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海外取引と消費税の関係は!?

公認会計士 大国光大
海外取引と消費税の関係は!?

最近では、大手企業だけではなく中小企業も海外展開をしていて、様々な税金を覚える必要があります。その中でも中小企業にもよく関係するのが消費税です。どのような時に消費税がかかり、どのような時に消費税がかからないのでしょうか。
今回は、海外取引と消費税の関係について説明します。

消費税の考え方

消費税は、国内取引と輸入取引について課されます。具体的には、国内で事業者が事業として行う取引で、対価を得て行う取引であり、資産の譲渡等を伴うものを言います。

事業として、というのは繰り返し、継続して行われる取引を言います。よって、例えば個人が生活用品をたまたまネットオークションで販売する行為には消費税が課されません。一方で法人が行う取引はそもそも事業をするために設立されているのですから、基本的に全ての取引について事業性があるとみなされます。

また、対価を得て行う取引ということで、見返りがない寄附金のようなものについて消費税が課されません。また宝くじなども対価を得て行う取引ではないので課税対象ではありません。これ以外にも、資産の譲渡というのは通常の物品販売や資産の貸付等が該当します。

輸入取引にかかる消費税

輸入取引には消費税が課されます。具体的には、保税地域から物品を引き取る場合に対応する消費税を支払う義務が生じます。この時、法人だけではなく、個人も消費税を支払う義務が生じます。

ここで、消費税の計算の基礎となる価格は、いわゆるCIF【Cost(価格) Insurance(保険) Freight(運賃)】価格に関税などの金額を加算した金額となります。ちなみに、CIF価格とは、通常の物品の価格に保険などの金額を上乗せした貿易上規定されている金額を言います。

なお、消費税の納税義務者は輸入品を引き取った人が行わなければならず、通常の仕入のように販売者が代わりに納めてくれることはないので注意が必要です。

輸出取引にかかる消費税

それでは輸出をした場合の消費税はどのようになるでしょうか。
輸出自体は国内取引ですので課税対象となります。しかし、輸出ですので購入者(最終の消費者)が国外の人となりますので、最終的に消費税を納付することができませんので、免税となります。

よって、輸出ばかりしている企業であれば最終的には消費税の還付が行われます。よく、大手自動車メーカーが消費税だけで数億の還付金があるという話がありますが、これは輸出が売上の多くを占めるため、支払い済の消費税よりも還付を受ける消費税の方が多くなってしまっています。

ちなみに、先ほどお話した通り輸出取引は本来課税売上となるため、課税売上割合を計算する際には輸出取引も含めることに注意してください。最近はソフトで計算するため自動的に計算されてしまいますが、自身で検算をする際に間違えないようにしましょう。

輸出取引にかかる消費税

国内取引かどうか

消費税がかかるかどうかは国内取引である必要があるため、対象となる取引について国内取引かどうかが重要となります。

例えば、日本法人であっても、海外支店から海外の会社に商品を売買した場合は消費税の対象外となります。また、日本の従業員が動いたとしても、海外にてサービスを実施する場合は海外での取引となるため、国内取引とはならず、課税対象外となります。

よって、法人格や誰が動いているかが重要ではなく、「どこで」商品やサービスが提供されているかが判断要素となります。

国外取引の判定

先ほど国内取引かどうかの例を挙げましたが、国外取引かどうかの判定は具体的に次のように分けられます。

まず、資産の譲渡又は貸付の場合は原則としてその資産が譲渡または貸付される時点でどこにあったかによって判断されます。

また、役務提供の場合は役務の提供場所によって国外取引かどうかが判定されます。例えば、旅行会社が添乗員を派遣したとして、海外のみの添乗であるか、国内の出発地から海外まで添乗しているかによって判定が異なります。

ちなみに、三国間貿易というものがあります。これは、例えば日本の法人が中国から直接アメリカに輸出をする場合に、物品が日本を通らず中国からアメリカに行くものを言います。この場合は国外にある資産を譲渡しているだけですので、課税対象とはなりません。

ここで、国内と国外双方にて役務の提供を行う時があります。例えば海外視察を請け負って、日本でレポートを提出するような場合です。契約上国内部分の売上高と国外部分の売上高が明確に分離されている場合は、それぞれ課税非課税を計算することとなりますし、これらが一体となってしまっている場合には、請け負っている企業の住所が国内であるか国外であるかで消費税がかかるかどうかが計算されることとなります。

まとめ

海外取引にかかる消費税は主に輸入取引となります。反対に輸出取引に関しては課税取引ではありますが、結果として免税となるため、消費税が還付されます。国内取引と国外取引の区別は割と間違えやすく、国内と国外両方にまたがる取引等は区分を間違えないようにしましょう。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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