企業の収益性を測る指標として上げられるのが「売上高利益率」です。企業が収益性を高めるためには、どの部分が足りないのか、もしくはコスト削減が必要なのかを見ていく必要があります。売上高利益率を見て、同業他社と比較することで企業努力すべきポイントがわかります。本記事では、それぞれの利益に応じた売上高利益率について解説します。
損益計算書上の利益の額を売上高で割ったものが売上高利益率です。
「利益」にどの利益を使用するかによって、以下の5つの指標があります。
いずれも「利益」が分子に来ることから、その値は高いほど良いとされます。
それぞれの利益率については、以下の記事でも解説していますので、併せてご一読ください。
次の項から順番に説明していきましょう。
売上高総利益率は、粗利率とも言われます。
売上総利益(粗利・粗利益)とは、売上から商品の原価を引いた利益のことです。
つまり、商品力によって稼いだ利益を知ることができるデータといえます。
売上高総利益率が高い場合、収益性の高い商品を持っていることを、低い場合は商品の主益性が低いことを表します。
商品の収益性は業界や業種によって大きく異なります。比較の際には同業他社平均や競合企業と比べて見た時に、売上高総利益率が低い場合は、収益性の高い商品を生み出す必要があるということです。
以下の記事でも解説していますので、併せてご一読ください。
営業利益とは、売上総利益(粗利・粗利益)から、さらに販売費および一般管理費(販管費)などの費用を引いた利益のことです。
つまり、企業の本業の営業によって得られる利益を表します。企業の収益性や経営管理の効率を見ることができる指標です。
売上高営業利益率は、高いほど営業活動が効率的に行われていることを表しますが、販売費や管理費を差し引くため、その数値は1~5%程度です。
また、売上高営業利益率は、企業規模が大きくなるほど高くなる傾向がみられます。
業界平均や企業規模で比べた場合に、売上高営業利益率が低い場合は、
販売費並びに一般管理費などのコスト削減を考えた方が良いでしょう。
経常利益とは、企業活動の中で得た利益のことを表します。
つまり、総利益や営業利益と異なり、営業外収益(受取利息・配当金など)を加え、営業外費用(支払利息など)を差し引いた利益です。
本業+主に財務的な活動によって得られる営業外利益を併せてみることで、企業全体の収益率を見ることができます。
経常利益については以下の記事でも解説していますので、併せてご一読ください。
本業以外の収入源が多い場合や、為替差益などが大きく収益に影響するような業種ですと、経常利益率をみてみる方が良い場合もあります。
売上高経常利益率も、売上高営業利率と同様に、企業規模が大きくなるほど高くなる傾向がみられます。
営業利益率が低いのに、経常利益率が高いとような場合は、本業以外の収益性が高いということになります。本業の競争力を高める努力や新たな商品開発が必要となるでしょう。
営業外収益については、以下の記事でも以下の記事でも解説していますので、併せてご一読ください。
税引前利益は、経常利益に特別利益を足し、特別損失を引いたもので、法人税などの各種税金を払う前の利益です。
固定資産の売却損や災害など、突発的な要因によって特別損失が大きくなり、マイナスになる場合は税引前損失ということもあります。
純利益は当期純利益とも言い、税引前利益から法人税や都道府県税など支払うべき税金を引いた利益です。全ての損益を統合して企業が最終的に稼いだ金額を表します。
企業の最終的な目標はこの純利益を高めることです。
ただ、不動産などの固定資産や有価証券の売買などで臨時に発生する「特別利益」に左右される指標でもあります。
業界他社との比較には、売上高営業利益率もしくは売上高経常利益率が使われることが多いです。
企業の財務諸表から売上高利益率は計算できます。業界やビジネスモデルによって求めるべき計算項目は変わりますが、これらの計算手法はどの企業でも必須の知識です!是非この機会に計算式の意味を覚えて実務で活かしましょう!