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少額減価償却資産と償却資産税、一括償却資産との関係を解説!

公認会計士 大国光大
少額減価償却資産と償却資産税、一括償却資産との関係を解説!

少額減価償却資産は、一括償却資産、償却資産税等と名前が似ていてなかなかぱっと違いを答えられないこともあるかと思います。
そこで今回はそれぞれの違いから仕訳まで網羅的に解説をします。

少額減価償却資産とは

少額減価償却資産とは、青色申告をしている中小企業が採用できる、取得価額30万円未満の減価償却資産のことを言います。

具体的には、例えば24万円のパソコンを購入したとすると、通常の減価償却費計算では24万円を6年にわたって減価償却を行います。ところが、この少額減価償却資産精度を使うと、24万円を一回で費用処理を行うことができます。

よって、減価償却を行うよりも費用となる時期が早くなり、いわゆる節税が可能と言えます。

ただし、いくらでも少額減価償却資産として損金にできるわけではなく、あくまでも一事業年度で300万円までとなっています

また、税込経理をしている場合は税込みで30万円未満、税抜経理をしている場合は税抜で30万円未満が対象となります。よって、税抜経理を行っている方が少額減価償却資産になる可能性が高まるため、税込経理と税抜経理で迷っている場合は税抜経理の方が得とも言えます。ただし、基本的に税込経理の方が楽とは言えますので、その点も考えて決めましょう。

少額減価償却資産と一括償却資産の関係

少額減価償却資産とよく似た言葉に一括償却資産というものがあります。
一括償却資産は10万円以上20万円未満の減価償却資産について、1つずつ償却を行うのではなく他の一括償却資産と一括して減価償却を3年間で行うものを言います。
一括償却資産は少額減価償却資産と違い3年間で償却が行われるので、損金となるスピードが若干遅いと言えます。

ですが、少額減価償却資産のように300万円までという縛りが無い為、対象資産であればいくらでも一括償却資産に計上できるところが異なります。

また、例えば1つ18万円の資産があったとしたら、少額減価償却資産と一括償却資産のどちらとも対象となりますが、選択してどちらかを選ぶことができますし、正規の減価償却計算を行うこともできます。

選び方については、過去にどの処理をしていたかという継続性と、どの処理方法が最も得であるか、どの方法が経理として間違えにくいか、等考えられるメリットデメリットから処理を選択しましょう。

少額減価償却資産と一括償却資産の関係

少額減価償却資産と償却資産税の関係

毎年、年末時点での減価償却資産を市町村に報告すると、市町村によって償却資産税が決定されて納付する必要があります。

減価償却資産の簿価が低ければ低いほど償却資産税が減少しますし、逆に簿価が高い方が償却資産税も増加します。

少額減価償却資産は取得時に全て費用処理を行うものですから、償却資産税を支払わなくても良いのでは?と思われるかもしれません。

しかし、【少額減価償却資産】として費用処理をしたものは償却資産税に含めなければいけません。

一方で、【一括償却資産】を選択した資産については償却資産税の申告に含めなくとも良いことになっています。

ですので、一時期の法人税の節税には少額減価償却資産として処理したほうが良いようにも見えますが、償却資産税のことを考えると、少額減価償却資産での処理はかえって税務上は損をしていることもあるので注意しましょう。

少額減価償却資産の仕訳

では少額減価償却資産の仕訳はどのようになるでしょうか。例えば1台12万円のパソコンを購入したとして考えましょう。

単純に、1年で全て費用処理をするのですから、次のような仕訳が考えられます。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
消耗品費 12万円 現金預金 12万円

 
ただし、あくまでこの方法は特例であり、年間300万円までしか使えないため、後に集計できるようにしなければなりません。よって、次のような仕訳を同時に行っている会社もあります。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
器具備品 12万円 現金預金 12万円
減価償却費 12万円 器具備品 12万円

どちらの仕訳をしたとしても補助科目を使うなど、集計しやすくする必要があります。

ちなみに、これを一括償却資産で処理した場合は次のような仕訳となります。

・購入時

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
器具備品 12万円 現金預金 12万円

・決算時

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
減価償却費 4万円 器具備品 4万円

または、全額費用処理をしておいて、法人税の申告書だけで調整する方法もあります。

まとめ

少額減価償却資産と一括償却資産は名前も似ていて、金額も似ている為、間違えやすい項目と言えるでしょう。似たような方法ではありますが、青色申告を条件に少額減価償却資産は中小企業のみ、一括償却資産はどの企業でもできるという違いがあります。

どちらで処理するかによって決算書の見え方や法人税の金額、償却資産税の金額が変わってきます。償却資産税を申告するまでであれば期中で仕訳を変更することができるので、当初予定していなかった20万円程度の資産購入があった場合は、全体を見てどちらで処理したほうが有利か、計算すると良いでしょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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