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損益分岐点分析(CVP分析)とは?管理会計の基本をマスターしよう!

HUPRO 編集部
損益分岐点分析(CVP分析)とは?管理会計の基本をマスターしよう!

管理会計の基本とも言われる損益分岐点分析(CVP分析)。皆さんは使いこなせているでしょうか?この記事では、現役公認会計士が、そもそも損益分岐点ってなに?っていうところから、実際の業務の中で、損益分岐点分析を使ってどんなことが出来るのかというところまで解説していきます。

「じゃあいくら売ったら黒字なの?」

みなさんが採算など管理会計を見る部隊であれば必ず一度は言われるでしょう。とはいえこれは簡単そうで難しいです。たくさん商品の数を売っても、それ以上に材料費や人件費などのコストがかかっていたら結局いつまでたっても黒字にはならないです。
そこで、「じゃあいくら売ったら黒字なの?」に答えるための管理会計の基本的な考え方として、「損益分岐点分析(CVP分析)」があります。今回はこの損益分岐点分析について触れていきます。

損益分岐点分析とは

一言で申し上げると、費用を発生の仕方に基づき分類し、利益が「トントン」になる売上高はいくらか等を試算する分析のことを言います。CVP分析(Cost-Volume-Profit)とも言います。
損益分岐点分析では、P/L(損益計算書)で見慣れた費用とは異なる切り口で分類します。以下は参考数値です。

左表がP/Lの区分、右表が損益分岐点分析の区分例です。何やら見慣れない言葉がいくつか出てきましたね。
通常のP/Lでは、売上高>売上原価>売上総利益>販管費>営業利益、として販売している製造・販売活動との関係性に応じてブレイクダウンしていきますよね。
損益分岐点分析では、「収益との相関性」に基づき分類すると考えてもらえばよいかと思います。この結果、売上高>変動費>限界利益>固定費>営業利益、という分解になります。
変動費は売上高と比例して発生する費用、固定費は売上高の増減に関係なく一定額発生する費用、です。限界利益は売上高-変動費です、すなわち、売れば売るほどもうかる部分の金額です。この限界利益で固定費を「回収」できれば黒字になるといえるわけです。
そして損益分岐点売上高とは、限界利益=固定費となる売上高、すなわちトントンとなる売上高のことです。固定費と限界利益率から逆算できます。上記数値例の場合は、4,500÷55%≒8,200と計算されます。
このように、損益分岐点分析であっても頭の売上高とおしりの営業利益は当然変わりません。中身をどう分析するか、まさに管理会計の領域の考え方です。

損益分岐点分析のキーワード

損益分岐点分析の考え方は基本的には上記の通りですが、重要なキーワードを2つご紹介します。

1)安全余裕額(率)

安全余裕額とは、そのままですが余裕のある売上高の金額のことです。具体的には、現在の売上高のうち、損益分岐点売上高を上回る部分です。上記数値例の場合、10,000-8,200=1,800と計算されます。
安全余裕率とは、現在の売上高のうち損益分岐点売上高を上回っている割合を示します。上記数値例の場合は、1,800÷10,000=18%となるわけです。
安全余裕額と率はひもづきであり、高ければ高い方がいいです。一概には言えませんが、安全余裕率の目安となる指標は以下の通りです。業種や業態でバラツキはあるのでご参考までに。
10%未満‥‥改善が必要
10~20%‥‥日本企業の平均的な数値
20~40%‥‥安全
40%以上‥‥きわめて安全な優良企業
では安全余裕率を上げるにはどうすべきか。単純に①売上高を増やす、②限界利益率を上げる、③固定費を減らす、この3つです。
まず①は、販売単価やコスト構造の見直しは行わず、既存体制で拡販に注力するシンプルなアプローチです。
次に②は、売上単価を上げるか、変動費を圧縮するかして、1個当たりの限界利益を引き上げるアプローチです。たとえば、単純に商品の値上げを行ったり、材料の調達先や外注先を見直して変動費の改善を検討したりすることが挙げられます。とはいえ、このような見直しは往々にして①とトレードオフになりやすいので慎重な検討が必要です。
そして③は、いわば足かせになっている固定費を削減することで早く損益分岐点に届くようにするものです。たとえば、CMスポンサーの状況を見直して広告費を削減したり、過剰な事務所等建物を売却処分して減価償却費や賃料を削減したりすることが考えられます。ネガティブなイメージが強いですが、人員整理もこれに含められます。

2)固変分解

その名の通りです。費用を変動費と固定費に分解するプロセスを言います。
最初に申し上げると、この固変分解は様々な方法があり、そして正解があるものではありません。
固変分解の方法としては、一般的に①勘定科目法、②高低点法、③回帰分析法(最小二乗法)の3つがあります。②③はテクニカルな部分が多いため割愛しますが、①について簡単に触れると、これは勘定科目ごとに固定費・変動費を分解するものです。上記数値例はこの考え方に従って、一般的な勘定科目の内容・性質に応じた固変分解をしています。「一般的な」と申し上げたのは、業種・業態、さらには会社ごとに各科目に含まれる内容にバラツキがあるためです。
このように固変分解については様々な考え方がありますが、少なくとも社内で一度決定した分類はむやみに変更すべきではありません。その時々で分類が変わってしまうと、いわゆる比較可能性が損なわれてしまうからです。

3)準変動費と準固定費

こちらは参考程度に知ってもらえばよいかと思います。
準変動費とは、売上高に関係なく元々一定額は発生するけれども、売上高に応じて比例的に積み増しされる部分がある費用です。たとえば水道光熱費などです。基本料金として定額請求されますが、それに加えて利用料に応じて請求額が増加していきますよね。
準固定費とは、売上高に関係なく一定額発生していますが、売上高が一定水準に達するとそれをトリガーに固定額が積み増しされる費用です。階段のように費用が増えていきます。たとえばスーパーのレジなどの利用料を考えてみてもらえばよいかと思います。お客様が一定人数のうちはレジ1台でまわしていたけど、ある人数を上回ったのでこれを機にもう1台導入して費用が一気に増える、といったイメージです。

損益分岐点の活用方法

まとめに代えてこの損益分岐点分析の活用方法を考えてみます。
この損益分岐点分析、非常に一般的な手法ではあるのですが、管理会計のためのツールであるがゆえに企業間比較で用いるのはなかなか難しいです。これまで申し上げてきたように、分析の前提となる固変分解について競合他社は何ら開示するものではなく、どの費用が変動費あるいは固定費かは外部からはわからないためです。自社での分類を一律に当てはめる等も考えられますが、費用の発生態様は結局会社ごとに異なるため分析結果は参考程度のものといえます。
一方、社内で分析の前提を検討しコンセンサスをとれば、これを継続適用することで自社の時系列比較は適切に実施できます。このため、基本的には社内カンパニーやセグメントの業績評価や採算性検証のツールとして使うのがベターかと思います。
いずれにせよ、答えのない管理会計ならではの付き合い方を考える必要がありますね。

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