もし総会を開くならば、その情報を株主に伝える必要があります。そのために行われるのが招集通知です。それでは、招集通知はいつどのような内容のものを送ればいいのか具体的なポイントが気になる人は多いのではないでしょうか。今回は株主総会の招集通知について解説していきます。
株主総会をこれから開く際には招集通知を発送しなければいけません。これは会社法299条によって決められていることです。株主に向けて決められた内容の通知を発送することが義務付けられています。取締役や代表取締役、代表執行役などがその役割を担っています。
どうして招集通知を送る必要があるかといえば、そうすることで多くの株主に株主総会への出席を促すことができるからです。また、事前に総会のお知らせをすることで、株主たちに準備をする十分な時間を与えることもできます。
ただし、すべての株主に対して招集通知を出す必要はありません。株主名簿に記載されていて議決権を有している株主にのみ通知をします。それ以外の株主に招集通知を出さなかったとしても特に問題はないです。
文書を作成して書面を郵送するかメールのどちらかの方法で通知を出すことができます。ただし、電子化して通知する場合には、そのことについて承諾を得る必要があります。また、招集通知の発信を電磁的方法で行う場合には、事業報告や計算書類なども電磁的方法による必要があるため気をつけましょう。株主のほうで電磁的方法による受け取りを拒否したいと申し出があった場合には、書面を郵送して提供する必要があります。
招集通知を送る時期には期限が設けられているため気をつけましょう。期限を破ってしまうと法令違反となります。
公開会社の場合は、総会が実施される日の2週間前までに通知を出す必要があります。非公開会社の場合には、総会の日の1週間前までです。発送や発信日を除いて2週間、あるいは1週間の日数が必要という意味となります。
ただし、一定の条件を満たす場合には期間を短縮することができます。たとえば、株主が1名しかいないような場合には、招集通知の期限が長いのは不便でしょう。また、すべての株主に同意を得られる状況であれば、特別に期間を設けなくても問題はないと考えられます。
たとえば、非公開会社であり、なおかつ取締役会非設置会社の場合には、定款に事前に定めておくことで、1週間よりも短い期間にすることも可能です。5日や3日にすることもできます。ただし、下記の3つの会社においては定款で期間の短縮をすることは不可能です。
・公開会社
・非公開会社であるが取締役会が設置されている
・書面投票制度か電子投票制度を採用している
また、株主が全員同意しているのであれば、招集通知そのものを用意する必要がなく、すぐにその場で開催することもできます。
招集通知には、株主総会が開催される日時や場所、議題、提出議案を記載しましょう。また、書面投票ができることを定めるのであれば、所定の事項を記載する必要があります。その際には必要書類の添付も求められます。
議題というのは、総会によって決議することであり、簡潔に記します。具体的な中身については記載する必要はありません。ただし、重要な事項については、具体的な中身も記載することが求められます。たとえば、役員などの選任や報酬、定款の変更、合併などが議案となる場合です。
ほかに、招集通知には発信日付や宛名、標題も記載する必要があります。
取締役会設置の会社では、計算書類と事業報告を添付書類として用意する必要があります。計算書類とは、賃借対照表や損益計算書、監査報告などです。事業報告には、事業報告と監査報告が含まれます。連結計算書類を作成している会社の場合は、こちらの書類も提供しなければいけません。
また、これらの書類を送ったあとで、修正するべき事項が生じた場合には、修正の周知方法をあらかじめ記載しておくことで、再通知の手間を省けます。たとえば、修正が行われる場合には会社のウェブサイトで公表すると事前に招集通知に記載しておきます。あるいは、官報や公告に使っている日刊新聞紙に掲載するという方法もあります。
株主総会の内容によっては、追記でさまざまな事項を記載しておく必要があります。たとえば、懇親会の開催案内や電子投票の取り扱いなどについてです。来場してもらう株主に事前に周知しておきたいことがあるならば、きちんとその内容を正確に記載しておきましょう。
ひょっとしたら株主のもとに郵送したものが届かないというケースが考えられます。規定通りに通知したのであれば、郵便局側の不手際などで株主に届かないことがあったとしても、その点について責任を求められることはありません。ただし、発送期限に間に合うように発送することは重要であり、その点は注意してください。
招集通知について違反があると株主総会決議取り消しの訴えを受ける可能性があります。招集通知漏れや期間の不足、手続きの違反などが考えられます。たとえば、通知を欠いた数が全体の4割近くに達したため、株主総会決議の不存在事由に該当したという判例が過去にあります。決議そのものが無効となったり、取り消しとなったりすると会社にとって重大な問題となるため注意しましょう。
会社と株主にとって株主総会はとても重要な存在です。法律によって、事前に招集通知を出すことが定められていて、内容についてもルールが決められています。法律をきちんと守り、必要な情報を正確に記載して、正しい方法で通知を出しましょう。
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