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これだけは知っておきたい!不動産の相続税評価額計算に必要な3つの調査

税理士 井上幹康
土地(宅地)の相続税評価額計算

不動産(土地や建物)をお持ちの地主様や投資家様はご自身が亡くなった際に、相続税の計算上、所有する不動産がどのように評価されるのか気になる方も多いとでしょう。今回は、土地の中でも登場頻度が高く、評価額も高額になりやすい宅地の相続税評価額の計算において必要となる3つの調査について解説していきます。

相続税額計算の概要

相続税額は以下3つのステップで計算していきます。
Step1:課税価格の算出
Step2:相続税額の総額の算出
Step3:相続人等の各人別の納付税額の算定

土地(宅地)の相続税評価額の計算方法

Step1で課税価格の算出を行いますが、被相続人が土地をお持ちの場合、国税庁が公表している財産評価基本通達に定める方法で土地を評価して、その評価額を課税価格に算入します。

財産評価基本通達では、土地は原則としてその地目(宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地)ごとに評価することとされています(財産評価基本通達7).中でも登場頻度が高い宅地の評価方法は①路線価方式、②倍率方式の2通りに分けられます。

評価対象地の地域について路線価が定められていれば路線価方式で、路線価が定められていない場合は倍率方式で評価します。路線価方式が倍率方式かの判定は、以下国税庁HPの路線価図又は評価倍率表で確認します。
参考:路線価図・評価倍率表|国税庁HP

路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額(千円単位)のことをいい、これも、上記国税庁HP路線価図で確認することができます。

路線価方式の計算例と必要な3つの調査

路線価方式での評価方法の具体例を示すと以下の通りです。

土地評価計算

参考:相続税のあらまし|国税庁HP

計算式を見てわかる通り、宅地を評価するには、その宅地の地積や形状を正確に把握する必要がありますので、以下のような資料を収集する必要があります。

・固定資産税課税明細
 毎年5月ごろに市町村から固定資産税の通知書と一緒に送られてきています。なければ市役所の税務課等の部署で入手可能です。
・登記簿謄本、公図、地籍測量図
法務局へ訪問して入手、又は、登記情報提供サービスでオンライン取得可能です。
・建築計画概要書の図面
役所の担当部署で入手可能です。

参考:登記情報提供サービスHP

建築計画概要書には宅地に建物を建てる際の図面が添付されており、地積や形状の把握に役立ちます。

そして、現地に赴き、上記資料で把握した地積・形状と実際の地積・形状が整合しているかどうかチェックしていきます。なお、現地に行く前に事前にGoogleストリートビューなども活用し、可能な限り現地がどうなっているのか確認しておくと良いでしょう。

また、路線価に乗じる調整率には、具体例にある「奥行価格補正率」以外にもたくさんあります。調整率には、路線価を増価するものと減価するものがあり、財産評価基本通達では、減価するものの方が多くなっています

そして、各減価調整率を適用するには一定の要件が定められているものもあり、その要件を満たすかどうかの判定が重要になります。例えば、減価調整の中でも減価率が大きいものに「地籍規模の大きな宅地」(財産評価基本通達20-2)がありますが、この通達の適用要件は以下国税庁HPに掲載されているようなチェックシートを用いて丁寧に判定する必要があります。

参考:「地籍規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシート|国税庁HP

チェックシートを見ると、「都市計画」や「容積率」というチェック項目がありますが、これらは基本的には役所に訪問して都市計画課等の部署で直接確認する必要があります。首都圏の場合、各自治体HP上で「都市計画」等の取扱いが確認できるところも多いですが、地方に行くほど、役所に直接行かないと確認できない場合が多いです。

相続税

土地(宅地)の評価を効率よく行うには、いきなり役所や現地に行くのではなく、まず初めに机上(ネット等)で集められる資料・情報を十分に収集・分析し、財産評価基本通達のどの通達(調整率)の適用がありそうかある程度あたりをつけ、それを役所や現地で確認するのがポイントです。

これまでの説明の中で、机上(ネット等)で事前に行う調査を「机上調査」、役所に訪問して行う調査を「役所調査」、現地に赴いて行う調査を「現地調査」といい、これら3つの調査を適切に行ったかどうかで土地の評価精度は異なってきます。

まだ、相続が起きたわけではなく、そこまで厳密に評価する必要はなく、ある程度ザックリとした相続税評価額を知りたいのであれば、「机上調査」で路線価と地積を調べてこれらを乗じれば評価額は概算できます。

しかし、実際に相続が起きてしまった場合等、厳密に精度高い相続税評価額を求めようとするならば「役所調査」や「現地調査」は必須になってきます。特に「役所調査」や「現地調査」は財産評価基本通達の適用要件を検討するのに必要な作業であり、財産評価基本通達について詳しくない方にはかなりハードルが高いので、厳密に相続税評価額を試算されたい方は、相続に強い税理士に依頼するのが良いでしょう。

倍率方式の計算例と必要な調査

倍率方式での評価方法の具体例を示すと以下の通りです。

倍率方式

参考:相続税のあらまし|国税庁HP

計算式を見てわかる通り、倍率方式では「固定資産税評価額」を把握するために、固定資産税課税明細書が必要になります。固定資産税課税明細書は、毎年5月ごろに市町村から固定資産税の通知書と一緒に送られてきているはずですが、紛失してしまった方は、市役所の税務課等の部署に訪問して入手する必要があります(役所調査)。

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この記事を書いたライター

大学在学中に気象予報士試験に独学一発合格。社会人として働きながら4年で税理士試験官報合格。開業税理士として税務に従事しながら不動産鑑定士試験にも一発合格。税理士試験や不動産鑑定士試験受験生向けの相談サービスや会計学ゼミも開催。
カテゴリ:コラム・学び

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