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TOBの不成立事例とは?具体的な事例を紹介!

HUPRO 編集部
TOBの不成立事例とは?具体的な事例を紹介!

企業が経営戦略の1つとしてTOBを実施するケースがあります。しかし、これは必ず成立するとは限らず、ときには不成立となることもあるため注意しましょう。さまざまな状況によって、TOBの結果は大きく変わってくるものだと理解してください。今回はTOBの不成立事例について解説していきます。

そもそもTOBとは何かよく分からないという方は、下記のコラムで詳しく解説していますので、ご覧ください。
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TOBの不成立とは?

TOBとは株式を取得するための方法の1つです。直接、対象とする企業の株式を株主より大量に買い付けることをいいます。経営権を取得する、公開会社がMBOをするために自社株を取得するなどの目的で行われることが多いです。

また、TOBには大きく分けて2種類あります。それぞれ、敵対的TOB友好的TOBです。敵対的とは、対象となる企業の経営陣の同意を得ないで取得することをいいます。一方、相手企業が同意した上で行う場合には友好的TOBとみなされます。

TOBというのは、上場企業を対象にして行われるものであり、ニュースで大きく取り上げられることが多いです。敵対的TOBの場合は悪い印象を与えることがよくあります。乗っ取りと表現されて企業が悪いことをしているとイメージされます。株式が公開されているすべての企業に対して敵対的TOBを実施することができます。

ただし、それに対抗するための手段もいくつかあります。そのため、実際にはTOBが不成立になってしまうケースがあるのです。乗っ取られようとしている企業は必死に対抗して、それが功を奏することがあります。

日本郵政と野村不動産の事例

2017年5月、日本郵政が野村不動産を相手にしてTOBを検討していることがニュースになりました。これは大きな話題となったため、覚えている人も多いのではないでしょうか。野村不動産を日本郵政の子会社にすることを目的としました。しかし、実際には報道されてから1ヶ月後にはTOBが中止となりました。これについては、両社の条件が合わなかったために不成立となったのです。

日本郵政はこのときに郵便事業が低迷していて、その状況を打開するためにTOBを持ちかけました。日本郵政は多くの不動産を有していて、それを生かすためのノウハウを得ることを期待して野村不動産に注目しました。成功すれば、日本郵政の持っている土地をマンション事業などで活用する道を模索していたのですが、最終的にはそれで収益拡大が望めないと判断して中止となったのです。このあとに、日本郵政と野村不動産の株価はどちらも下落しました。

ドン・キホーテとオリジン東秀の事例

ドン・キホーテとオリジン東秀の事例

2005年、ドン・キホーテは新たなビジネスの展開を模索していました。そんなときに注目したのがコンビニエンスストアです。新たにコンビニチェーンを展開することを考えていて、そのときにオリジン東秀と業務提携することを考えました。オリジン弁当を展開する会社と協力することによって、コンビニを展開するときに有利に運べると考えました。しかし、オリジン東秀側は断りました。そのため、ドン・キホーテから敵対的TOBをすることになったのです。

このときにオリジン東秀はTOBを避けるためにイオングループに助けを求めました。その結果、イオングループが対抗TOBを実施することになったのです。ドン・キホーテとのTOBは不成立に終わり、代わりにオリジン東秀はイオングループの傘下に入ることになりました。

このようにTOB不成立のために、他社に助けを求める事例はよく見られるものです。

スティール・パートナーズとブルドックソースのケース

米投資ファンドであるスティール・パートナーズは2007年にブルドックソースに対して敵対的TOBを実施しました。このときにブルドックソース側が買収防衛策を実施しましたが、それは不公平な方法であるとしてスティール側が差止めを申し立てました。

最終的に裁判所が判断することになり、東京地裁と東京高裁はいずれもスティールの主張を退けるという結果になりました。ブルドックソース側による防衛策は必要性と相当性があるものとして認められました。このようにTOBに関しては裁判沙汰にまで発展するケースがあります。

王子製紙と北越製紙の事例

2006年に王子製紙は北越製紙に対して敵対的TOBを企てました。王子製紙は業界トップシェアを誇り、北越製紙は当時業界シェア6位でした。業界のリーダーとしての地位を安定したものにするために、王子製紙は北越製紙を取り込もうとしたのです。このときには三菱商事のおかげで敵対的TOBを阻止することに成功しました。三菱商事が北越製紙の新株を引き受けて、24.4%の株を保有する大株主となりました。

村上ファンドと昭栄の事例

日本で初めて敵対的TOBが実施されたケースです。村上ファンドは2000年に昭栄に対して敵対的TOBを実施しようとしました。このとき、昭栄の株価は880円程度だったのですが、バブルの頃の利益によって600億円以上もの資産を保有していました。そこに村上ファンドが目をつけたのです。当初はTOB価格を1000円に設定していたのですが、昭栄の株価が上昇してしまったことで、最終日には市場価格がTOBの価格を上回ることになり、TOBが失敗に終わりました。

まとめ

現在、日本では敵対的TOBが行われることが珍しくなくなっています。これは必ず成功するわけではなく、不成立になってしまうこともよくあるのです。さまざまなTOBの不成立事例について紹介してきました。

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