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労務管理の課題とその解決方法について

HUPRO 編集部
労務管理の課題とその解決方法について

従業員の労働環境を整えるための労務管理は、企業には欠かせない業務の一つです。しかし、年々煩雑になる労務管理業務に企業の人的リソースが大きく取られてしまい、結果的に本業に支障が出てしまうという状況も生じています。本記事では労務管理における課題を見直し、解決に役立つ方法を考えていきます。

労務管理における課題とは

それでは、労務管理における課題を順番に見ていきましょう。

(1)法令順守と企業経営のギャップ

労務管理は昨今の「働き方改革」もそうですが、労働基準法をはじめとした関連法規に従う必要があります。もともと、労務管理は従業員が働きやすい環境を整えるためにあるのですが、全てを厳格に運用していては、企業のリソースが足りなくなることもあり、これまでは抜け道的な運用で何とかしのいできたというのが現状です。

また、従業員側もある意味「持ちつ持たれつ」といった気持ちで仕事に取り組んできていました。例えば、ちょっとした早出や残業についてはサービスで行うとか、会社で使うものを自分で購入したりなどです。
いわゆる「ブラック企業」のようなあまりにも過酷な働かせ方ではない限り、清濁併せ呑むのが「社会人」としての常識とすら思われていました。

というのも、これまでは終身雇用制と年齢による昇給が守られていたこともあり、勤め先は家族のような集合体となっており、少しくらい無理をしてもそれなりに見返りがあったからです。しかし、長く続く不景気により、労働に対する報酬が著しく低下し、さらにはリストラも行われるなど、従業員が企業に対して無理を通して労働する理由がなくなってきています。

ここで、ちゃんと働き方を見直して、管理すべしという法改正と、厳密にいえば法令違反の状態で今まで通り働いてほしい企業とのギャップが生まれています。

(2)大幅な業務改革への抵抗

今までも従業員は決して納得していたわけではありませんが、終身雇用も崩れ、さらには給与のベースアップも期待できないような状況で、会社に長い時間拘束されて労働をして貢献するというインセンティブがなくなってしまっています。

しかしながら、今までのやり方を踏襲したい企業の上層部にとっては、まだその感覚がピンと来ていないのかもしれません。政府から通達されている労働時間の管理や、有給休暇の取得の義務化などを実行すれば今までよりも労働時間が減ることは明確で、同じ成果を出すためには大幅に業務改善を行う必要があります。

これまでそれなりになんとかなってきたし、その方法で上手くいってきたという感覚を持つ経営者は、失敗を恐れてこれまでのやり方を変えたがらないということと、肝心の現場担当者も新しいやり方を好まない保守的な人物である場合、抵抗が大きくなっているのです。

特に、労務管理という業務はこれまで総務や人事などで行われていた、ある意味定型業務です。生産性を向上させるというモチベーションはどちらかというと低い傾向があります。

今まで通りのやり方で、結果的には法令違反状態のまま雇用していると、従業員の中でモラルハザードが起こり、労務管理だけでなく、企業全体のイメージを崩しかねないインシデントが発生する恐れがあるでしょう。最近であればかんぽ生命などが良い例です。

労務管理における課題解決のために

労務管理における課題を解決するためにはどのようなアクションを起こせばよいのでしょうか。担当者が個々に努力するというだけでは、もはや乗り越えられない壁もあります。
解決のために取り組みたいことについてみていきましょう。

労務管理の課題解決(1)経営者の意識改善

かつては、どんなに時間がかかっても、なんとか片付ければ良し!という仕事のやり方が当たり前でしたが、労働時間の管理の義務化や、36協定の厳格運用に伴い、業務を効率化せざるを得ません。

経営者としては、社会保険労務士に相談するなど、社外の人とも積極的に交流し、今までの考え方を改める必要があります

(2)(3)でもすすめていますが、労務管理ソフトを作っている会社やアウトソーシングの業者の説明会やセミナーに参加し、労務管理に対する感覚をアップデートするのもおすすめです。

労務管理の課題解決(2)労務管理ソフトの導入

これまで通りの管理方法では、もはや労務管理担当者が熟練したところで業務効率化は難しいでしょう。また、担当者の熟練度合いに頼っているようでは、もしその社員が退職したり、長期休職などになってしまったりした場合に業務が回らなくなってしまいます。

また、客観的な視点がないアナログな管理だと、やってもいない残業を申請するとか、本島は休んだのに出勤してたことにするといった、労務管理責任者による不正も起きやすくなります。

そこで、担当者をローテーションし、新しい担当者でも業務に取り掛かりやすくするために、労務管理ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
最近では様々な種類のソフトが出ており、ITが苦手な方でも取り組みやすいシステム構成のものもあります。

労務管理の課題解決(3)労務管理業務のアウトソーシング

労務管理ソフトを導入し、かつ担当者の育成を考えた場合、スムーズに進まないと考える経営者の方も多いのではないでしょうか。
これからも法改正は進むとみられており、労務管理はかつてのように同じ仕事を繰り返し行うローテーション業務とは異なってきています。つまり、ある程度感度の高い社員が常に知識をブラッシュアップする必要があるのです。
しかし、それにリソースを割くことは難しいということであれば、いっそ労務管理の煩雑な部分を外注してみてはいかがでしょうか。
プロに任せることで、煩わしい業務を心配する必要がなくなり、本業に集中することができるようになります。

この記事を書いたライター

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