会計監査というとややこしそうな言葉ですが、マンションの組合、自治会、PTAなどの身近な場所から勤めている会社まで、色々なところで使われているのを聞くことがある言葉だと思います。この会計監査の報告がどのように行われるのか気になる方もいるでしょう。そこで今回はこの会計監査の報告について解説していきます。
そもそも会計情報の作成者は、当然ですが、正しい会計情報を作成する義務を負っています。しかし、作成者が作った会計情報の正しさを、作成者自らが証明することはできません。
まず、会計情報の作成者が自分自身では間違った会計処理をしていても気付かないという可能性があります。さらに、悪質な作成者だと自身の利益のためにウソを付く可能性もあるからです。
そこで、会計情報の作成者が作成した会計情報が正しいかどうかを、第三者が検証する必要があります。こういった検証を会計監査といいます。
上記のようにPTAなどで自主的に会計監査を行っている団体もありますし、法令等で会計監査が義務付けられているという法人もあります。
法令等の規定によって義務付けられている会計監査で、主なものは、以下のとおりです。これらの会計監査については、公認会計士という資格を持った人物、もしくは、監査法人という公認会計士が5人以上集まって結成される監査のための法人によって行われます。
金融商品取引法に基づく監査:特定の有価証券発行者等が提出する有価証券報告書等に含まれる財務計算に関する書類(貸借対照表や損益計算書等)には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないとされています(金融商品取引法第193条の2第1項、同第2項)。
会社法に基づく監査:大会社及び委員会設置会社は、会計監査人を置くことが義務付けられています(会社法第327条、同第328条)。また、会計監査人を置く旨を定款に定めれば、すべての株式会社は会計監査人を置くことができます。会計監査人の資格は、公認会計士又は監査法人でなければいけません。
監査の結果は、「監査報告書」として提出されます。例えば、金融商品取引法に基づく会計監査において、監査報告書は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて監査人の監査意見を述べた報告書となっています。
株式会社においては、会計監査人非設置会社であれば、会計監査は監査役が第一次的に行います。会計監査人設置会社であれば第一次的に会計監査人が会計監査を行い、監査役は、会計監査人の監査の方法・結果の相当性を判断します。
もし相当でないと認めた場合は、自ら監査したうえで、その結果について監査報告に記載します。
会計監査では結果だけでなく、行った手続きに関しても報告するのが一般的です。そのため、いつ、どこで、だれが、どのような検証作業を行ったかをしっかりと報告しましょう。
どんな書類の正しさを監査したのか報告しましょう。例えば、金融商品取引法に基づく会計監査では、貸借対照表や損益計算書等の正しさを監査したことが監査報告書に明記されます。
会計処理が正しく行われていた旨を報告しましょう。
i) 単純な誤りで修正が可能な場合
会計監査の報告を行う前に、作成者に修正を依頼しましょう。その後、修正が問題なく行われれば、改めて、会計処理が正しく行われていた旨を報告しましょう。
ⅱ) 単純な誤りでない場合
お金を使い込んでいる可能性がある形跡などが見られた場合は、しっかりと事実関係を調査して下さい。
会計監査の最も根本的な目的の1つは、会計処理が正しく行われているかどうかを検査することです。そのため、「~を監査した結果,適正に表示しているものと認める」、や、「~を監査した結果、適正に処理されていた」などの文面を結論部分に入れておいたほうが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。会計監査およびその報告についてここまで見て来ました。対象となる団体が変わっても会計監査の目的は通じているところがあります。会計監査の報告はその目的を考慮したうえで行って下さい。