士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

販管費の内訳はどのように開示する?

公認会計士 大国光大2020.03.26
販管費の内訳はどのように開示する?

販管費は勘定科目も多く、どの科目を使ってどのように開示して良いのか悩む項目の一つです。今回は、販管費の内訳やその開示について、実務的な話を交えて解説します。

販管費の内訳を開示するのはどんな企業?

まず、販管費の内訳を開示する企業について説明します。
どんな企業であっても税務申告をする際に販管費の内訳については提出をしていると思います。損益計算書の中に直接記載している企業もあれば、別に表をつけて内訳を記載している企業もあります。また、会社法上の計算書類では販管費の内訳を株主にわかるようにしておきます。

ですが、これらの表示は内訳を開示しているというよりも会計ソフトに入力したものをそのまま提出していることが多いでしょう。
実際に多くの人にわかるように開示している企業といえば、上場会社と言えます。上場会社では有価証券報告書を提出しなければならないので、その中で販管費の内訳を注記として記載することとなります。

販管費の内訳の分析

販管費の内訳で何を記載しなければならないかというと、実際は明確な決まりはありません。というのも、販管費の中の勘定科目については企業が任意でわかりやすい名称で開示することとなっているからです。とはいえ、一応実務上一般的な名称を利用しないと見る人も混乱するので、ある程度は一般的な文言で統一されています。

販管費の内訳を実際に公表されている財務諸表から分析すると、多くは次の項目を記載しています。

・人件費
・各種重要な引当金の繰入額
・それ以外でも販管費の10%を超える項目
・企業にとって重要と思われる勘定科目

特に販管費の10%を超えるような項目の開示は必須とも言えますし、逆に引当金の繰入額でも重要ではないと考えられる場合は開示をしないこともあります。
どんな科目を開示するかどうかは監査を受ける際に公認会計士とよく相談をすることが必要でしょう。

製造業における販管費の内訳

今度は細かく製造業における販管費の内訳を解説します。
製造業で発生する費用と言えば、材料費、外注費、減価償却費、運賃、研究開発費等が考えられます。これらの費用のうち、販管費の代表例といえば販売にかかる運賃や、研究開発費、製造に関係のない減価償却費等が挙げられるでしょう。
特に製造業特有の研究開発費については、企業が支出した総額を開示するため、どのような費用が研究開発費にあたるかを考えなければなりません。また、製造に関係のない減価償却費、例えば本部がある自社ビルの減価償却費や営業で使う車両の減価償却費等が挙げられます。反対に、製造部門で使う機械等は売上原価になるため販管費の内訳にはなりません。

製造業における販管費の内訳

販管費の内訳の分析方法

販管費は経費削減ポイントであるとともに、戦略的に活用すれば売上に繋がるポイントでもあります。ですので、削るだけ削れば良いというものではなく、自社の状況を見て最終的にどうするかが重要です。

販管費の内訳を分析する方法は色々ありますので、方法別に解説をします。

販管費を前年対比する

最も一般的な方法は販管費を前年と比べて増加したか減少したかを確認する方法です。これについては通常の会計ソフトであれば簡単に比較ができるでしょう。
前年と比べる際に重要なのは、
・前年と比べて大きく増減した項目
・前年と比べて増減率が高かった項目
の内容を分析することです。

会社規模によって、例えば前年比100万円増減した項目もしくは10%以上増減した項目について、会計帳簿を比較することで理由を記載します。これが無駄な出費であったのか、戦略的な出費であったのかを評価して期末や来期の為にどのようにするか決定をします。
前年対比は比較が簡単であるという最大のメリットがあります。一方で、前年と企業の環境が大きく変わった場合や、変わらなければならない数値が変わっていない場合などはあまり有効な方法ではないと言えます。

販管費を予算対比する

前年対比よりも一歩進んだ方法が予算対比です。
予算に比べて増加してしまっている販管費があれば理由を明確にしておくことや、予算が十分に取られているはずなのに実績が計上されていない理由を調べます。
予算超過の部分を分析することはもちろんですが、予算に計上されているのに実績が伴っていない費用があるとすれば、翌月以降に支出される可能性が高いため、当月の利益が出たことを素直に喜んではいけないことがわかります。

予算対比は企業の目指すべき方向性と合っているかを知るのにはとても良い方法となります。一方で、予算の精度が低いと意味のない数値と実績を比較することとなり、あまり意味を持たなくなります。

販管費を売上対比する

これ以外にも、売上と販管費の割合を分析することも有用です。
例えば広告宣伝費と売上の割合がいびつであれば広告宣伝の効果を疑うことになりますし、販管費の中でも売上に連動するはずの項目が売上以上に伸びている場合は経費の見直しにもつながります。
また、例えば飲食業では売上の10%程度の家賃が良いとされていますが、それが守られているかどうかを確認できます。

ただし、売上対比ではいくつも事業所がある会社の場合は分析が複雑になりますし、増減した原因が販管費ではなく売上側にあると原因の把握を間違える危険性があります。

まとめ

販管費の内訳は企業の裁量に任される部分も多いですが、一般的には実際に開示されているものを参考にして企業が重要と思うものを開示しています。
また、販管費の内訳を分析することによって企業が今何をしなければならないかも明確となるので、自分なりに分析をしてみる癖をつけていきましょう。

カテゴリ:コラム・学び

この記事を書いたライター

公認会計士 大国光大
公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。

関連記事

RANKING人気の記事

TAG人気のタグ