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外部監査とは?流れを公認会計士が解説します!

公認会計士 大国光大
外部監査とは?流れを公認会計士が解説します!

「明日から外部監査が来ます」と言われても何をしてよいのかピンとこないかもしれません。そんな時でも焦らないように、今回は外部監査の流れについて公認会計士の立場から解説します。

外部監査とは?

外部監査とは、会社の作った財務諸表について、公認会計士または監査法人によってチェックを受けることを言います。

どの企業も受けなければならないわけではなく、主に上場会社や会社法適用会社が外部監査を受けることとなります。

上場会社は普段株式が取引されている会社ですが、会社法適用会社というのは資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の企業を言います。

以下で外部監査の流れをそれぞれ見ていきます。

外部監査人との契約

まず、監査を受けるためには外部監査人と監査契約を結ばなければなりません。知り合いの紹介から探すか、直接監査法人に連絡を取るところから始まります。

いきなり監査契約をするのではなく、まず監査人が会社の財務内容をチェックしたり、前任監査人がいる場合は十分に引継ぎができることを確認したりした上で契約をします。

会社が不正を隠していたり、しっかりと対応してくれなかったりすると監査リスクが高いということで契約をしてくれません。

監査計画

監査契約を結んだら、監査人は1年間どのように監査をするのか監査計画を立てます。この監査計画については監査役や内部監査室の担当者が共有して、それぞれの監査を補完しあうこととなります。

ここでは経理部員は直接関係ないのですが、監査役から監査工数が妥当かどうかを聞かれることとなるので、あらかじめどのくらいの日数が必要かは監査人と協議しておくことが必要です。

期中監査

財務諸表を監査すると言っても年度末に一気に行うのではなく、期中何回かに分けて監査が行われます。

期中監査では試算表、仕訳帳、勘定元帳、固定資産台帳等あらかじめ監査人から依頼された資料を用意しておきます。

監査人が現場に到着すると必要な資料を請求されますので、自身で探すか、他部署にある資料であれば他部署に依頼することとなります。

よく請求される資料としては、

・請求書
・見積書
・稟議書
・取締役会議事録等

となりますので、いつでも見せられるように常日頃から整理整頓をしておくことが必要です。

ちなみに、監査人が請求する資料は主にその期に購入した大型の資産の請求書や、修繕などが行われた場合の見積書等となります。とはいえ、サンプルで選ぶので急に少額の費用について問い合わせが来ることも良くあります。

棚卸立会

期末日には会社は在庫の棚卸をします。ここで、監査人も数名手分けして在庫の棚卸に立ち会うこととなります。

棚卸立会では、あらかじめ棚卸マニュアルを監査人に渡しておいて、監査人はそのマニュアル通り棚卸ができているか全体を見るとともに、数十件サンプルで実際の在庫と帳簿の数量があっているかどうかをカウントします。

残高確認

期末日付近から期末日後にかけて残高確認というものを行います。
残高確認というのは、銀行、得意先、仕入先等に会社の帳簿残高が本当にあっているかどうかを監査人が直接手紙によって先方から回答を要求するものです。

送付先は監査人が選びますが、住所や会社の記録している金額を記入する箇所があるので、準備については会社がすることとなります。

また、監査人に届いた残高と会社が認識している残高と違う場合は、その差額の理由を聞かれるため、なぜずれているかを検証する必要があります。

(例えば会社は出荷した時に売上を認識しているのに、先方は荷物が届いた時に仕入を計上していて会社が遠方である場合はこちらの売掛金と相手の買掛金が不一致となります)

実査(じっさ)

実査は、会社の現金、手形、小切手、有価証券、切手などの貯蔵品が実際に存在するかどうかを監査人が直接チェックをすることを言います。期末日の在庫が知りたいので、通常は期末日後数日のうちに行われます。

実査で金額が1円でも違っているというのは会社の管理体制がずさんだと考えられる為、必ず1円単位であっていることを事前に確かめておきましょう。

また、会社の金庫にあるものだけではなく、外部金庫に保管しているものも対象となるため、通常は前日に銀行から持ってくることとなります。

期末監査

会社で決算の数字が固まると、監査人が本当にその決算が正しいかどうかをチェックします。ちなみに、期中監査もそうですが、通常監査人は会社規模に応じて4名~数10人のチームを組んで数日間にわたって行われます。

新人が現金預金、借入金等の科目を担当し、ベテランが税金や引当金等の科目を担当します。監査も時間との闘いで、作業が終わらないと監査人も帰れないため、事前に依頼された資料はすぐに準備しておいて気持ちよく帰ってもらえるようにしておきましょう。

まとめ

外部監査の流れは以上の通りです。どんな資料を揃えるかは事前に監査人から依頼があるため迷うことはないでしょう。ただ、中には会社にない資料が記載されている場合があるので、ない旨を伝えると共に、必ず「何のために欲しい資料」かを聞くようにしましょう。そうすれば、他の資料でも大丈夫な場合も多く、無駄に資料を探す時間も短縮できることでしょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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