休んでも給与支払の対象になる年次有給休暇。しかし基本給は1ヶ月の給与金額と定められていることが多いですが、有給休暇は1日もしくは時間ごとに取得します。有給休暇の取得時の給与はどのように計算されるのでしょうか?
本記事では年次有給休暇中の賃金をどのように計算するのか、正社員だけでなく、パート・アルバイトについてもその方法を解説します。
年次有給休暇中の賃金の賃金については、労働基準法第39条-9に以下のように定められています。
以下、具体的にどのような方法なのか見ていきましょう。
平均賃金とは、算定しなければならない事由の発生した日以前3ヶ月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(出勤日+営業日ではない)で割った金額です。
例えば、4〜6月の3ヶ月間の収入が60万円の場合、
4月は30日、5月は31日、6月は30日なので、合計91日となり、
平均賃金は、60万円/91日=6593.4066….円になります。
会社にとっては、事務処理が面倒ですが、有休として支払う賃金を日給分で計算するより少なくできるメリットがあります。
一番多く採用されているのがこのパターンです。
具体的な計算方法は、その会社や従業員がどのような賃金形態なのかによりますが、以下の7つに分けられます。
よくあるケースでは、正社員で日給制の場合はその金額を、月給制の従業員が年次有給休暇を取得した場合は、その日出勤したものとして、給与の減額を行わずに支払います。
また、アルバイト・パートの場合は、時給×所定労働時間数の①のケースが多いでしょう。①は、出勤日の1日の労働時間が決まっている場合に使われることが多い計算方法です。
しかし、毎回の出勤時間が異なる場合は、(1)の平均賃金を使う場合もあります。
特に月給の社員が多い場合は、有給休暇を何日取得しても基本給の変更がないため、会社としても事務処理が簡単で、従業員からの納得感も高い計算方法です。
あまり用いられることのない方法ですが、健康保険法の標準報酬月額を相当額と見なして支払う方法です。
標準報酬月額は、実際の報酬月額の金額によってレンジが決められており、協会けんぽの場合は都道府県によって異なります。
具体的に見てみましょう。
出典:全国健康保険協会 令和2年度保険料額表(令和2年3月分から)
例えば、報酬月額が25万円の人は、標準報酬月額が19等級の24万円になります。この金額をもって有給休暇の賃金を決めるのです。会社で社会保険に加入している人が対象となるため、パート・アルバイトにはあまり使われません。
なお、この方法で支払うためには労働者と労使協定を結ぶ必要があります。
3つの計算方法のうち、どれを選択しても良いのですが、どれを選択しているかということについては、就業規則に定めておく必要があります。
(健康保険の標準報酬月額は労使協定が必要なので、締結したうえで)
年次有給休暇の賃金計算方法については、就業規則の賃金規程内における絶対的記載事項の1つです。
賃金規程については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
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いずれの方法で計算を行うにしても、ルールについてはしっかり明記して運用するようにしましょう。
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