高校卒業後、フリーターの時期を経て、行政書士試験に合格し、現在は行政書士さい事務所の代表を務める宮城彩奈先生。行政書士を目指した経緯や、当時の試験勉強での苦労、そして、20代の女性行政書士として仕事をもらう上での心構えなどをHUPRO編集部が聞いてきました。
—行政書士を目指したきっかけや経緯を教えてください。
当時、地元の高校を卒業して、自動車部品関連の会社に正社員として入社しました。でも、社会人になっていきなり1日8時間を週5日働くことに耐えられず、試用期間の数ヶ月で辞めてしまいました。
入社前、就活は2週間で終わらせてその会社に決めました。結婚したらどうせ辞めるだろうなと思い、もともと長く勤める気もなかったですが、本当にすぐ辞めてしまいましたね。辞める際には、会社の人にはネイリストになるって言って辞めたのですが、結局ネイリストにはならず、そのまま、バイトを掛け持ちしてフリーターになりました。
そのときは、まだ18歳,19歳とかで、とにかく自由とお金を手に入れたいと思っていました。でも、同時にフリーターで稼げる限界というのを知って、どうしようかなと思っていたときに、たまたま同じ年齢の女社長がテレビに出ていて、何億も稼いでいるのを目にしました。
その人はアパレル関係の会社の社長さんで、モデルなどやりながら成功していたみたいですが、こんな生き方もあるのだなと思いつつも、自分のことを考えてみると、スキルも経験も資格もないなと思いました。でも、社長になって稼ぎたいと本気で思い、そんなときに、たまたま資格をいろいろ見ていたら行政書士の資格を見つけました。この資格を取ったら独立できて社長に近づけるんじゃないかと思い、目指すことに決めました。あとはこの資格取ることで、勉強できないと思っていた周りをびっくりさせたいというのも動機の一つでしたね。(笑)
—経営者ではなく、なぜ士業でスタートしようと思ったのですか?
大きく2つ理由があって、ひとつは士業の仕事は1人でもスタートしやすそうと思ったためです。あとは原価がかかるモノの仕入れがないため、リスクが少なそうと思ったのも理由の一つですね。その当時、資格ブームというのもあって、自宅で開業している人も多くいるというのを知って、これなら私でもできそうと思いました。
—ちなみに、もともと勉強好きの学生でしたか?
いえ、勉強についてはダメでしたね。高校受験の時はそれなりに勉強しましたけど、そのあとは燃え尽きてしまった感じで、高校生のときは全く勉強していませんでした。実際、通っていた高校では学年で下から5番目の成績で、授業の出席率も悪く、留年ぎりぎりの学生生活でした。部活でテニスをやっていたので、そのためだけに学校に行っていた感じです。
—試験勉強を始めてみて、実際どうでしたか?
そんな感じの学生生活を送っていたので、資格試験の勉強を始めてみても、まず参考書の漢字が読めなくて、法律用語は難しいし、本当に苦戦しました。
結果として、行政書士試験に合格するまでに4回受験しました。
1、2回目は試験勉強のモチベーションの保ち方がわからず、1回目は、ほとんど勉強せずに挑み、当 然落 ちました。2回目も同じような感じで、少しはやりましたけど全然ダメで、 3回目は少し焦りだして、本腰を入れたのですが落ちてしまい、4回目は本当にすごく勉強して、ようやく合格できました。
働きながらでしたので、家に帰ってきて21時までに食事とか家事など全てやることを済ませ、そこから寝るまでの夜中0 時とか1時ぐらいまで毎日勉強をしていました。あとは、通勤時間や仕事のお昼休憩の時間を利用して勉強して、土日は起きている時間はずっと勉強していました。
—行政書士になって何かやりたいことあったのですか?
いえ、独立したいという思いは強くありましたが、具体的にやりたいことは正直全くなかったです。行政書士が実際に何をやるのかもよくわからずに試験勉強をはじめました。当時は周りにも法律関係の仕事をしている人は全くいなかったので、本当に行政書士がどんな仕事をしているのかイメージも持てず、ただ、行政書士になれば独立できるということが強いモチベーションでした。
また、開業資金も貯めたかったので、予備校に行くこともせず、一人で黙々と勉強し、そして合格後はすぐに開業準備に入って実際に開業しました。
—最初のクライアントはどのような経緯ですか?
地元のたまり場で飲んでいたら、知り合いに紹介 してもらった人がたまたま建設 会社の社長さんでした。話を聞くと、新しい行政書士を探していたので、そのあと頂いた名刺を見て一応挨拶のメールをしたら、会いましょうということになり、結果、最初の取引先になりました。今でもお世話になっていて一緒にお仕事をさせて頂いています。
また、そのクライアントの会社規模が結構大きくて、当時はその会社の依頼内容をこなすのに精一杯という感じになりました。
最初の頃はわからないこともやはりあったのですが、その際は正直にクライアントに伝えて、 適当な嘘はつかないようにしていました。こっちがわかると思って専門用語などを言われて、わかったような態度を取っても、認識のズレが生じてしまい大きなトラブルになりかねないですからね。
—女性で20代の行政書士はなかなか割合が少ないと思うのですが、その面で良かったことや反対に苦労はありますか?
20代の行政書士の割合はなんと0.8%です。そして、女性は行政書士全体の15%しかいないので、20代で女性の行政書士というのはかなり少ないです。割合が少ないため、目立てることは確かにあるのですが、実際に仕事となると信頼を得なければならないので、ときには20代で女性という点で苦労することはあります。
性別や年齢で相手に 不信感や 不安を与えることがないように、信頼の面では特に気をつけています。例えば、スピードを意識 することです。当たり前のようですが、それを徹底してどこよりも早く対応 することで、信頼を得られることがあります。あとは、これも当たり前ですが、常にクライアントの立場に立って物事を進めるようにしています。役所がイレギュラーな要求をしてくることも多いのですが、役所からの要求についてそのままクライア ントに伝えるのではなく、必要な書類があったらなぜそれが必要 なのかをきちんと説明し、役所の言いなりで伝えることがないようにしています。
—行政書士の試験勉強では、何か特別な勉強方法はありましたか?
特別な勉強方法というのはなく、ただひたすら勉強するしかなかったですね。意識 したことと言えば、あまり手を広げ過ぎず、決まったテキストを何度も繰り返していたことぐらいです。
あとは、頑張った分のご褒美を自分に与えるようにしていました。私の場合は、月に一度友達と会うのをご褒美に日々頑張っていました。終わりが見えないと難しいですが、試験合格という明確なゴールがあったので、試験勉強を続けることに耐えることができました。
—4回目で合格されたとのことですが、途中で諦めようと思ったことはなかったですか?
途中で諦めようと思ったことは一度もなかったですね。
これが受からないと将来社長になれないと思って必死にやっていました。(笑)
いま試験合格を目指している方も、何か目指すものがあって試験勉強を始めたと思うので、途中で上手くいかないことがあっても、諦めないで続けてほしいと思います。私は4回かかりましたけど、せっかく目指したのならば、途中で諦めるのはもったいないと思います。
—士業の強みはどんなことだと思いますか?
何をやるにしても、資格がないよりはあったほうが相手からの信用を得やすいというのはあります。あとは、私みたいにやりたいことが分からず、でも独立したいと思う人には行政書士という資格はとても良いと思います。
頑張って勉強して、資格さえ取れれば、一旦はスタート地点に立つことができ、その資格で実際に何をやることができるのかについては、全て法律に書いてありますから。もちろんスタート地点に立ってからは、苦労することも当然あると思いますが、最初にも話したように、1人で開業でき、仕入れがないという点でも、とにかく独立のスタートがしやすい仕事だと思います。
私も行政書士の資格を取ることで独立できたので、今後は、まずは行政書士としての実績をしっかりと残しながらも、行政書士という資格を生かして、自分が興味を持ちやりたいと思った事業を展開できるキャリアを築いていきたいと思います。
本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。
今回お話を聞かせて頂いた宮城彩奈先生が代表を務める
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