で行えるようになってきました。
よって、会計事務所における記帳代行の仕事もだんだん減ってきているばかりか、記帳自体を発展途上国に外注に出す会計事務所も増えてきました。
そんな流れから、記帳代行は最低限のクライアントに提供をし、会計事務所としては記帳をチェックすることと、経営者に対するアドバイスに重点を置くことが増えてきました。
具体的には、会計ソフトから出てきた決算について専用ソフトやエクセル等で加工をして、月次ベースで経営者に助言をして報酬をもらうことが増えてきています。
そのため、今まで数か月に一度の訪問で記帳をチェックしていただけの会計事務所は減ってきて、毎月のレポート提供やアドバイスを行うように仕事内容が変化してきています。
仕事内容だけでなく、会計事務所そのものがここ最近で大きく変化しています。
今までは、法人、個人だけではなく、相続等幅広い税金を1つの事務所で扱っていることがほとんどでした。基本的には顧問先から要求された税金については全て1人の所長または番頭さんが対応するという形の事務所が多かったと考えられます。
現在は、資産税専門の会計事務所や、富裕層のみをクライアントとする会計事務所、クラウド会計を専門とする会計事務所等、今までのマルチ型ではなく特化型の会計事務所へシフトしています。
これは、会社の形態や税法が複雑化してきて、とても個人で全てを賄うことが難しくなってきているためです。
その為、会計事務所に就職する際もどのような会計事務所に就職するかによって、仕事内容が大きく異なります。
資産税専門でクライアントを担当していれば、顧客の資産リストの入手から税額シミュレーションまで行ったり、事務作業であればそのリストの打ち込みや書類のやり取り、整理が必要となってきたりします。
また、富裕層向け専門の事務所であれば、顧客資産管理から、集客業務等、通常の会計事務所とは少々違った仕事内容となることでしょう。
会計事務所の仕事内容の変化と聞いて、真っ先に思いつくのはAIがどのように会計事務所の仕事に影響があるかでしょう。
最も影響が大きいのが仕訳の自動化です。大昔は手書きの伝票を基に手書きで仕訳をしていましたが、少し前に直接システムに入力する方法が主流となりました。しかし、クラウド化が進んだこととAIの進化により、手入力の仕訳を極力抑えることができています。
例えば、銀行データと会計ソフトを直接つないで入出金だけでなく、勘定科目や摘要欄も自動で入力することができます。
また、レシートから経費を入力していたことも、今ではスキャナで連続入力ができるようになってきています。
この自動入力については、以前精度が問題となっていました。具体的には、JRの売店で買ったレシートを入力すると、自動的に旅費交通費とされてしまったり、支払った金額とおつりが逆に認識されてしまったりというものがありました。
しかし現在はそのような不具合についても各会計ソフトは改善されてきており、ますます自動化が進んでいくことでしょう。
このようにAIが現在は普及しているので、入力する速度や正確性という能力から、機械が計算したものをチェックして修正する能力の方が求められています。
会計事務所の仕事内容は、時代の流れだけではなく、AI、クラウドの発達、税制の複雑化とともに変化しています。今までは記帳がメインで科目の振替が重要でしたが、これからはシステム入力の正確性やチェックの正確性が求められる時代となります。
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