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社会保険労務士がおこなう1号業務・2号業務の内容と重要性

HUPRO 編集部
社会保険労務士がおこなう1号業務・2号業務の内容と重要性

国家資格であり、業務独占資格でもある「社会保険労務士」。しかし名称だけは聞いたことがあるけれど、具体的に何をする職業なのかよくわからないという方が多いのが実情です。そこで今回は、社会保険労務士の基本的な業務である「1号業務」「2号業務」について解説していきます。

社会保険労務士の1号業務・2号業務とは

社会保険労務士の業務については、社会保険労務士法第2条1項の1号から3号に記載されています。簡単に説明すると次のとおりです。

1号:労働社会保険諸法令に基づく申請書の作成、提出代行
2号:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
3号:労働および社会保険に関する事項についてのコンサルティング業務

上記のうち1号と2号は社会保険労務士の基本的な業務であり、独占業務にあたります。独占業務とは、社会保険労務士や社会保険労務士法人以外の者が、他人の求めに応じて報酬を得て仕事としておこなってはいけない業務をいいます。雇用する従業員や経営者自身が労働社会保険の手続等をするのは、自分のことを自分でやっているに過ぎないため問題ありません。

なお、3号については独占業務ではないため、社会保険労務士ではないコンサルティング会社やほかの士業等がおこなうことも可能です。もっとも、正しい知識にもとづき助言や指導をおこなうのがコンサルティングだとすれば、無資格者が3号業務をおこなうことの意味は考える必要があるでしょう。

社会保険労務士が1号業務・2号業務を担う意味

1号業務・2号業務に関連する労働社会保険諸法令というのは、厚生労働省が所轄するさまざまな法令を指します。50以上の法令がありますが、代表的なものは次のとおりです。

・労働基準法
・労災保険法
・労働安全衛生法
・労働契約法
・厚生年金保険法
・健康保険法
・育児・介護休業法 など

企業活動においては、これらの法令に関連して書類の作成や申請が必要となる場面が多々ありますが、多岐にわたる法令を理解し、正しい手続について専門知識をもつ人でなければ難しいものです。ミスがあればやり直しが発生し、労力も人件費もかかってしまいます。年度更新や算定基礎業務などにおいては、場合によっては追徴金等が発生する可能性もあるでしょう。手続をおこなわないと従業員が適正な給付を受けられなくなり、企業の社会的な責任が問われかねない事態になります。

専門的な知識をもつ社会保険労務士が1号業務・2号業務を代行することで、的確かつ円滑に手続を進められます。手続の不備による労使トラブルに発展することもなく、経営者や従業員は本来の業務に専念できるでしょう。

1号業務・2号業務を社会保険労務士以外がおこなうとどうなる?

社会保険労務士として登録を受けた者や、社会保険労務士法人以外の者が1号業務・2号業務をおこなうことは、社会保険労務士方第27条で規定されています。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(第32条の2)。具体的には次のようなケースが違反にあたります。

・経営コンサルティング会社が助成金の申請をおこなう
・給与のアウトソーシング会社が就業規則を作成する
・グループ会社内で、親会社の労働・社会保険諸手続を子会社が担当する

ただしこれには例外があり、「他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合」は違反となりません。たとえば弁護士が社会保険労務士の業務をおこなうことができます。これは、弁護士がおこなう法律事務は、法律に規定する事務をすべて包括するものであり、弁護士は無試験で社会保険労務士の登録ができるという理由があります。一方で、税理士や公認会計士、行政書士等、ほかの士業については、業務範囲が不明瞭であるとしてしばしば問題になっていますので、注意が必要です。

1号業務・2号業務を社会保険労務士以外がおこなうとどうなる?

社会保険労務士の1号業務

1号業務は以下の3つに分類されます。

・労働社会保険諸法令に基づく申請書類を作成すること
・申請書の提出手続を代行すること
・労働社会保険諸法令に基づく申請等にかかる行政機関等の調査・処分に関し、当該行政

機関等に対しておこなう主張・陳述について代理すること

たとえば次のような業務です。

・労働保険や社会保険資格の取得・喪失手続
・労働災害が起きたときの申請・給付の手続
・私傷病や出産に関する申請・給付の手続
・社会保険料の算定基礎届の作成・提出
・労働・社会保険の適用、年度更新
・各種助成金の申請

近年はインターネットを利用した電子申請が活用されていますが、上記には電子申請によるものも含まれます。

なお条文の1号には、1~1の6まで全部で6つの業務が示されていますが、そのうち「個別労働紛争のあっせんや調停の手続代理」(1の4~1の6)は特定社会保険労務士にしかできません。特定社会保険労務士とは、社会保険労務士のうち、紛争解決手続代理試験に合格し、付記を受けた者をいいます。

社会保険労務士の2号業務

2号業務は、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成することです。ここでいう帳簿書類とは次のようなものです。

・労働者名簿
・賃金台帳
・出勤簿
・労使協定
・就業規則
・雇用契約書
・災害補償に関する書類

とくに労働者名簿、賃金台帳、雇用契約書、災害補償に関する書類等は、労働基準法第109条で3年間の保存義務が定められた重要な書類です。

まとめ

社会保険労務士の1号業務・2号業務は、社会保険労務士法第2条1項の1号、2号に示された業務を指します。書類の作成や提出にかかるものであるため「わざわざ社会保険労務士に頼むまでもない」と考える企業もありますが、企業の労務管理の点からも、法令順守の点からも社会保険労務士がおこなうことのメリットは大きいといえます。

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