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隙間時間を制するものは税理士試験を制する

税理士 井上幹康
隙間時間を制するものは税理士試験を制する

税理士試験は科目合格制を採用しているため、社会人で仕事をしながら毎年1科目コツコツ勉強している方も多いです。仕事をしながら毎日最低限の勉強時間を確保するには、隙間時間の過ごし方・使い方が重要になってきます。今回は、社会人受験生にとって重要な隙間時間について私自身の実体験も踏まえて解説していきます。

隙間時間には2種類ある

一口に隙間時間といっても私は以下の2種類あると思っています。それぞれについて、事業会社にお勤めの方や税理士事務所(法人)に勤務している方目線で具体的にどんな隙間時間があるかご紹介します。

毎日安定して確保できる隙間時間

毎日安定して生じる隙間時間の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられます。

通勤時間(電車やバスなどの利用者)
これは人にとって数分の方もいれば、1時間以上の方もいると思いますが、社会人受験生にとって毎日安定して確保できる隙間時間の代表例です。車通勤の方はハンドル操作がありますので本を読むことはできず、理論を自分で促音下音声やTAC理論マスター音声CDを聞くという方法もありますが、事故につながりかねないのであまりお勧めしません。

会社のお昼休み、その他の休憩時間
通常どんな会社にもお昼休みは45分~60分程度はあるはずです。その他に適宜数十分の休憩時間を設けている会社もあるはずです。これも毎日安定して確保できる隙間時間です。私自身は会社のお昼休み60分のうち、食事は5分~10分で軽く済ませ、残りの時間勉強していました。

上記の隙間時間は既にしっかり勉強に充てている社会人受験生も多いと思います。逆にこうした時間に勉強していない方は早急に勉強に充てるようにした方がよいでしょう。

イレギュラーに生じる隙間時間

次に、イレギュラーに生じる隙間時間の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられます。

公共交通機関のトラブルで生じた待ち時間
通勤中に電車が何らかのトラブルのため遅延するなんてことは毎日ではないにしても比較的よくあると思います。こうした駅のホームでの待ち時間や電車無いので待ち時間はイレギュラーに生じる隙間時間の代表例です。「仕事終わりで疲れていて早く帰宅したいのに電車が止まった。」と嘆いたり苛立ったりするのではなく、こうした時間も積極的に勉強時間に充てる冷静さを持ちましょう。

仕事中偶然生じる余剰時間
例えば、1人でお客様の会社に打ち合わせで訪問したけれども先方都合で急に打ち合わせがキャンセル(いわゆるドタキャン)になった場合、その日終日お客様の会社への訪問・打ち合わせの予定で1日確保していたときは、急にその仕事がなくなってしまい余剰時間が生じます。こうした余剰時間で別の仕事をするというのが普通ですが、最近ではある程度裁量労働制を採用しているところも多いので、自分自身で他の仕事が送れていたりしなければその空いた時間をある程度自由に使えるなんて場合もあるでしょう。

上記の隙間時間は毎日発生するものではないですが、いざ発生した際はぜひ勉強時間に充てるようにしたいところです。

隙間時間にどんな勉強をするか

先に、隙間時間の具体例を紹介しましたが、こうした隙間時間を勉強にあてる際に社会人受験生は具体的にどんな勉強をされているでしょうか。

決論からいうと、隙間時間はある程度まとまった時間机に向かうことができない場合が多いので、税理士試験の勉強で言えば、計算問題を解くのではなく理論暗記に充てている方が多いと思います。実際に私自身も隙間時間に理論暗記を進めていました。

理論暗記に使う理論マスター(TAC)、理論サブノート(大原)などの書籍はコンパクトなサイズなので常時カバンに入れておいても邪魔にならないと思います。

とはいえ、いざ隙間時間が生じた際に何らかの理由でカバンを持っていない、カバンを忘れた等の場合はその隙間時間で理論暗記できなくなってしまいます。こうした事態を避けるために、例えば、理論マスター等で覚えたいページをいくつかコピーして小さく折ってスーツのポケット等に入れておくとよいでしょう。特に上記のイレギュラーに生じる隙間時間を無駄にしないためにも常に理論暗記のための資料を身に着けておくことをお勧めします。

隙間時間の積み上げで1年間どれくらいになるか

税理士試験は1年に1回しかなく、仮に1年1科目ずつ順調に受かっても5科目合格には5年を要します。

このように長期戦となる税理士試験の勉強においては、たとえ1回1回の隙間時間の時間は短くても全部積み上げると相当の時間になります。例えば、仕事のある平日に1日あたり隙間時間合計で約1時間確保できている場合、1年間では約240時間も積み上がります。

隙間時間1時間/1日 × 20日 × 12カ月 = 1年間の隙間時間合計240時間

この240時間を多いと考えるか少ないと考えるかは人それぞれでしょうが、私は多いと考えますし、こうした隙間時間を勉強時間として毎日コツコツ積み重ねることが税理士試験を制することにつながると思います。

おわりに

社会人受験生は「仕事が忙しくて勉強時間が取れない。」、「仕事していない専念受験生は勉強時間がたくさんあっていいよね。」とか嘆く前に、今の生活の中で無駄にしている隙間時間は生じていないか、もっと隙間時間を増やせないか、隙間時間をしっかり勉強時間に充てられているか等、ぜひ一度見直してみてください。

この記事を書いたライター

大学在学中に気象予報士試験に独学一発合格。社会人として働きながら4年で税理士試験官報合格。開業税理士として税務に従事しながら不動産鑑定士試験にも一発合格。税理士試験や不動産鑑定士試験受験生向けの相談サービスや会計学ゼミも開催。
カテゴリ:コラム・学び

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