代表取締役が2人以上・複数の登記可能?銀行取引や税務署届出なども

複数人での会社立ち上げの際、代表者を誰にするかで悩むこともあるでしょう。
一般的には代表取締役は1名で登記することが多いですが、実は2人以上の複数名で登記も可能です。
代表取締役を複数登記する場合のメリット・デメリットのほか、税務署への届出や銀行取引などの注意点などについても解説します。
代表取締役は2名以上の複数人で登記できる?

代表取締役は2名以上の複数人で登記することは可能です。
代表取締役は、会社の経営業務をおこなう役員である取締役の中から選任され、会社を代表する代表権を持つ取締役のことを言います。
最近は1名で起業する人も多いので、代表取締役1名だけの会社というのも数多くあります。会社法には代表取締役の人数を制限する決まりはありませんので、希望があれば2名でも3名でも登記でき、取締役全員が代表権を持つことも可能です。
代表取締役は「取締役会」がある前提の役職となっています。取締役会設置会社の場合、「代表取締役を選定しなければならない」との会社法に記載があり、代表取締役を選任しなければなりません。
これに対して、取締役会を置かない会社では、取締役が複数いる場合は「各自」が代表取締役になり、これを「各自代表」といいます。もちろん、あえて代表取締役を定めることも可能です。
以下では更に詳細に踏み込んで、
- 代表取締役を複数登記した時の税務署への届出
- 代表取締役を複数登記した時の定款記載について
- 代表取締役を複数登記した時の代表者印
についてそれぞれ見ていきます。
代表取締役を複数登記した時の税務署への届出
税務署には代表者の変更があった場合に法人の異動届を提出する必要があります。代表者が追加になった場合は、納税地の所轄税務署によって対応が異なります。詳しくは最寄りの税務署まで確認してみてください。
代表取締役を複数登記した時の定款記載について
代表取締役を複数登記する場合は、定款にその旨を定めておく必要があります。例えば、以下は日本公証人連合会のモデル定款ですが、代表取締役の人数が1名となっています。
第 25 条 当会社に取締役を複数置く場合には,代表取締役1名を置き,取締役の互選により定める。
2 代表取締役は,社長とし,当会社を代表する。
3 当会社の業務は,専ら取締役社長が執行する。
このような定款を使っている場合は、代表取締役を複数おくにあたって定款の内容を変更しなければなりません。
人数を定めてしまうと、今後の運用に差し支えるので「1名以上」としておくのがおすすめです。
代表取締役を複数登記した時の代表者印
会社の実印については、法務局への印鑑登録が必要となります。
代表取締役の内1名の印鑑をだけを登録するのも、複数の代表取締役の印鑑を登録するのもどちらも可能です。
ただし、印鑑の共有はできませんし、複数印を登録する場合は同じ印鑑の登録はできません。
代表取締役が複数人の時の銀行取引口座は複数名義?
法人口座名義については、「〇〇株式会社 代表取締役〇〇」という名義で作成しますが、複数代表の場合は、銀行の名義については、複数の代表取締役連名である必要はなく、いずれかの代表者の名義でかまいません。
ただし、印鑑登録されている印鑑と登記されている代表者名が一致している必要があるので、印鑑登録していない(代表取締役印を持っていない)代表取締役についてはその名義で口座を作ることはできません。
代表取締役が複数の場合のメリット2点
代表取締役を複数置くことで、会社に対してメリット・デメリットが生じます。
メリットとしては主に以下の2点。
- 代表取締役がすべき仕事を分担できる
- 意思決定のスピードが速い
以下でそれぞれについて詳しく見ていきます。
代表取締役がすべき仕事を分担できる
代表取締役は会社法において「業務に関する裁判外又は裁判上の一切の行為をする権限を有する」とされています。
代表取締役がいないと会社に関わる大きな決断ができません。代表取締役が複数いれば、例えば、代表取締役が体調不良で入院などした場合、決裁者不在で会社の業務が滞ってしまうことを防ぐことができます。
また、それぞれに専門分野が異なる場合など、意見を一方に偏らせずに、的確な選択を行うことが可能です。
意思決定のスピードが速い
立ち上げたばかりのスタートアップなどでは代表取締役の決裁を待っているとせっかくのビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。
その際に、代表取締役が複数いれば契約締結をスムーズに行うことが可能となります。
代表取締役が複数の場合のデメリット2点
次に、代表取締役が複数いる場合のデメリットについてです。主に以下の2点です。
- 決定権者が複数いるために社内が混乱しやすい
- 代表取締役同士の関係が悪化した時に会社に与える影響が大きい
以下でそれぞれについて詳しく見ていきます。
決定権者が複数いるために社内が混乱しやすい
代表取締役だけの会社であれば、互いに話し合ってということもできますが、従業員が増えてきた場合に、どちらの意見に従えばよいかで混乱が起きやすいです。
代表取締役同士の関係が悪化した時に会社に与える影響が大きい
代表取締役が複数いる場合、関係が良い場合はビジネスのスピードアップ、スムーズな発展につながりやすいのですが、一旦関係が悪化してしまうと、序列がないため社内が混乱します。
まとめ
代表取締役を複数おくことについては、起業時に一度にやってしまえば特に手続きが大変というわけではありません。
メリットとデメリットを確認したうえで、メリットが大きいと感じたら代表取締役を複数とする体制を取ってみても良いのではないでしょうか。
この記事を書いたライター
Hupro Magazine編集部
株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のライティングなどを担当。大学法学部法律学科卒業後、銀行にてエネルギーや金属など"コモディティ"の取引、司法試験を中心とした資格試験予備校にてWEBマーケターとしての記事ディレクションなどを経て現職。法令や金融、資格試験の知識も活かしつつ、分かりやすくもためになる記事の作成に注力しています!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェント「ヒュープロ」をご活用ください!







