日本の税理士法で設立が義務付けられている日本税理士会連合会。全国15の税理士会で構成されています。活動は多岐にわたり、多くの税理士が必要とする法人です。日本税理士連合会は何を行っているのか、組織構図やそれぞれの活動内容をお伝えします。
日本税理士会連合会は、税理士の業務の進捗を円滑にすすめ、より良い業務が行えるように税理士や日本税理士会連合会の会員に対して指導、連絡、監督をする役割を持っています。通称、日税連と言われています。税理士の登録に関する業務も行います。税理士法で設立が義務付けられている法人で、全国の15の税理士会で構成されています。
税理士法によって全国の税理士会に日本税理士連合会の設立を義務付けられていますが、他にも、会則をさだめる義務もあります。会則を変更する場合には財務大臣の認可が必要です。
日本税理士会連合会は、総会を中心として、会長や副会長、各事務理事などで構成されています。事務には事業本部のほかに総務部、財務部、広報部、制度部、調査研究部、業務対策部、研修部、税務支援対策部、公益活動対策部、国際部、中小企業対策部などに分かれており、税理士の業務に関して網羅的に対策、支援できる仕組みができています。
研修部では、税理士の資質向上のために研修を実施しています。インターネットも利用し、マルチメディア研修も行うことで、全国の税理士が同じ内容の研修を行えるように体制を整えています。
公益活動対策部では、税理士が行う公益業務を支援する部門です。公益業務の場合、税理士だけでなく会計アドバイザーや地方の独立行政法人などさまざまな立場の人が関わって行います。公益活動に関わるすべての人と潤滑に活動を進められるよう対応します。
また、国際部では、外国の税務に関する機関などと交流し、情報を収集する役割を担っています。アジア・オセアニアタックスコンサルタント協会の活動に関する業務も国際部で行っており、他国との関係も深めています。
日本税理士会連合会の常務理事会は年5回程度開催されることが決まっており、議案の審議を行います。事業計画や予算の決定を行う総会は毎年7月に開催され、会則の変更や日本税理士会連合会の財産の取得、処分などの決定もここで行われます。
具体的に、日本税理士会連合会がどのような活動を行い、税理士それぞれが日本税理士会連合会とどのように関わっているのかを説明します。
番号法に基づき、国民一人ひとりが持つ個人番号、法人が持つ法人番号で個人情報を守ることを目的に導入された制度が、「社会保障・番号制度」です。税理士は、納税者の個人番号の提供を受けることで業務を行うことがあります。提供を受けた個人番号の重要性を理解し、税理士として適正に扱うことが求められます。
適切な管理のためには職員、税理士の高い認識が必要です。日本税理士会連合会では、個人情報に関する情報共有を行うとともに、教育や指導も行っています。
多くの税理士が、中小企業や小規模企業を顧問としています。経営者の7割は顧問税理士を経営に関する相談相手だと考えているようです。そのため、税理士は納税に関する知識や技術のほかに、経営、会計に関する知識も必要とされます。企業に対し、財務支援や経営支援、金融支援が行える税理士が求められています。
税理士は、企業の事業計に経費や金銭面でアドバイスをしたり、融資に関する情報提供をしたりすることがあります。
金銭に関して多面的に活動し、対応できる税理士を教育することも日本税理士会連合会の役割です。
日本税理士会連合会は、租税に関する教育や、知識の普及、啓発活動を行っています。租税教育講義用テキストも発行しており、教材作成も行っています。教材は日本税理士会連合会のホームページからもダウンロードできるようになっており、必要に応じて個人が使用することもできます。
特に、小中学校や高校に向けた簡易でわかりやすいテキスト、理解を深めるためのゲームなども展開しており、税理士への教育以外にも、一般人にひろく普及するよう努めています。
アジア・オセアニアタックスコンサルタント協会(AOTCA)は、日本税理士会連合会の提唱により設立された団体です。アジア・オセアニア諸国の税理士専門業務の発展を目指して、日本が率先して活動に取り組んでいます。現在は、15の国、地域の20団体が加盟しています。
定例会議を行うほか、講演会を開催して世界各地から登壇者を呼んでいます。税制度に関する知識や認識を幅広く普及する目的があります。
日本税理士会連合会では、全国にある15の税理士会を7つのグループに分け、税理士の研究結果の発表や質疑応答を行う討論会を実施しています。7つのグループは地域ごとにアクセスしやすい組み合わせで構成されており、討論会の参加は税理士会員であれば誰でも可能となっています。
研究成果の発表はマスコミなどと協力し広く普及できるように工夫されています。また、日本税理士連合会のホームページなどで掲載することも可能です。
参照:日本税理士会連合会HP