子供がいる場合、扶養控除をうまく活用することで課税所得を減らすことができます。
しかし、一体子供は何歳から扶養に入れることができるのでしょうか。
今回は、所得税の扶養控除と併せて、扶養控除と関連のある住民税の節税について解説します。
そもそも扶養とは、日常の生活面で経済的なサポートすることです。
そして、扶養義務とは、 親子や兄弟姉妹など一定の関係性のある人に対して親族が負う法律上の生活保障義務をいいます。
扶養には、所得税や住民税が控除される「税法上の扶養」と、保険証の交付や保険給付が受けられる「健康保険上の扶養」があります。
税法上の扶養に入った人を扶養親族といいます。納税者は扶養親族がいると、所得から一定の金額が控除される扶養控除が受けられます。
健康保険上の扶養に入った人を被扶養者といいます。健康保険料を納めていなくても、医療機関を受診や出産や死亡した際の保険給付が受けられます。
以下の4つの条件を満たすと扶養家族になれます。
6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。
※税法上の扶養では、内縁の配偶者は扶養範囲の適応にできません。
※所得税法では、戸籍上の配偶者のことを指します。
※また配偶者は、扶養控除ではなく配偶者控除が適用されます。
「納税者と生計を一にしている」とは日常生活に必要な生活費について常に納税者から援助を受けている状態のことをいいます。
納税者と同居している必要はなく、仕送りによって生活をしている場合には扶養親族扱いとなります。
したがって子供が進学のために一人暮らしをしている場合でも、親の仕送りで生活をしていれば、扶養控除の対象として認められます。
ただし、申告の際証明書類として,通帳の写し等の証明が必要になります。
子供がアルバイトをしている場合には、年間所得金額が38万円以下、又は給与収入のみの場合は103万円以下でなければなりません。
なお、この金額は、税金などを差し引く前の総支給額であって、手取り額でないことに注意してください。
納税者が個人事業主の場合に、家族が従業員として働き給与の支払を受けていると扶養家族になることができません。
扶養控除の額は子供の年齢によって変わります。
16歳未満の子供の場合には、児童手当が支給されるため扶養控除は適用されません。16歳に達した時点で初めて扶養控除が発生します。
子供が16~18歳の場合には、所得税の控除額として38万円、住民税の控除額として33万円が差し引かれます。
以前は、年齢に関係なく子供は扶養控除の対象になっていましたが、子育て支援策として児童手当が導入されたことにより、16歳未満の子供の扶養控除は廃止されました。所得控除という形ではなく、より直接的に子育て支援を行うことにしたわけです。
ただし、扶養控除が廃止されたのは所得税に関するものだけで、住民税については「非課税限度額」という特別制度が設けられていまます。そのため、扶養控除等申告書を記入する際住民税に関する事項については、16歳未満の子供の人数を忘れずに記載しなければなりません。
子供が高校生以上になりアルバイトを始めた時に気を付けなければならないのが、アルバイトによる収入金額です。所得38万(年収103万)超えると、親が扶養控除を受けられなくなり、子供本人が所得税・住民税を払う必要がでてきます。
12月31日の時点で子供の年齢が19~23歳の場合には、特別扶養控除という特別な控除を受けることができ、所得税の控除が63万円、住民額の控除が45万円になります。
この制度は、大学進学などでお金がかかることが多いため、税負担を特に軽減することを目的としています。
16~18歳の場合と同様に、所得額の控除として38万円、住民税の控除額として33万円が差し引かれます。
子供の扶養先として、税法上と健康保険上で同一にしなければならないとする法律上の規定はありません。
しかし、勤務先によっては同一にするよう求められることもありますので、会社に確認をすることが必要です。
両親とも所得がある場合、子供は所得の高い方の親の扶養に入れた方がいいでしょう。所得の高い人の方が所得税率が高く、その分節税額も大きくなるからです。
また先に書いたように、16歳未満の子供に対しては児童手当が支給されますが、扶養親族の数に比例した所得制限限度額が設けられており、所得制限限度額以上の所得がある場合は、月額5000円の特例給付がなされます。
そのため、子供を収入が高い方の親の扶養に入れた方が、児童手当の支給額が高くなる可能性があります。
健康保険の場合は、原則として被扶養者は年間収入の多い方の扶養に入らなければなりません。
夫婦がどちらも勤務先の社会保険に加入している場合は、子供は収入が多い方の扶養に入ることになります。
ただし、夫婦のどちらかが自営業者などで国民健康保険に加入している場合は、収入にかからわず、子供は給与所得者側の扶養に入れたほうがメリットがあります。
国民健康保険には扶養の制度がないため、加入する人数分の保険料を支払うことになるからです。それに対し健康保険は、扶養親族の人数に関係なく保険料は1人分で済みます。
先に書いたように、健康保険の場合は、原則として被扶養者は年間収入の多い方の扶養に入らなければなりませんので、扶養先を分けることはできません。
一方、税法上の扶養の場合は特に問題ありませんが、会社から統一を求められることがありますので、確認が必要です。
以上、下記4つの点について解説しました。
こうしてみると、子供は収入の多い親の扶養に入れた方が所得税の節税効果は大きいことがわかります。
今までなんとなく子供を夫の扶養にしていた人も扶養家族の仕組みをよく理解した上で、見直すとより一層の絶税効果が期待できるかもしれません。