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法人事業税の損金の算入時期と仕訳の方法を解説

HUPRO 編集部
法人事業税の損金の算入時期と仕訳の方法を解説

法人事業税は、法人が事業を実施している事業所の所在地の地方自治体に納付する税金です。法人の所得が赤字などの例外を除いて、法人税や住民税とともに納めることになります。法人事業税は税金でありながら費用として計上できるのが特徴です。今回は、事業税の損金の参入時期や仕訳の方法について解説していきます。

法人事業税とは

法人事業税は税法上の事業税にあたります。事業税とは、地方税法の規定に基づいて個人や法人に対して課される税金の1種です。法人の行う事業や、個人の行う一定の事業に対して、その事業の事業所の所在地の地方自治体が課す地方税です。

事業税のうち、法人の事業に対して課されるものは「法人事業税」、個人の事業に対して課されるものは「個人事業税」と呼ばれるのが一般的です。厳密には、地方税法では同一の税目として扱われています。

法人税の所得の計算において、法人事業税は翌年の損金として算入することが認められています。税金でありながら、費用として計上できるのが特徴です。

法人事業税が翌年の損金に算入できる理由は、法人事業税の性質によるものです。所得ではなく事業自体に課税されることから、物税と同様に考えられることが理由です。

次に所得税においては、事業所得、不動産所得、山林所得、雑所得などの各種所得の計算において、事業税を必要経費に算入することが認められています。

法人事業税の税率

法人事業税が課される目的は、法人が事業を遂行するうえで利用している道路、港湾、消防、警察などの公共サービスについて、経費の一部を負担させるために課税されます。なお、法人の所得が赤字の場合は納付する必要はありません。

法人事業税の計算式は以下の通りです。

法人の所得 × 法人事業税率 = 法人事業税の額

法人事業税率は法人の種類、課税所得、事業開始年度、納付先の自治体などによって細かく分かれています。一般的な普通法人の場合、概ね3〜7%程度です。

例えば、東京都で資本金1億円以下の普通法人が令和1年10月1日以後に事業年度が開始する場合、法人事業税率は以下の通りです。

課税所得が400万円以下の場合は3.5%、課税所得が400万円超800万円以下の場合は5.3%、課税所得が800万円超の場合は7%

法人事業税の基本ルール

事業税の計上は、当該事業年度の具体的な納税額が確定したタイミングで行います。表示される箇所(主に借方科目)は、「法人税、住民税及び事業税」です。なお、消費税の区分としては、事業税は消費税の対象外として処理します。

税務上の取り扱いにおいては、事業税は本税、附帯税、利子税に分かれます。このうち本税と利子税については損金に参入しませんが、附帯税の一部は損金に参入します。

事業税の附帯税の種類には、納期限延長に係る延滞金、それ以外の延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金があります。

上記の附帯税のうち、納期限延長に係る延滞金については損金に参入します。それ以外の附帯税は参入しません。

法人事業税の損金算入の時期

法人事業税については、納税申告書を申請した年度が損金算入の時期になるのが原則です。更正や決定が発生した場合は、その分については翌年が年度になります。

例えば、令和2年3月に納税申告書を申請した場合、損金算入の時期は令和元年分になります。更正や決定があった日が令和2年3月の場合は、更正または決定にかかる税額については令和2年度の分になります。

法人事業税の損金算入時期については例外が重要です。申請年度の直前の年度分の法人事業税は、その年度の終了日までに全部または一部が申告、更正、決定に至っていない場合でも、その年度分の損金に算入することができます。

法人事業税の仕訳の例

法人事業税を具体的にどう仕訳すればいいのか、実務において多く発生するパターンごとに見ていきます。

法人事業税の仕訳の項目としては、借方科目とその金額、貸方科目とその金額、の2点が重要です。借方科目は「法人税、住民税及び事業税」であることから、一般に法人税、住民税、事業税の3セットで処理する場合が多くなっています。

仕訳の具体例として、まず当期分の納税額が確定し、法人税20万円、住民税15万円、事業税10万円となった場合の仕訳方法です。

次に、未払法人税等の勘定で処理しておいた先ほどの法人税30万円、住民税10万円、事業税6万円について、現金で納付した場合の仕訳方法です。

最後に、法人の中間申告(前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える場合)に伴って、法人税15万円、住民税10万円、事業税5万円を現金で納めた場合の仕訳方法です。

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