公認会計士の試験は合格が難しいと言われていますが、実際の合格率はどうなっているのか、その動向が気になります。年によっても合格率が異なると言われている公認会計士試験ですが、今回はその合格率の傾向と分析を行います。公認会計士試験の特徴をつかんで、一発合格するための方法も知ってみませんか。
公認会計士の試験の合格率は大体平均してどのくらいなのでしょうか。試験科目の多さと、学習量の多さから、試験内容が難しいと言われているのが公認会計士試験です。公認会計士試験は、一次試験の短答式試験と二次試験の論文式試験に分かれています。
一次試験の短答式試験の合格率ですが、最近の数年間の合格率は、20~25%で、4人に1人の合格率となっています。結構高い合格率となっています。
短答式試験は、12月と5月にあって、年に2回受験チャンスがあるのも嬉しいポイントです。財務会計論、管理会計論、監査論、企業法などの科目について、マークシート形式で、70%以上の正解で合格ラインとなっています。
二次試験の論文式試験は、35~40%となっていて、3人に1人の合格率です。一次試験の短答式試験に合格した人が受験できます。年に1回、8月に試験が行われます。
記述式の論文を書く試験で、会計学、監査論、企業法、租税法など様々な科目があり、それらに全部合格する必要があります。
合格基準は受験した人の偏差値52前後で合格です。短答試験を合格した4人に1人の人と競争して、それより少し上の偏差値52を取る必要があるようです。
また、たとえ、論文式試験に失敗しても、短答式試験に合格していれば、そのまま3回は論文式試験に挑戦できるチャンスがあります。さらに、論文式試験自体も、「科目合格制度」があり、1科目でも合格すれば、その科目は合格ということで次に免除されます。(2年間有効) 従って、短答式試験にまず一発合格し、数年にわたって少しずつ論文式試験の合格を目指す人もいます。
一次試験の短答式試験と二次試験の論文式試験の両方合わせた最終合格率も気になるでしょう。
最終的に、一発で受かった人の合格率は、おおよそ10人に1人です。そう考えると、やはり、高い合格率とは言えなくなるのが事実です。
また、難しいと言われている試験の合格率は、年度によっても変動があります。過去に、2007年、2008年に高い合格率となったことがありました。そのために、多くの会計士が誕生して、就職難を招きました。そこから、2010年以降2~3年は公認会計士が人気となって、受験者数が増加。
その後、少し合格率を下げてきていて、現在に至っています。ここ数年は少しずつではありますが、合格率が上がっています。しかし、それでも10人に1人の合格率は容易とは言えないでしょう。
公認会計士の合格者の平均年齢は2018年の試験で25.0歳です。学生が多いのが特徴で、慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学、中央大学、東京大学などの大学の合格率が高くなっています。
多くの分野の勉強をしなければいけないので、時間的にも余裕がある大学生が集中的に勉強して受験するケースが多くなっています。大学を卒業後の若い人の合格率も高い傾向です。
公認会計士試験を一発で合格したいと思っている人は多いでしょう。公認会計士試験の特徴を分析することで難しい試験もクリアできます。
学生の合格率が高くなっていることからもわかるように、公認会計士試験は、短期集中で勉強することが一発合格のコツです。
公認会計士試験には短答式試験と論文式試験がありますが、まず短答式試験を一発で合格する方法を知っておくといいでしょう。
短答式試験はマークシート式で会社法、管理会計論、監査論、財務会計論の4つの分野が試験内容になり、学習範囲が広いのが特徴です。
この特徴をよく理解して一発合格を目指す方法は下記の方法です。
税理士試験のように一つずつ合格していくような計画は立てられませんので、4分野を全て一気に勉強する必要があります。
一発合格するためには最低でも3,000時間の勉強時間が必要だと言われています。
また、短答式では問題数が多く時間が足らない科目もあり、管理会計論などはマークシート式と言っても全部解き切れない人が多いのが特徴です。解きやすいものから解いていくことも必要です。
短答式では、総点数の 70%を合格の基準としています。1科目でも40%未満の得点比率の科目があると不合格になります。苦手科目を作らず、ある程度の問題数をこなすことが一発合格を目指すコツと言えます。
会社法、管理会計論、監査論、財務会計論の4分野をまんべんなく勉強し、特に管理会計論については多くの問題がありますので自分が解けるものを多くしておく必要があります。解けないような問題を後回しにして問題数をこなす必要があります。
論文試験については、科目別合格ができますのでじっくり勉強することも可能です。短答式試験の勉強をしてからでもいいのですが、多くの科目の論文対策が必要です。
論文式試験には、必須科目5つと選択科目1つの合計6つが対象となります。
必須科目には、財務会計論、管理会計論、監査法、企業法、租税法があり、選択科目には、経営学、経済学、民法、統計学があります。
選択科目は自分の得意なものがあれば、それを選ぶことができていいでしょう。
必須科目については、特に管理会計論や租税法は内容が幅広くなります。特に租税法は、短答式試験では勉強しませんのでしっかり勉強する必要があります。
公認会計士試験の論文試験でも一発合格を目指すには、試験の特徴をよく知っておきましょう。法令基準集が持込可となっている点も大きな特徴です。
試験で配布され参照できるようになっています。法令集を活用して論文試験が解けるように、具体的に試験と同じ練習をしてみるといいでしょう。
また、論文試験の試験内容も広範囲ですので、詳細な問題をやるよりも論文として内容を網羅した文章が書けるようにします。
勉強の仕方のコツを論文試験では習得して、一発合格を目指す必要があります。
今後の会計士試験の合格率はどうなるのかも気になります。会計士の受験者数と合格者の動向はどうなのでしょうか。
最近は、合格率は上がってはきていても、それほど高くはありません。2010年頃のような大きな会計士人気にはなっていないでしょう。受験者数の大きな増加もあまり起きることがない傾向です。2010年のピーク時に比べると4割程度に受験者が減り、合格者も同じ割合で減少しています。
また、公認会計士が大幅に不足するというような現状になったら、合格率が少し高くなる可能性もありますが、現在のところはあまり大きく合格率が上がることはない傾向です。
こうして見ると、公認会計士試験に一発で合格する合格率は、最近では10%、10人に1人の割合です。医者、弁護士試験と同じく最難関の合格率と言えます。
公認会計士試験の合格率の低さでもわかるよう、沢山の分野の勉強をしなければいけないことが難易度を上げています。公認会計士試験に合格する10人に1人になるには、論文式試験の各科目で、偏差値52を取れるように苦手分野を作らないようにしなければいけません。
多くの分野の勉強をして、沢山勉強していけば、1年で無理だとしても何年かかけて会計士試験に合格することができるでしょう。合格率は低くても、努力をすれば合格が目指せる試験です。そして、合格率が低く、難しいからこそ、貴重な価値がある、認められた資格ともまた言えるでしょう。