経理の仕事をしていると監査法人という言葉をよく聞くと思います。監査法人はどのように設立するのでしょうか。また、そもそも監査法人って何?という人も多いかと思います。
そこで、今回は監査法人とはどんなものか、また設立はどのようにして行うかを解説します。
監査法人とは、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明を組織的に行うことを目的として、公認会計士法34条の2の2第1項によって、公認会計士が共同して設立した法人をいいます(公認会計士法1条の3第3項)。
後でお話しますが、一定の要件を満たす会社は公認会計士の監査を受けなければなりません。
しかし、個人の公認会計士では人員にも限りがあるため組織的に監査をすることが難しくなります。そこで、5人以上の公認会計士が集まって監査法人を設立し、組織的に監査をすることを可能とするように監査法人の設立と運営をします。
監査法人は個人の公認会計士が複数集まってできる法人と言えますが、監査法人にもいくつか種類があります。
まず、○○監査法人のような名称を持つ監査法人です。
これは、役員である社員が全責任を連帯していて誰かが不手際を起こした場合に全ての社員が重い責任を負う法人形態です。
元々は皆このような形態をとっており、現在でも最も多い法人形態と言えます。
一方で、○○有限責任監査法人という形態が現在は存在します。有限責任という名前の通り他人が署名した会社の粉飾を見逃していたりしていた時に対外的な個人的な責任は署名した人のみが負うことになります。
しかし、全く責任を負わないというわけではなく、株式会社と同じように出資した金額については責任を負うこととなります(万が一損害賠償があった場合は出資した金額については没収される可能性がある)。
監査法人の設立は、先にお話した通り5人以上の出資者(社員)が必要となります。その他の手続としては、合名会社と同じようなものとなっています。
つまり、出資金を振り込んでそれを基に司法書士に登記の依頼をすることとなります。監査法人の設立で他の会社と異なるところは、財務局に届出をするところとなります。これは、監査法人は金融庁の監督下に置かれるためです。
では、監査法人はどのような会社を監査するのでしょうか。
まず、最もわかりやすいのは上場会社です。上場会社は金融商品取引法により監査法人等の監査を受けなければなりません。
よって、財務諸表について期限内に監査報告書を受領しなければならず、もしも期限内に監査報告書を監査法人から得られないとすると最悪上場廃止となってしまいます。
また、会社法で監査法人等の監査を受けなければならない会社があります。これは、資本金の額が5億円以上または、負債が200億円以上の会社となります。
増資をしたためにうっかり資本金が5億円以上となってしまう場合もありますし、負債についてはなかなか200億円を超すことはありませんが、設備投資を続けることによって超えてしまう会社も存在します。
社会福祉法人についても監査法人等の監査対象となる場合があります。
以上の条件に当てはまる社会福祉法人が監査対象となります。
このように、徐々に社会福祉法人についても監査対象が広がってきているため
今後の動向も注視しておく必要があります。
これ以外にも、私学学校振興助成法に基づく学校法人の監査や地方公共団体についても監査法人等の監査対象となることがあります。
私立大学は学生からの学費以外に国からの助成金で運営を行っています。その助成金が適正な用途に使われないと税金の無駄遣いとなってしまいます。
このようなことを防ぐために監査法人等の監査が必要となる場合があります。また、地方公共団体や、中核市以上の自治体については、経費が適正に使われているか、資産の管理は適切かどうか等、様々な切り口で監査法人等の監査を受ける必要があります。
今まで紹介した以外にも、法律に基づかない任意での監査や、これから上場しようとする会社が受ける監査など、監査とつくものに加えて会計を中心とするコンサルティングも監査法人の主たる業務となっています。
監査法人は5人以上の公認会計士が集まり組織的に監査をする目的で設立されていることを解説しました。
監査法人の役割は様々な監査に加えてコンサルティング等多岐にわたり、企業の大規模化につれてますます期待される役割が増えていくことでしょう。