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子会社を清算した場合の会計処理および税務処理は?

HUPRO 編集部
子会社を清算した場合の会計処理および税務処理は?

業績の悪化等でしばらく減損を続けていた子会社を、ついに清算する場合、どのような会計処理が必要になるでしょうか?実は、清算にあたっては会計処理だけでなく、税務処理も考慮しなければなりません。今回は、子会社を清算する場合の会計処理、および税務処理について、解説していきます。

100%子会社を清算した場合の、親会社の会計処理

それまで親会社にて当該子会社株式の減損をしていなかった場合には、子会社の清算に伴って、帳簿価額をそのまま損失に計上するのが原則です。子会社株式は、原則的には取得時の価額で保持されますので、その分が損失になります。

一方、それまでに業績が悪化しており、親会社にて当該子会社株式について、既にある程度の減損がされていた場合は、どうなるでしょうか。この場合、まだ帳簿価額が残存していれば、その分が損失に計上されます。一方、ゼロ円まで既に減損されていれば、清算における損失は計上されません。

子会社を清算した場合の、親会社の税務処理

子会社の清算時に、いわゆる残余財産を親会社に分配という形で払い戻す場合、税務処理について特に気を付ける必要があります。なお、平成22年度の税制改正にて、法人が清算した場合の課税関係について、大きな変更が行われました。つまり、財産法による課税に代わり、損益法による課税が適用されることになったのです。

具体的には、子会社の残余財産を親会社に分配した場合は、税務上は資本の払戻しとして取り扱われますので(法人税法24条1項4号)、資本金等の額の減少と、それを超過して分配されたときは、その超える部分が利益積立金額の減少として扱われます。その利益積立金額の減少部分が、いわゆるみなし配当になります。なお、清算する子会社から資産を親会社に譲渡する際の価額は、時価となります。譲渡対価とその時価が異なる場合には、グループ法人税制によって、子会社には寄付金(損金不算入)、親会社には受贈益(益金不算入がそれぞれ計上されます。親会社は、当該寄付金の分だけ、子会社株式の帳簿価額を変更することになります。

また、親会社と子会社との間に100%の完全支配関係があるときは、みなし配当に係る親会社における受取配当金は全額益金不算入とされます(法人税法23条1項)。一方で、株式の譲渡損益についても不計上とされますので(法人税法61条の2第17項)、親会社の所得には影響がありません。
ただし、残余財産の分配がない場合は、親会社の有する子会社株式の税務上の帳簿価額相当額を資本金等の額の減少として処理します(法令8条1項22号)。ですので、損金算入されない点に留意してください。

子会社の清算についての会計処理および税務処理の具体的仕訳

では、実際に子会社が清算されたとして、具体例を挙げて解説していきます。
前提として、子会社(100%)が業績悪化しており、減損を経て清算することが予定されていたとします。
まず1年目に、子会社株式の帳簿価額を100から0まで減損した際の会計処理は、以下の通りになります。
 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
子会社株式評価損 100円 子会社株式 100円

また、税効果会計を適用していれば、同時に以下の仕訳を切ります(実効税率30%とします)。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
繰延税金資産 30円 法人税等調整額 30円

この場合、税務上は子会社株式評価損については損金不算入と判断されるとすると、仕訳はありません。

次に、翌年の会計処理は、企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき、完全支配関係がある子会社清算で、清算結了まで子会社株式を保有し続ける場合は、繰延税金資産の回収可能性はないと判断されます。よって、繰延税金資産を取り崩す仕訳を切ります。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
法人税等調整額 30円 繰延税金資産 30円

また、この場合も税務上は何ら必要な仕訳はありません。

最後に、清算手続きが結了した期の仕訳を見ていきましょう。会計上は、すでに帳簿価額が0となっているため、特段の仕訳はありません。一方、税務上は、子会社株式の償却損が損金不算入とされるので(法人税法61条の2第17項)、子会社株式の帳簿価額相当額について、資本金等の額の減算をします(法令8条1項22号)

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
資本金等の額 100円 子会社株式 100円

子会社の清算におけるその他税務上のポイントなど

まず、繰越欠損金のうち未使用のものが親会社に引き継がれます(法人税法57条2項)。繰越欠損金が会社間で引き継がれるのは、適格合併と、この子会社の残余財産確定の時だけです。

また、残余財産の分配が、現物資産によってなされる場合は、税務上の適格現物分配に該当します。親会社においては、清算される子会社における現物分配直前の帳簿価額で当該資産を受け入れることになります(法令123条の6第1項)。

まとめ

今回は、子会社が清算される際の会計処理と税務処理について解説してきました。特に税務については複雑な処理もありますが、子会社の清算はままある状況ですので、この記事や解説本を参照していただければ幸いです。

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