会計大学院とは公認会計士として備えるべき資質・能力の養成を目的とした会計専門職大学院で、別名アカウンティングスクール略して“アカスク”とも呼ばれています。
最大の特徴は、会計大学院の修了者は公認会計士試験において一部科目免除されるという点です。試験は短答式と論文式の二つの試験に分かれていますが、なんと短答式4科目中3科目が免除です。
また、講師陣とのコネクションづくり、様々な人たちとの交流等を通じて、合格後の就職・転職等に大いに役立ちます。相応の学費と時間を費やしますが、公認会計士を目指すなら会計大学院への入学はおすすめの選択肢のひとつと言えます。
今回はそんな会計大学院について詳しく解説していきます。
会計大学院とは会計分野を中心に専門的に展開する大学院で、公認会計士試験の一部科目免除の要件を満たす会計専門職大学院、別名アカウンティングスクール(略してアカスク)のことです。その数は全国で13校設置されており、会計大学院ごとにその特色は異なります。修業年数は2年が一般的ですが、1年というのも見受けらます。
目的は「アカウンティング・マインド」を持った会計プロフェショナルを養成するため、と社会人のリカレント教育の機会提供が期待されています。
カリキュラムは、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法、経営学、経済学、民法、統計学の公認会計士論文試験の対象科目9科目が中心です。会計大学院修了により与えられる専門職学位は会計修士(専門職)あるいは会計学修士(専門職)という名称になります。
会計大学院に行く大半の人は公認会計士の資格取得を第一の目標としています。
公認会計士資格は医師、弁護士と並び国家資格のなかでも最難関の部類に属するもので、試験は短答式(マークシート方式)と論文式の二つに分かれており、短答式は年2回、論文式は年1回行われます。短答式一次試験の合格率は約25%強、論文式二次試験の合格率は約40%弱であり、毎年、受験生のおおよそ10%が公認会計士試験に合格している計算となります。
残念ながら一発合格とならなくても短答式合格者は3回までは論文式にチャレンジすることができますし、論文式には科目別合格制度があって、受験が複数年にわたっても合格しやすい仕組みとなっています。
会計大学院の最大のメリットといえるのが、科目履修して必要単位さえ取得すれば短答式試験の一部科目が免除されるということです。一部といっても4科目中、財務会計、管理会計、監査論の主要3科目が試験免除され、残りは企業法のみという極めて優遇されたものです。
ちなみに、企業法は主要3科目と比べると簡単に習得できる科目です。実質短答式の一次試験が免除されるのですから、二次の論文式に力を集中し合格の可能性も高まります。このためだけに会計大学院に行く人もいる位です。
公認会計士試験の短答式一次試験の一部科目免除は大きなメリットでありますが、その費用面にも目を向けてみましょう。会計大学院の学費を調査してみました。設置されている13校の2年間の学費は約140万円~約360万円まで、その格差は2.5倍弱と大きなものでした。
これは会計大学院(アカスク)の設立母体の影響で国立大学系は安く、有名私大系は高くなっておりました。平均ベースではちょうど中位の約240万円です。この月々10万円程度の学費を高いと感じるのか、安いと感じるのかは人それぞれですが、他のメリット等も含めれば十分採算は取れると思います。
公認会計士試験を受験するための別の方策として、予備校に通う場合の費用も調べてみると2年間で約75~80万円が相場みたいです。会計大学院(アカスク)の学費と比較すると約1/3程度に収まっています。あまり費用がかけられない人には予備校の選択もありますが、短答式一次試験合格の保証はありません。
最後に会計大学院(アカスク)へ行くメリットとデメリットの比較をしてみました。
公認会計士の短答式一次試験の合格率はたった25%、それが会計大学院へ行けば、これが一発でクリアできる可能性は大きくなります。予備校にはその保証はありません。有名講師陣とのコネクションづくりや学生間の人脈づくりができ、将来役立つことも十分に考えられます。
また、大学院卒(会計学修士)の肩書で社会的にも信用が得られるなど、会計大学院へ行くメリットは極めて多く、費用面での問題さえ解決できて、公認会計士を目指すなら、ぜひ会計大学院という選択肢も積極的に考えてみるのはいかがでしょうか。