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株主総会実施に向けてのスケジュールを解説します!

HUPRO 編集部
株主総会実施に向けてのスケジュールを解説します!

決算から3ヶ月以内に行うことになっている株主総会。 開催までの準備日数が限られているため、決算作業ともに、開催に向けた準備を並行して行う必要があります。 本記事では株主総会開催までのスケジュールと必要な準備について解説します。

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法律によって定められている株主総会開催期日

毎年6月になると経済ニュースで株主総会のことが取り上げられることが多くなります。 日本の会社は3月決算が多いためです。

これには2つの理由があります。

まず1つめは会社法によるものです。
毎年必ず行わなければならない定時株主総会は、会社法第296条によって「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない 」と定められています。
そして、会社法第124条2項により、「基準日(事業年度の終了日に設定されていることが多い)の株主名簿の効力は3ヶ月」となっているので、業年度期末日から3ヶ月を超える期日には招集できないからです。
もちろん3ヶ月以内であれば早いに越したことはありません。

もう1つは法人税法によるものです。
法人税法第74条により「各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。」とされており、本来の法人の確定申告は2ヶ月以内です。
つまり、決算を確定させるための株主総会も2ヶ月以内に実施しなければならないのですが、法人税法第75条により、「会計監査人の監査を受けなければならないことその他これに類する理由」がある場合には、申告書の提出期限を1ヶ月延長できる特例があります。
上場企業など会計監査などが入る場合はどうしても時間がかかってしまうため、申告の延長を申し出ることにより、定時株主総会の期限を1ヶ月延長して、3ヶ月以内の開催とするのが通例となっているのです。

こうしたことから、3月決算の会社が多い日本では、3月31日から3ヶ月以内の6月の下旬に株主総会が集中するという傾向があります。

株主総会実施に向けてのスケジュール

株主総会を無事に開催するためには、開催日から逆算してスケジュールを立てる必要があります。その開催日はどのように決まるのでしょうか?

3月決算の企業が多い日本では、株主総会の日程が6月下旬のある1日に集中することはよく知られています。これは意図的に行われているわけではなく、準備時間をなるべく長く取りたいという実務の都合の問題が大きく絡んでいます。

仮に株主総会が行われる日が期限ぎりぎりの6月30日ですと、もし1日で総会が終了しなかった場合に困りますので、余裕を見て、その前の営業日が採用されることが多いです。

しかし、その日が月曜日であれば、株主から郵送で送られてくる「議決権行使書」の集計について、土日を挟むと集計がもれたり時間がかかったりするため、その前の週の金曜日となることがあります。

2020年では、6月30日が火曜日のため、6月26日の金曜日が1年で一番株主総会の多い日になると予想されました。
近年は株主総会の日程が集中する事に対する批判も強まり、以前よりは分散化されてきましたが、それでもまだまだこの傾向は続きそうです。

それでは、株主総会に至るまでの流れを順を追ってみていきましょう。( )内に3月決算の場合のスケジュールを記載しておきますので、参考にしてみてください。

(1)基準日公告(3/15前後)

基準日を定めた場合その2週間前までに公告を行う必要があります。 予め時間に基準日の定めがある場合は不要です。

(2)基準日(3/31)

一般的な企業では事業年度末日が基準となります。例えば決算月が3月の場合は3月31日が基準日です。この基準日に名簿に記載されている株主に対し、株主総会での議決や配当金などの権利行使が認められることになります。

(3)計算書類等の作成・提出(4/末~5/上旬ごろ)

監査役・会計監査人に計算書類などを作成・提出します。計算書類等はいわゆる、財務諸表と呼ばれる次のものです。

・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書・個別注記表
・事業報告書ならびにそれらの附属書類

会計監査人非設置会社では監査期間は4週間、会計監査人設置会社では会計監査人による監査期間は4週間、 その後監査役会の監査期間は1週間と定められています

監査役から監査報告を取締役が受けた後、取締役会設置会社では、その計算書類等を取締役会で承認する手続をとります。

(4)株主総会の日程や場所、議案についての起案(~5/半ばごろ)

会計監査人・監査役にて、計算書類が監査された後には、取締役会で株主総会の日程や場所、当日の議案なども決定されます。

それに先だって、あらかじめ開催場所の決定や日程調整を行い、ある程度の候補を絞りこんでおきます。
株主総会の準備や運営は主に総務部門が事務局となって行うことが多いでしょう。

(5)監査役から取締役会に対し監査内容を提出・承認(5/下旬ごろ)

監査役が監査報告書取締役会に提出し、計算書類などの承認決議とあわせて株主総会の招集決議も行います
株主総会の日程や場所、当日の議案なども取締役会にて決定します。

(6)株主総会召集通知の発送(6/上旬ごろ)

株主総会の招集通知の発送は、電子・書面投票による議決権行使の定めがある場合は、株主総会の2週間前まで、非公開会社で電子・書面投票がない場合で定款において招集期間の短縮がされていなければ、株主総会日の1週間前までに発送します。

招集通知には、計算書類と事業報告、監査報告、議決権の代理行使を認めている場合には委任状を同封します。

(7)株主総会当日へ向けての準備(6/中旬~前日)

事務局においては、当日に向けての準備を進めていきます。
想定問題集の取りまとめや議事進行のシナリオ、質問状への対応についての短答決めや、当日の解答者を指名し、会場では設営と当日の状況に合わせたにリハーサルも行いましょう。

(8)株主総会実施後

株主総会を行った後は必ず議事録を作成しましょう。議事録は本店に10年、謄本を支点に5年、議決権行使の代理委任状を3ヶ月据置していきます。
株主総会の決議事項に登記事項の変更が含まれている場合は株主総会終了後議事録の作成保管の後、2週間以内に登記が必要です。

この記事を書いたライター

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