近年、内部監査アドバイザリーという職業に注目が集まっています。これは、企業や会社において従業員の不正が増加したことや、企業経営の向上などに関心が集まったことを背景に、内部監査の重要性が高まっていることを意味しています。
今回はその内部監査アドバイザリーについて、詳しく説明していきます。
「監査」という言葉は聞いたことがあっても、内部監査という言葉について馴染みのある方も少ないのではないでしょうか?
日本における監査は、大きく分けると「外部監査」と「内部監査」に区分することができます。
日本において、公認会計士が実施する「外部監査」が一般的に知られています。
外部監査には、「法定監査」や「任意監査」といったものがあり、さらに法定監査には、「財務諸表監査」と「内部統制監査」に分けられます。
一方、内部監査は外部監査と異なり、「任意監査」が主流となっているため、義務付けられておりません。そのため、企業・会社独自のルールに従って監査が実施されています。
日本において「一般社団法人日本内部監査協会」が存在し、内部監査について下記のように定義しております。
このように、内部監査は専門性を有するため、近年では専門職に特化した内部監査アドバイザリーが注目を集めています。
内部監査アドバイザリーとは、企業クライアントに対し、内部監査業務についての助言や提案を行うことを業務とする専門家のことをいいます。主に、監査法人に所属して活動をするケースが多く、外部監査をメインとする会計士とは異なり、金融機関や事業会社、コンサルティングファームなどの経験者が様々な知識を基に活躍できる職業でもあります。
内部監査アドバイザリーの仕事内容は、外部監査のように会計の知識を必須とするわけではなく、会計の知識がなくても幅広い知識を有することで即戦力になる可能性があります。よって、仕事の内容も多岐に渡ります。具体的に次のような業務があります。
国内の事業会社や金融機関向けに内部監査の提案や指導支援を行います。主に、金融機関や監査法人、会計事務所やコンサルティングファーム、シンクタンクなどからの転職者がそれぞれの経験を活かし、クライアントに対しよりよい「選択と決定」をさせるための内部監査指導を行うことを目的としています。
会計士や税理士が会計知識を生かし、クライアント企業の内部会計監査を実施します。外部監査は法定監査で義務付けられているものでありますが、内部監査として行う会計監査には、企業の状態を把握し、外部監査よりも具体的な数字を把握することで、現状の把握と検証を可能にします。会計知識は必須であり、企業の業種に応じた知識も活かすことで質の高い内部監査を実施することが可能となります。
主として金融機関における情報セキュリティやシステムインフラに対する分析・評価を実施する業務となっています。近年では、情報産業やITの発達により、企業が当分野に対する内部監査を必要としているクライアントが増加しているため、業務が増加している傾向にあります。難易度の高い業務となるため、IT企業などの経験豊かな専門家が活躍しています。
内部監査アドバイザリーとして働くために必要な資格として、日本においては「公認内部監査人」や「内部監査士」、「内部統制評価指導士」といった資格が存在します。これらの資格を取得することで、アドバイザリーとしての専門的な知識を有している証明にもなりますので、資格取得することで転職の可能性が広がります。
内部監査アドバイザリーの年収については、プロフェッショナルとしての専門家でもあり、年収は500万~という採用条件が一般的です。金融機関やコンサルティングファームなどの経験者であれば、1,000万円~といった条件も可能なようです。
近年の企業の変遷に伴い、今後、内部監査アドバイザリーは注目を集め、需要も高まっていくことが予想されています。転職をお考えの方、内部監査に関する就業をお考えの方については、この機会に内部監査についての知識の習熟、資格取得に努めてみてはいかがでしょうか?