ジョイントベンチャーという形態は、中小企業から大企業まで幅広く使われます。今回は、ジョイントベンチャーとは?から始まり、その出資比率についても解説します。
ジョイントベンチャーは、日本語では合弁会社と呼びます。JVやジョイベンとも略されます。
ジョイントベンチャーは特に法律上定められた用語ではありませんが、複数の企業が共同で事業を行う際に作られる会社です。通常出資比率は2社であれば基本的に50%ずつとして、どちらか一方が支配するのではなく、両社で牽制しながら支配をする会社です。
ではなぜジョイントベンチャーを作るのでしょうか。
大きな理由は、両者の強みを活かしたシナジー効果が期待できることです。
例えば、製造技術はあるが現地の販路を持たない会社があったとします。一方でその国の販路はあるものの製造技術がない会社があったとします。すると、技術を持つ会社は販路を求めて、販路を持つ会社は製造技術を蓄積したいもしくは販路を活かしたいため両社で協力し合って事業を展開することが考えられます。
ジョイントベンチャーを作ることは先ほどお話した通り両社のニーズを満たすことができるところにメリットがあると言えます。これ以外にも、1つの会社は知名度やブランド力があり、もう一方の会社は技術力があったとすれば、他社のブランドを用いて技術提供をすることで相乗効果が得られます。
また、自身で100%子会社を作って展開するよりもノウハウの蓄積時間がいらず、スムーズな展開を行うことができることや、リスクを100%ではなく50%に低減できることもメリットの一つです。
この他、業務提携をして展開するよりもお互い出資を伴っている為中途半端に提携が解消されることなく、中長期的に提携が続くこともメリットです。
メリット以外にも、国によっては半分現地の資本が入っていないと活動しづらいこともあり、やむを得ずジョイントベンチャーを作ることもあります。
ジョイントベンチャーを作ることは、メリットと裏腹にデメリットも存在します。
まず、技術提供企業については自社の独自のノウハウが社外に流出してしまうことがあります。反対に販路を提供する会社については最終的に直接取引されてしまうデメリットもあります。
また、自社100%出資であれば利益も2倍獲得できた可能性があったにもかかわらず、出資比率が50%ずつということもあり、獲得できる利益も50%分となってしまいます。
この他、出資比率が50%であるため経営権が両社平等にあります。よって、意思決定がスムーズにいかないことが多く、ビジネスチャンスを逃してしまうリスクがあります。
最初に基本的に2社であれば出資比率を50%ずつにすることが原則としました。しかし、先ほどのお話のように迅速な意思決定の為には50%ではない方が良い場合があります。
そこで、例えば出資比率を51%:49%としてどちらか一方の出資比率を高める場合もありますし、出資比率を大幅に変える一方で種類株式を使うことで議決権比率を50%ずつにしたり、別の契約により重要な意思決定のみ両社の合意が必要にしたりなどすることがあります。
連結財務諸表を作成する際に、子会社であるか関連会社であるかによって会計処理が異なります。子会社であればその子会社の決算書をそのまま取り込んで必要な調整を加えることで連結財務諸表を作成します。一方、関連会社であれば基本的に持分法を適用してその利益について持分相当額のみを取り込むことになりかなり簡便な作業となります。
ジョイントベンチャーは基本的に50%ずつの出資比率で経営権も両社平等に持つことが多い為、そのような場合は出資しているどちらの企業も「支配権が無い」ということで持分法適用会社とします。一方でどちらか一方の会社が支配していることが明確である場合は支配している会社が連結子会社として、その他の会社は持分法適用会社となります。
ちなみに、両社が持分法適用会社となることはあっても、両社が子会社とすることはない為、支配権がどちらにあるかの判定はとても重要となります。
ジョイントベンチャーが多く作られるのは建設業でしょう。大型物件の建設では各企業の得意分野を集結してジョイントベンチャーが組成されます。ただし、大型物件建設の都度会社を作っていては大変なので、民法上の組合のような形を取りますが、出資などは通常の企業のように行います。
建設業のジョイントベンチャーでは獲得した収益を出資比率に応じて各社が取り込み、受注ができなかった場合や工事が完成した際には解散します。
その他、製造業と商社や海外法人がジョイントベンチャーを作ることがあります。これは製造業の販売網強化や現地の法律により現地会社の資本が入っていないと活動が不利になることがあるためです。
ジョイントベンチャーは様々なメリットデメリットが存在しますが、事業拡大のためには積極的に活用すべき事業体でしょう。その際、経営権や連結の要否のためには出資比率にも気を付けて準備をしていきましょう。