経理部や財務部に所属している方は、会計監査の担当になることがあるかもしれません。 会計監査は監査法人が、決算書の内容が正しいのかどうかについて行う調査です。今回は、 会計監査の内容と、監査が入る前に、経理担当者は具体的に何を準備すれば良いのかを解説します。
上場企業など、一定の要件に当てはまる企業は、会社法・金融商品取引法の規定により、必ず監査を受けなければいけないと定められています。
企業における株主やステークホルダーといった利害関係者に対して、説明責任を果たすために、会社の財務情報を公開する義務があるからです。
しかし決算をはじめとした企業が発表する財務情報については、 その内容が正当かどうかは専門家でなくては分かりません。そこで必要になるのが外部の第三者である監査法人が行う会計監査です。会計監査では、公認会計士及び監査法人が、会社の財務情報が正しいかどうかをチェックします。
なお、国税局または税務署が、申告済みの内容が正しいかどうか確認するために行う調査のことは「税務調査」と言います。
たまに「税務監査」という言葉を見かけることがありますが、これは正式な言葉ではなく、税務調査に備えて担当の税理士などが模擬的に実施する監査のことです。
監査監査が入る時は、経理担当者としての実力が試されます。監査対応というと大げさに聞こえるかもしれませんが、結局は日次業務・月次業務の積み重ねです。必要資料を揃え、データの不備をなくすことが最も重要になります。
会計の数字が正しいものであるかどうか、その根拠の資料を検証する監査に置いて、会計処理の根拠となる資料は、監査人が要求した時にすぐ出せるように揃えておく必要があります。具体的には納品書・検収書・請求書などです。
また、どうしてその取引が行われたかという契約書についてなども、監査人が確認しやすいように整える必要があります。番号や保管場所がバラバラだったりすると、物理的に確認の手間がかかりますので、監査が入るということを前提に日々の業務での整理整頓は必須です。
貸借対照表の残高の中に「その他」や「諸口」などの勘定科目で処理されているものがあれば、内訳を確認しておきましょう。内容不明残高は指摘されやすいポイントです。
決算のための実地棚卸は、期末に行う必要があり、後からやり直しはききません。棚卸方法が整備されていたとしても、実際に行われたかどうかをきちんを確認する必要があります。
また、在庫の受払記録についても確認しておきましょう。在庫は横領や水増しなど不正リスクが高いため、監査人も重点的にチェックしてきます。
固定資産台帳にあっても、現物が存在しない、その場所がわからない。こんなことがあったら、資産管理の体制を問われます。固定資産についても定期的に現物と台帳のチェックを行い、照合する体制を作っておきましょう。
連結決算を行っている場合は、連結子会社から決算に必要な情報を手に入れる必要があります。親会社は子会社を適切に管理して、連結決算の対応ができる体制を構築しておかなくてはなりません。また、どこまでを連結決算の範囲とみなすかにおいても、会社間の関係を問われる場合があります。
監査人は財務諸表の根拠を確認するため監査しているということを大前提に対応しましょう。文句を言いに来ているわけではありません。
監査が終わらないと決算が終了しませんので、監査に来る公認会計士と協力して対応に当たるという姿勢を見せることはとても重要です。
しかし、企業の経理担当者は監査人の部下ではありません。監査人は会社の業務工程などはわからないので、とんでもなく手間のかかることを言ってくることもあります。
もし、監査法人側から要求される内容が非常に業務負荷の高いものであるとすれば、そもそもの根拠を確認し
「なぜそれが必要なのか」
「他の方法で取りだすことができるがそれではだめなのか」
というような折衝をする必要もあります。
慣れない頃はどうしても「監査が入る」ということに対して緊張するので、言われたことを無条件に受け入れてしまうかもしれません。しかし、先方にしても何件も案件を抱えているため、できる限り効率的に監査を終了させたいという気持ちは一緒です。お互いの良い協力関係を築くために、日ごろからの業務を誠実に正確に行うようにしましょう。
当コラム内では、会計監査対応についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
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