所有している固定資産に対して納税しなければならないものが、固定資産税です。賃貸物件は所有者ではないので納税義務はありませんが、自宅を購入すれば納税義務が生じます。この固定資産税ですが、どのようにして税額が決められるのでしょうか。今回は、固定資産税を求める計算方法についてわかりやすく解説していきます。
固定資産税とは、自らが所有している財産に対して納税しなければならない税金です。土地や家屋だけではなく、償却資産(事業用資産)も、固定資産税の対象となります。
土地とは、田、山林、畑、牧場などを指します。また、家屋とは、店舗、倉庫、工場のことです。課税対象となるものは、毎年の1月1日の時点において固定資産課税台帳に登録がされている固定資産となります。通常は、固定資産が存在している市区町村が課税しますが、東京23区においては東京都が課税します。
償却資産とは、土地や家屋以外のものを指します。例えば、会社で使用されているパソコンやコピー機など、時間を経過するにつれてその価値が減っていくものが対象です。そのほか、各種製造設備、医療機器、船舶、航空機なども対象となります。反対に償却資産に当てはまらないものとしては、自動車税の対象とされる自動車、そして特許権、無形固定資産です。償却資産も毎年1月1日が基準日となり、所有している償却資産の取得価格、取得年月、耐用年数などにより試算されます。こちらは、都税事務所か市区町村役場に申告をすることで課税されるかたちとなります。
固定資産税は、所有している固定資産の評価額に対して標準税率(1.4%)をかけることで求められます。計算式は以下の通りです。
固定資産税評価額とは、固定資産税を求める際の基準となる評価額で、各市町村(東京23区の場合はそれぞれの区)が土地や家屋などの評価を定めた「固定資産評価基準」に基づいて評価額を決めます。
標準税率は地方税法により定められた税率のことで、1.4%であることが基本です。ただし、財政危機に陥っている、または過疎化が進んでいるなどの市町村によっては、標準税率よりも高い税率がかけられているケースもあります。
これまでお話してきたようなかたちで固定資産税は割り出されているのですが、新築用地と住宅用地に関しては、特例によって固定資産税の軽減措置が用いられています。それぞれのケースをみていきましょう。
建物については、2018年3月31日までに新築され、課税床面積が120平方メートルである部分について、以下の条件が満たされれば3年または5年間の固定資産税が2分の1になります。
さらに、長期優良住宅に認定されている住宅の場合は、軽減期間が3年であるものは5年に、5年であるものは7年へと変更されます。
住宅用地については、以下の軽減措置が適用されます。
小規模住宅とは、住宅1戸あたりにおける200平方メートル以下の部分、住宅用地とは、専用住宅の土地や併用住宅で建物の4分の1以上が住居として使われている土地のことです。
床面積が同じであれば、固定資産税評価額は同じなのではと思うかもしれませんが、実は違います。建築素材やマンションなのか戸建てなのかによっても変わってきます。
大まかに説明すれば、建築したコストが高い家の方が、固定資産税評価額は高い傾向があります。例えば、床面積が同じであっても、木造の家よりも建築コストが高いとされる鉄筋コンクリート造(RC造)の方が評価額は高くなるのです。また、同じ床面積で構造の家であっても、キッチン、トイレ、システムバスなどの設備の品質や数、大きさなども固定資産税に関わってきます。
同じ購入価格で、土地の評価額にも大きな差がない地域の物件であれば、マンションの方が固定資産税は高い傾向にあります。なぜなら、固定資産税は、一般的には土地よりも建物の比重が大きくなるためです。マンションは、敷地面積を数戸数によって割った分だけが所有区分となるため、購入価格のなかで建物の占める割合が大きくなります。
固定資産税の計算方法を中心に、固定資産税についてまとめて解説しました。固定資産税はさまざまな基準や住宅などのコスト、大きさ、材質などが関係して割り出されます。固定資産税は、資産を所有している限り、納税し続けなければならないものですので、とても大きな総額となります。購入の前にあらかじめ計算しておくといいでしょう。