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監査の種類にはどんなものがある?現役公認会計士が解説!

公認会計士 大国光大
監査の種類にはどんなものがある?現役公認会計士が解説!

「監査」と聞くとちょっと身構える人も多いと思います。では、監査というのはどのような種類のものがあるのでしょうか。今回は、監査の種類について公認会計士が解説します。

そもそも監査とは何かあまりよく分かっていないという方は下記のコラムで詳しく解説しているのでご覧ください。
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監査とは?

まず、監査とは特定の事業体について法令や規程等を遵守しているかどうかをその事業体から独立している監査人によって評価されることを言います。

独立、というのはその監査の内容に応じて変わってきて、内部の部署で独立しているものもあれば、全くの第三者が実施するものまで様々です。

一般的にその部署から独立していればいるほど証明の水準が高いと言えます。

会計監査

まず、監査の代表的なものとしては会計監査が挙げられます。
会計監査とは、監査法人もしくは公認会計士によって企業の財務諸表が会計基準に従って処理されているかどうかをチェックし、その財務諸表に対して監査証明が発行される業務を言います。

会計監査を受けなければならないのは、上場企業と会社法対象会社、一定規模以上の社会福祉法人や公益法人、地方自治体等幅が広いです。

上場企業についてはイメージが湧くと思いますが、会社法対象会社というのは
資本金5億円以上もしくは負債200億円以上の会社となります。

会計監査は期末の財務諸表を監査されるだけではなく、効率化のために期中にも随時行われます。一般的に数人から数十人の公認会計士のチームを組んで一社の財務諸表を見ることとなります。

業務監査

業務監査というのは、企業の業務が社内規定に従っているかどうかを内部監査室等の部署が該当する部門を監査することを言います。

もしも社内規定に沿っていない業務があった場合は改善命令を社長名で該当部署に出し、後日改善報告書を社長宛てにその部門が提出することとなります。

業務監査は不正防止の観点から、一定規模以上の会社や上場会社において行われます。

税理士による巡回監査

税理士による巡回監査という言葉を聞くこともあります。これは、特定の会計システムを採用している事務所でよく使われる言葉ですが、

会社の担当者が入力した会計帳簿が正しいかどうかを原則月次ベースで税理士もしくは会計事務所の担当者がチェックすることを言います。
他の監査と違って、巡回監査では不備があっても今後記帳をしっかりしてくださいという助言が行われるだけで、改善命令や監査報告書のようなものを発行する業務ではありません。

よって、厳密には監査というよりも記帳指導等と言い換えた方がわかりやすいでしょう。

監査役監査

監査役設置会社では、監査役による企業の監査が行われます。
監査役監査では、会社法通りに取締役会や株主総会が開かれているか、企業が法令を遵守しているか等の観点でチェックが行われます。

また、企業の財務諸表についても監査をすることとなります。

規模の大きな会社であれば会計監査人がいるため、会計監査については公認会計士が実施することとなり、監査役はその計画や結果の説明を受けることで会計監査を省略し、自身は企業が法令を遵守しているかどうかのチェックに注力します。

また、上場企業では監査役会が設置されることが多いですが、この時は主に一人の常勤監査役が監査を行い、非常勤の社外監査役は常勤監査役から結果報告を受けたり、常勤監査役にアドバイスをしたりします。

IT監査、システム監査

監査の中にはITやシステムに絞って行われるものもあります。IT監査は会計監査の一環でIT専門家によりシステムが正しく動いているか、IDやパスワードの設定は正しいか、システム変更の場合は適切な手順を踏んでいるかどうか等を確認します。

年々企業のIT化が進んできており、どのような監査においてもITに依存する場面が増えてきている為、ますます重要な監査となっていくでしょう。

ISOの内部監査

主に製造業では、ISOという国際的な品質管理規格に準じているかどうかの内部監査行われることがあります。

ISOを取得すると、その後は一定の期間に監査を受けなければなりません。ISOの内部監査では、最新のISOに適合したルールが作られているか、また、そのルールに沿って業務が実施されているかをまず内部で監査します。

ここでは、自分の部署を監査することはできず、他の部署が独立して監査を行うこととなります。この他製造業であれば仕入先の品質が正しいかどうかをチェックするために他社が監査を行うことがあります。ISOに準拠しているかどうかだけではなく、品質水準が供給先のものと一致しているかどうかを確かめます。

もしもこの監査において品質が満たされていないことがわかれば最悪取引停止となる場合もあるため、日々の品質管理や自社での内部監査がとても重要となります。

まとめ

監査と一口に言っても外部の第三者が行う会計監査から、内部監査室等が行う業務監査まで様々となります。どの監査も受けることがわかってから慌てて用意していてはボロがでるだけです。常日頃から監査を受けるつもりで業務を行って書類などを整理整頓しておくことが重要でしょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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