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役務収益・役務原価・仕掛品とは?サービス業の仕訳について解説!

Hupro Magazine編集部 剱持
役務収益・役務原価・仕掛品とは?サービス業の仕訳について解説!

役務収益とは、商品取引でいうところの売上のこと。売上に代わって、サービスの提供が完了したときに使われる勘定科目です。

基本的に売上の使用方法と違いはないため、売上の概念が理解できている人にとっては理解しやすい勘定科目となっています。

今回はこの役務収益について解説していきます。

役務収益とは?

役務収益とは?

役務収益とはサービスを提供した際の売上を指します。

役務収益は、比較的最近になって日商簿記2級の試験範囲に組み込まれた勘定科目です。試験を合格してしばらく経っている方は初めて目にする勘定科目かもしれません。

事業形態が商品取引のみの場合、会社で役務収益の勘定科目を利用する機会もないでしょう。

時代の流れに伴い、物を売り買いする商売の形ばかりでなく、サービスを提供・消費する商売の形が増えてきました。その流れに合わせた変更となります。

端的にまとめると以下の通り。

  • 役務とは、サービスのこと
  • 役務収益とは、サービスを提供した際の売上

役務とはサービスのこと

役務収益を理解する上において、まず「役務」とは何かを理解する必要があります。

役務とは、物として形のあるものを売るのではなく、「サービス」として形のないものを提供すること

サービスには、旅行・マッサージ・講座・遊園地・掃除・映画といったものがあげられます。どれも体験など物としての形のないものを提供しています。

例えば、異国を旅するという経験を提供している旅行。簿記実務検定試験に向けた対策を教える講座。部屋をキレイにする掃除。そのすべてがサービスとなります。

物は直接手で触れられますが、サービスは直接手で触れることはできません。簿記を勉強している方にはお馴染みの、有形資産・無形資産の考え方に似ていますね。

役務収益とはサービスを提供した際の売上

役務がわかったところで本題の役務収益に移ります。役務収益=役務+収益と文字に現れている通り、役務収益とはサービスを提供することにより得る収益。つまり、サービスを売った売上であると考えられます。

役務収益と売上の違いは、一言で言ってしまうと売るものが「サービス(無形)」か「商品(有形)」か、ということです。サービスを提供すれば役務収益に、商品を売れば売上となります。難しく考える必要はありません。

マッサージやエステといったサービスを提供した場合は役務収益、パソコンやコーヒーといった物を売った場合は売上となるのです。

役務原価とは?

役務原価とは、役務提供のために掛かった費用のこと

マッサージ技師の給料や講座の教科書など、サービスを提供するために使用された費用が役務原価となります。商品取引でいうところの売上原価です。

商品、サービスを提供するために掛かった費用と考えるとわかりやすいでしょう。

仕掛品とは?

役務原価となる前の費用は仕掛品勘定で仕訳を切ります。費用を前述した役務原価に繰り入れることができるのは、役務収益としてサービスの役務提供が完了したときです。

それ以前は、仕掛品勘定を利用することになります。開講前の講座のテキスト代や、ツアー旅行前の航空券代などが考えられます。

サービスとしてまだ提供が完了していないため、商品取引であるところの未完成品と考えられます。そのため、仕掛品勘定を利用することになります。

役務収益・役務原価・仕掛品の仕訳の流れを解説!【サービスの仕訳】

サービスの仕入れから提供まで一連の流れとして説明していきます。サービスの役務提供が完了するタイミングが一度でないもの。例えば通信講座やエステなど、1年間にかけてサービスの提供が行われる場合で考えてみましょう。

1年分の講座費用として120,000円を前金で受け取りました。この場合の仕訳は

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
現金 120,000 前受金 120,000

となります。

その後決算期を迎え、1年間の利益を計算しなければならなくなりました。その際、上記講座は3ヶ月分提供が終了していました。その場合の仕訳は

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
前受金 30,000 役務収益 30,000

となります。

同時に、講座のテキスト作成に1,000円を使っていたとすると、テキストを作成した際の仕訳が

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
仕掛品 1,000 現金 1,000

となり、決算時の仕訳が

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
役務原価 1,000円 仕掛品 1,000円

となります。

最後に、この講座にかかった費用はテキスト代1,000円だけであると仮定すると、単純計算でこの取引の利益は役務収益30,000円引く役務原価1,000円で29,000円となります。(実際は講師給与などその他支出が必要です)

まとめ

  • 役務収益:商品取引でいうところの売上
  • 役務原価:商品取引でいうところの売上原価

それぞれ提供するものがサービスか、物かという違いしかありません。どちらも一度覚えてしまうと簡単な勘定科目です。この機会にしっかり覚えておきましょう。

この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のライティングなどを担当。大学法学部法律学科卒業後、銀行にてエネルギーや金属など"コモディティ"の取引、司法試験を中心とした資格試験予備校にてWEBマーケターとしての記事ディレクションなどを経て現職。法令や金融、資格試験の知識も活かしつつ、分かりやすくもためになる記事の作成に注力しています!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェント「ヒュープロ」をご活用ください!
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