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年末調整の計算と過不足が出た場合の処理方法

HUPRO 編集部
年末調整の計算と過不足が出た場合の処理方法

所得がある場合はその中の一定額を所得税として国に納めなければなりません。会社勤めの場合、会社が源泉徴収をしたのち従業員に代わって所得税を納めてくれますが、源泉徴収に過不足が出る場合があります。源泉徴収の過不足は修正し年末調整として清算されますが、過不足は源泉徴収の性質上どうしても出やすいものです。なぜ源泉徴収で過不足が出てしまうのかその原因と、年末調整における過不足の計算方法について見ていきましょう

年末調整の過不足とは?

年末調整の過不足とは、「納めるべき所得税の額と源泉徴収した額に差が出ること」を指します。

例えば所得から収める所得税が50万だった場合、実際に源泉徴収された額が51万と徴収額が多過ぎた場合、または49万しか源泉徴収できておらず、本来徴収すべき50万に対し1万が不足している場合を指します。

所得すべてに関わる源泉徴収

源泉徴収は法律で定められた税率に従い、会社が給料所得の中から所得税分を徴収し国に納める仕組みです。会社に属している場合は大抵会社が源泉徴収を行い、従業員に代わって所得税を納めてくれています。源泉徴収は所得税が発生する所得すべてに関わってくるので、給与所得以外にも役員報酬や株などの配当、退職金など所得に関わる全てにおいて源泉徴収がなされます。なぜ、源泉徴収に過不足が発生するのでしょうか。

なぜ過不足が発生するのか

源泉徴収は毎月の給与額に応じて予め計算して税額を算出する点と、「所得控除額の上下」によっても源泉徴収の計算が変わってくる点でどうしても過不足が出やすいのです。

例えば「子供が生まれ自分の扶養家族が増えた」、「扶養から家族が抜けた」など家族構成の変化から控除額が変わってきます。月々の源泉徴収の算出では扶養家族の変化による控除額の上下は考慮されていないので、源泉徴収の過不足となりやすい要因です。
他にも月々の源泉徴収の計算では控除される生命保険料や地震保険料分まで含んだ計算がされていないので、保険料の控除額分の差額も生まれやすいです。

年末調整で過不足が出た場合

本来納めるべき所得税額ぴったりに源泉徴収ができなかった場合、発生した過不足は年末の給料(原則12月分給与)で調整(年末調整)されます。源泉徴収はいわば暫定的な計算ですので、年間の所得が確定した後に正しく計算し直す必要があります。
正しく計算し直した結果、多く徴収となっている場合は差額分を還付(払い戻し)となり給与に差額分が上乗せされ、少なかった場合は追加で徴収となり給与より差し引かれることになります。

年末調整の計算方法

年間の給与額から給与所得の控除額を差し引き、さらに基礎控除・扶養控除・保険料控除を差し引くと年間の所得額が確定します。確定した年間の所得額に応じた税率を掛け、所得額別の控除額を差し引くと年税額が算出されます。
年税額が年間を通して徴収してきた徴収額よりも多い場合は追加で徴収となり、少ない場合は差額が払い戻し(還付)となります。

年末調整で過不足が出やすい事例

扶養家族の変化などで源泉徴収の額が本来の徴収額とならず過不足を生みますが、では実際にどのような場合に過不足が発生しやすいのでしょうか。年末調整で還付を受ける可能性のあるケースを見てみましょう。

年末調整で還付を受ける可能性のある人

・生命保険や地震保険に加入している人
・結婚した場合、親の面倒を見ることになった人
・マイホームを住宅ローンで購入した場合
・医療費が多くかかった場合
・退職して再就職をしていない場合
順番に見ていきましょう。

生命保険や地震保険に加入している人

源泉徴収は仕事での給与のみ対象にして行われます。生命保険や地震保険などは年末調整での控除となるため、税額を算出した後の計算となり過徴収となりやすいです。

結婚した人、親の面倒を見ることになった人

結婚した人や親の面倒を見ることになった人は、扶養親族の数が増えます。扶養家族が増えるとその分控除額も大きくなるので、年末調整で還付される可能性が大きいです。扶養家族か事実上家計を共有している人が条件で、同居していても家計が別となっている場合は扶養家族には該当しません。
また、年間の所得が103万円以下であることも条件ですので、扶養の下にある配偶者に年間103万円を超える所得があると扶養から外れ扶養控除の対象から外れます。親の面倒を見ることになった場合、親の年齢が65歳以上で年金の収入158万円以下か、65歳未満で年金の収入が108万円以下の場合は扶養控除が認められます。

マイホームを住宅ローンで購入した場合

初年度のみ確定申告が必要となりますが、マイホームを新たに購入した場合も控除の対象となり、還付金を受けられる可能性があります。

医療費が多くかかった場合

病気やケガなどで入院や手術を行い、医療費が多くかかってしまった場合は医療費控除が受けられますので還付の対象となります。年間にかかった医療費の総額から10万円を差し引いた額が医療費控除の額となります。病気やケガに限らず出産の場合も、出産でかかった費用から健康保険による出産育児一時金を差し引いた額が医療費控除の対象となります。

退職して再就職をしていない場合

会社を退職して再就職をしていない場合は年間の所得が減ります。年間を通して一定額を源泉徴収されている場合、本来の所得税額よりも多く徴収されていることになります。そのため還付申告をすることで、払い過ぎている税金が還付されることがあります。

まとめ

年末調整の計算と過不足について、過不足が発生しやすい原因と税金が戻る(還付の)可能性があるケースをご紹介しました。生命保険に加入していることや扶養家族の人数の変化、マイホームの購入でも控除対象となります。控除をうまく使うことで税金が戻ってくる可能性がありますので、仕組みを知ってうまく税金と付き合っていきましょう。

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