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税理士試験受験生向け会計税務オススメ書籍

税理士 井上幹康2019.12.12

税理士試験受験生の多くが専門学校を活用しており、専門学校のテキストや問題集で日々勉強していると思います。単に試験に受かるためだけであればそれでも十分ですが、今回は、試験勉強だけでなく実務も見据えた勉強にもなる会計税務のオススメ書籍について、私が受験した科目別に紹介し、解説していきます。

簿記論・財務諸表論受験生向けオススメ書籍

簿記論と財務諸表論の会計2科目は、多くの税理士試験の受験生がまず初めに勉強する科目です。そして、この会計2科目を同時に勉強されている方も多く、その場合には学習分量が多いので専門学校のテキスト以外に市販の書籍に手を出す余裕のない受験生も多いと思います。そんな余裕のない受験生でもこれだけは持っておいて決して損はない1冊がこちらです。

日本公認会計士協会,企業会計基準委員会(共著)『会計監査六法 2019年版』(日本公認会計士協会)
(この記事執筆時点では2019年版が最新ですが、毎年改訂されています。)

各会計基準の内容はもちろんですが、適用指針などもすべて網羅されており、専門学校のテキストに載っていない論点も必ずこの本には掲載されているはずです。

ただし、この本は非常に分厚くて重いので、使い方(読み方)としては常に持ち運んでどこでも読むようにするというよりは、自宅の本棚においておき、必要に応じて調べて読むようにした方が良いと思います。

また、もし持ち運びもしたいという方には以下の本がオススメです。

中央経済社(編集)『新版 会計法規集〔第11版〕』(中央経済社)
(この記事執筆時点では第11版が最新ですが、何年かおきに改訂されています。)

特に財務諸表論の理論対策で会計基準の暗記が必要になりますが、専門学校のテキストや暗記集は会計基準の中から特に重要な部分を抜粋したものであり、全てを網羅していません。よって、上記のような書籍を活用してその抜けている部分を埋めるように学習していくのが効果的だと思います。

また、実務的には会計監査を受けている上場企業の経理部の方であれば、監査法人の公認会計士と議論する前提知識を習得するためにも上記書籍は持っておいて損はないと思います。実際に私自身も上場企業の経理マン時代は上記の書籍をもっており、自社の経理に関連する部分は読み込んでいました。

法人税法受験生向けオススメ書籍

法人税法は税理士試験の各科目の中でも最も学習分量が多い科目です。そのため、専門学校のテキスト以外に市販の書籍に手を出す余裕のない受験生も多いと思います。そんな余裕のない受験生でもこれだけは持っておいて決して損はない1冊がこちらです。

佐藤友一郎(著)『法人税基本通達逐条解説 (九訂版)』(税務研究会出版局)
(この記事執筆時点では九訂版が最新ですが、何年かおきに改訂されています。)

法人税法の過去問では基本通達の知識をベースにした問題はよく出題されますが、受験生はこうした問題に対してどのように対策しているでしょうか?

法人税法基本通達はその数が膨大ですべて暗記するのは不可能でしょう。

従って現実的には過去問や答練などの問題を解く過程で出てきた基本通達くらいは最低限覚えるというのが普通に思いつく勉強法だと思いますが、そんな時に基本通達の本文だけでなく上記書籍で解説部分を読み込むことで理解の伴った知識としてより頭に定着しやすくなると思います。単に試験用に暗記した知識ではなく、理解の伴った知識になっていれば実務でも十分に生かせます。

私の使い方(読み方)としては、1ページ目から順番に読み進めるのではなく、必要に応じて都度辞書的に使うイメージです。

税理士事務所にお勤めの受験生であれば、上記書籍は事務所に1冊は置いてあると思いますが、ぜひ自分用に1冊もって置くことで仕事にも勉強にも役立つと思います。

消費税法受験生向けオススメ書籍

消費税法で出題されると点差が付きやすいのが国際取引の絡む問題だと思います。実際に輸出免税や非課税資産の輸出等に関する事例形式の理論問題や計算問題を苦手にしている受験生は多いのではないでしょうか。そんな国際取引の絡む問題が苦手な受験生にオススメなのがこちらの書籍です。

上杉秀文(著)『国際取引の消費税QA (六訂版)』(税務研究会出版局)
(この記事執筆時点では六訂版が最新ですが、何年かおきに改訂されています。)

国際取引が絡む消費税の取扱いに関する書籍としては、この本の右に出るものはないと思います。

内容はQA形式(一問一答形式)なので試験に近い感覚で非常に読みやすいです。私自身受験生時代はQAのうち6割程度を読み、理解するのが精いっぱいでしたが、時間が許せばすべてのQAを読み込んでおいて損はないと思います。

私の使い方(読み方)としては、問(Question)の部分を読み、自分なりに解答とその理由を思い浮かべたあとで解答(Answer)の部分を読み、自分の解答の方向性に間違いないか、重要なキーワードは漏れていないか確認していました。

消費税法の特に理論の事例問題で難易度の高い国際取引が出てもこの本を読んでおけば怖いものなしでしょうし、実務でも国際取引の消費税の取扱いを調べるにはまず初めにこの本をあたるとよいでしょう。

事業税受験生向けオススメ書籍

事業税受験生が理論・計算ともに十分に対策をしなければならないのは間違いなく外形標準課税でしょう。外形標準課税に関しては市販の専門書籍もいくつか出ていますが、その中でどれか1つ選ぶならこちらがオススメです。

山内和久(監修),木村佳嗣(編集),佐藤弓子(編集)『図解とQ&Aによる外形標準課税の実務と申告』(大蔵財務協会)

こちらの書籍の内容も、QA形式(一問一答形式)なので試験に近い感覚で非常に読みやすいです。

使い方(読み方)としては、最終的にはすべてのQAを読んだ方がよいと思いますが、あまり最初から最後まで順番にすべて読むと決めつけずに、自分の苦手論点や未学習論点のQA部分から先に読み始めて弱い部分を補強する感じで読んでいく方が試験対策としては有効かと思います。

おわりに

税理士試験の受験生の属性としては、既に税理士事務所で実務に従事している方だけでなく、全くの異業種で働きながら勉強されている方も少なからずいらっしゃると思います。

私自身も全くの異業種という訳ではないですが、はじめから税理士事務所で実務に従事していたわけではなく、上場企業の経理マンからのスタートでした。

特に学生の受験生や異業種で働きながらの受験生は、専門学校のテキストや問題集だけでなく、今回紹介したような実務書を読むことでより会計や税務の実務に関する知識やイメージが持てると思います。

最後に、この記事を読まれた方にとって何か1つでも得るものがあれば幸いです。

カテゴリ:コラム・学び

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