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有限責任監査法人とは?監査法人の形態を徹底解説!

公認会計士 大国光大
有限責任監査法人とは?監査法人の形態を徹底解説!

以前は、監査法人というと「○○監査法人」や「監査法人××」と言ったようにすっきりとしたネーミングでした。ところが最近は「有限責任監査法人〇〇」と言ったように、有限責任監査法人というネーミングも登場してきました。
それでは、有限責任監査法人とはどんなところか、その他の監査法人等と比べて解説します。

有限責任監査法人とは

有限責任監査法人とは、監査法人のうち「有限責任」の監査法人を言います。この制度は2008年に創設されたもので、それまでは「無限責任」を追っていました。では、有限責任と無限責任の違いはどのようなものでしょうか。

通常、監査法人の出資者=役員は「社員」と呼ばれます。株式会社で言うところの株主兼取締役と言ったところです。つまり、お金も出すし、業務の責任も負うという人たちの集まりです。

ここで、「有限責任」というのは、責任が有限であるという意味です。監査証明業務以外の責任については全ての社員の責任が有限である、つまり、出資額以上に社員は支払いを請求されないということとなります。

例えば何らかの事情で監査法人がつぶれてしまった時、無限責任であれば銀行からの借入金などは個人も連帯して支払う責任を負うこととなります。しかし、有限責任であれば、出資額以上には請求されないため、責任は出資額まで(=有限)ということとなります

有限責任監査法人になるためには

ではどんな監査法人も有限責任になれるのであれば、責任がより少ない為全ての監査法人が移行してしまうと思います。しかし、有限責任監査法人になるためには一定の要件を満たす必要があります。まず、財産的な基盤を充実する必要があります。これは、財産がほとんどないのに責任だけ軽減されてしまっては債権者にとって不利に働くためです。

また、財務諸表を公開する義務があり、一定規模以上となると監査証明を他の監査法人から入手する必要があります。これは、会社法の大会社の監査と似ていて、社会的影響力のある会社であればあるほど財務諸表の信頼性が重要となるためです。
さらには、内閣総理大臣への登録が義務付けられていて、簡単に誰でも登録できないようになっています。

大規模監査法人と中小監査法人の違い

有限責任監査法人は、一般的に大規模監査法人に採用されることが多いです。これは社員と呼ばれるパートナーがたくさんいればいるほど他人の責任まで自身が被りたくないという傾向にあるため、無限責任であるとすると優秀な人材が社員になってくれない可能性があります。

一方で中小の監査法人では社員の顔が見えることや、供託金及び決算書の公開などの費用対効果を考えて有限責任監査法人への移行はそれほど進んでいません。
では有限責任かどうか以外に大法人と中小法人にはどのような違いがあるのでしょうか。

大規模監査法人と中小監査法人の違い

①大手監査法人の特徴

いわゆる大手監査法人はEY新日本有限責任監査法人有限責任あずさ監査法人有限責任監査法人トーマツPwCあらた有限責任監査法人の4つが挙げられます。これらを総称してBIG4と言われることがあり、全て有限責任監査法人となっています。

金融庁においては、上場会社100社以上、常勤職員1000名以上の法人を大手監査法人としている為、他の法人とは規模がかなり違ってきます。これだけの人数もいるため、様々な点で組織化されていると言えるでしょう。

例えば、調書については海外の提携ファームのものを翻訳してテンプレート化している為、国際監査基準に日本監査基準特有の部分を足し合わせたものとなっています。よって、作業内容としてもボリュームがあるため、クライアント先での作業以外にも事務所内部での品質管理活動がとても多いのが特徴です。

また、基本的には移動のしやすい立地の良いところに事務所を構えることも含めて固定費がとてもかさむことが一般的です。その為、監査報酬は中小監査法人と比べて高い傾向にあります。

しかしながら、グローバル企業等の大人数でなければ監査ができない先などはそれなりに人員のいる大手監査法人しか担当できないことも事実ですので、上場会社の時価総額の大半は大手監査法人の監査先で占めているのが現状です。

②準大手監査法人

一方で、大規模な監査法人に準ずる規模の監査法人を準大手監査法人と呼びます。具体的に太陽有限責任監査法人、東陽監査法人、三優監査法人、仰星監査法人、PwC京都監査法人を指します。

準大手監査法人は最近の監査法人の合併などによって大手並みの品質管理体制を金融庁から求められています。よって、感覚としては大手監査法人にとても近づいている法人運営をしていると考えられます。

③中小監査法人

これら以外の監査法人を中小監査法人と呼びます。中小監査法人は、上場会社であれば極端にグローバル化していない企業や、非上場の会社、社会福祉法人等の監査をすることが多いです。

中小監査法人と言えども最近は金融庁等からの要請も厳しいことから監査法人としての運営が適切であるかどうかはかなり入念にチェックされていることとなります。とはいえ、大手のような高度なシステム化や海外との提携もそれほど進んでいないため、固定費がそれほどかからないというのも特徴の一つです。

まとめ

有限責任監査法人の説明の他、規模別に監査法人の特色をお話しました。有限責任監査法人の良さ、中小監査法人の良さ等は様々ですが、自身にあった監査法人選びをして、付き合いやキャリアアップに活かしていくと良いでしょう。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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