経理で行われる原価計算とはどのような業務でしょうか。言葉から何となくは理解できると思いますが、業務内容はわりと複雑で高度なものが求められます。今回は経理担当として原価計算ができる強みと、企業にとっての原価計算の重要性について解説していきたいと思います。
原価計算とは、製品やサービスにかかった費用(仕入や給与、消耗品費、配送料など)を計算する方法です。
企業がモノやサービスを販売する際に、『売上』と『原価』があります。『売上』とはその商品、サービスの提供価格であり、『原価』とはその商品、サービスを提供するためにかかった費用のことです。
また、原価は「仕入原価」「役務原価」「製造原価」の大きく3つに分けることができ、仕入原価とは販売する商品の購入にかかった費用のことで、役務原価とはサービス業における人件費などのことです。
そして、製造原価ですが、これが結構複雑で簡単に言ってしまうと、その製品を製造する際に必要となった費用を全て合算したものです。
製品を製造するための費用とは、材料費の他にも設備費用や人件費も全て含まれてきますが、それぞれ計算をする際に、対象製品を製造している工場は単一製品を製造しているケースは稀で、ほとんどの場合は複数の製品を製造しているという点がその計算を複雑にさせます。
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経理は、以下のように実に多くの事務作業をこなす企業財政のプロフェッショナルです。
財務諸表の作成、商品価格の決定、原価管理、予算編成といった場面で、原価計算が行われます。
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販売価格から原価を引いたものが利益となり、販売価格を決める際にも当然に原価が大きく影響を与えますので、全ての企業にとって原価計算というのはとても大事になってきます。
特に、製造業にとっての原価計算はその企業にとって最も重要な仕事の一つと言っても過言ではありません。というのも、製造業の原価は外部的要因によって大きな影響を受けやすく、例えば原油価格の変動によって原料調達状況が変わり、他にも為替変動が原料の輸入価格に影響を及ぼします。これらの影響をいち早く数字として算出しておきリスク管理をするというのも、原価計算業務の大事な仕事の一つです。
原価計算は単純に原価を計算するだけの業務と考えがちですが、経営の意思決定や業績評価、財務諸表作成などに大きな役割を果たします。経営が悪化したときは、どこの企業でもまずは原価の見直しが間違いなく行われますので、その際に正しい情報を経営陣にいち早く提示でき、同時にコストの見直しまで考えられると一気にその会社にとって欠くことのできない人材となるでしょう。
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新たに試験が開始されるなど、原価計算スキルの需要は年々伸びています。少子高齢化で労働人口が減少している日本では、企業側はより一層生産性の向上が求められており、コストの見直しを考えたときに、原価計算というのは必須のスキル・知識となります。
日商簿記で言うと、簿記2級レベルの工業簿記の知識が必要となり、原価計算については簿記1級レベルの知識を持っていることが望まれます。
2018年4月から新たに「原価計算初級試験」の試験がスタートしました。40分の試験で試験会場にてWEB上で受けることができます。
日本商工会議所から公表されている出題範囲は下記のようになっています。
1、原価計算の基礎概念
2、利益の計画と統制
3、製品別(サービス別)期間損益計算
原価計算の基本的な内容が多く出題され、簿記2級の工業簿記と比較すると出題範囲も狭く合格率も高いため、経理初心者で簿記の知識があまりないけど、とりあえず原価計算について学びたいという方は勉強を始めるきっかけにちょうど良いでしょう。
製造業の経理では、原価計算は重要な業務内容です。その分対応できる人が少なく高待遇を狙えます。
例えば、あるペットボトル飲料を製造している工場があり、その工場は同時に他の飲料も製造していて、容器の大きさも様々なものに対応して製造しています。そうすると製品ごとに原料が異なってきて、さらに関わる人数も違うため、原価計算が複雑になるのです。
製造にかかった費用を分類し、さらに直接費と間接費にというものに分けて集計する必要があり、仕事の難易度としては高く、経理経験者でもなかなか対応できる人は少ないため、転職市場では非常に価値が高いスキルとなっています。
原価計算のスキル・経験は、企業からの需要がとてもあります。同じ経理職でも特に製造業で原価計算ができると、採用されやすくなるのと同時に年収アップも見込めます。
また、自分のスキルや経験が最大限評価される環境で働けるよう、転職を考える際には可能な限り情報収拾を怠らない努力が大事になってきます。例えば、原価計算の求人を見てせっかく入社しても、会社によっては原価計算にそこまで力を入れておらず、原価計算は必要最低限の業務内容で、それ以外の経理業務がほとんどになってしまったというケースも多々あります。せっかくスキルと知識があるのにそれを実務で活かすことができないと反対に自分の市場価値を下げてしまうことにもなりかねません。
原価計算業務の求人を見つけたら、ぜひその業務割合が全体のどれぐらいを想定しているのかについて確認することをおすすめします。
以上、経理における原価計算について解説してきました。原価計算は、内容が難しい分できる人が少ないです。しっかりと学んで実務経験を積むことで、経理職の人が転職を目指す場合に、大きな強みとなります。自分の経理キャリアに、原価計算を組み込んでみてはいかがでしょうか。
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