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棚卸に関する仕訳について実践的に解説します

HUPRO 編集部
棚卸に関する仕訳について実践的に解説します

サービス業以外の仕入販売や製造販売をしている会社のほとんどは棚卸に関する仕訳記帳が必要ですが、どのように仕訳を切っていくべきでしょうか。期首商品棚卸高から期末商品棚卸高、棚卸資産の評価方法まで具体例を交えながら解説していきます。

棚卸仕訳の基本とは

棚卸の仕訳を理解するためには、「期首商品棚卸高」+「当期商品仕入高」-「期末商品棚卸高」=「売上原価」の基本式を理解する必要があります。売上原価を直接的に算出することはできないので、上記の基本式に当てはめて逆算的に算出しているのです。「期首商品棚卸高」が50万円、「当期商品仕入高」が300万円、「期末商品棚卸高」が70万円だとしたら、「売上原価」は50万円+300万円―70万円=280万円となります。

棚卸の具体的な仕訳内容

棚卸の仕訳は下記の通りです。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
期首商品棚卸高 50万円 商品 50万円
商品 70万円 期末商品棚卸高 70万円

この仕訳を2本切ることにより、商品勘定の中で売上原価が逆算的に計算されることになります。

実地棚卸の仕訳について

期末商品棚卸高は、始めに期末に実施する実地棚卸により在庫数を確定させます。実地棚卸とは、商品在庫がある場所に行き実際に在庫が何個あるかを確認する手続のことを言います。実地棚卸をした結果、在庫管理システムと在庫数が一致していた場合は特に処理は必要ありません。一方、差異があった場合は下記の仕訳を切る必要が生じます。数字例は実地棚卸をした結果、10万円分の商品が見つからなかった場合です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
棚卸減耗損 10万円 期末商品棚卸高 10万円

 

棚卸減耗損の表示場所は発生原因により2通りに分類されます。毎期経常的に発生する性質のものであれば売上原価とし、盗難や災害など非経常的に発生したものであれば営業外費用、もしくは特別損失に計上します。

棚卸資産の評価手法について

棚卸資産の評価手法は大きくわけて下記の6種類があります。

(1)先入先出法
(2)後入先出法
(3)平均原価法
(4)売価還元法
(5)個別法
(6)最終取得原価法

(1)先入先出法とは

先に仕入れたものから順番に売上原価に算入していくという仮定にて仕訳記帳していく方法です。あくまでも会計処理の話であり、実際の物流の流れとは関係がないことに注意してください。

(2)後入先出法とは

先入先出法とは逆に、後から仕入れたものから順番に売上原価に算入してくという仮定にて仕訳記帳する方法となります。

(3)平均原価法とは

仕入れた商品の平均原価を計算し、その平均原価にて期末棚卸資産を評価する手法です。平均原価の計算方法は移動平均法、総平均法によって計算されます。

(4)売価還元法とは

商品をいくつかの分類にわけ、分類ごとの売価を合計し原価率を乗じて期末商品棚卸資産を評価する手法です。例えば小売業など多種多様な商品を日々大量に販売している場合などに使われている方法です。

(5)個別法とは

個別法とは、一つひとつの商品の原価を厳密に把握し、何が売れたのかをきちんと管理する方法です。中古美術商など一点の商品が高額で数が少ない場合などの際に使用される方法です。通常のスーパーや小売業で個別法を採用しようとしてもあまりに仕事量が膨大になり実務上の対応は不可能です。

(6)最終取得原価法とは

最終取得原価法とは、最後に仕入れた商品の単価を期末商品棚卸高に反映させる方法です。仕入商品の価格が日々安定的に変動している場合などに最適な手法です。

棚卸資産の評価手法について

棚卸資産に品質低下したものや陳腐化したものがある場合の仕訳について

期末商品棚卸高に、品質低下したものや陳腐化したものが含まれている場合は、当期の費用として処理しなければなりません。仕訳は下記の通りです。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
品質低下評価損 10万円 期末商品棚卸高 10万円
陳腐化評価損 10万円 期末商品棚卸高 10万円

品質低下評価損は、物理的な劣化により評価が下がったと認められた場合に計上します。例えば期末在庫の一つの商品に傷が付いてしまい、市場価格で売ることは困難になってしまった場合などが考えられます。陳腐化評価損とは、経済的な劣化により評価が下がった場合に計上します。例えばアップデートされた商品が市場で出回っている中、古いバージョンの商品はほとんど売れません。この時、古いバージョンの期末在庫について陳腐化評価損を計上する必要が生じます。品質低下評価損、陳腐化評価損の表示は実情を考え、売上原価、販売費および一般管理費、営業外費用のどこにも表示される可能性があります。

低価法を採用した場合の棚卸の仕訳について

低価法とは正味売却価格と期末帳簿価格を比較して、正味売却価格の方が低い場合にその差額を費用として処理する方法を言います。正味売却価格の方が低いということは、きちんと売ったとしても売却損が出てしまうため、早い段階で費用として認識するべきという考え方に基づきます。低価法を採用した場合の仕訳は下記のとおりです。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
商品評価損 10万円 期末商品棚卸高 10万円

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