国税庁・国税局・税務署は、税金にまつわる仕事をしているということでひとくくりにされがちですが、それぞれ違う仕事内容を行っています。本記事では、この3つの機関について、それぞれの違いを解説します。
昭和24年に創設された国税庁。その使命は「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達及び税理士業務の適正な運営の確保を図ることを任務とする」です。
国税事務を行う組織として、国税庁の下に、12の国税局と524の税務署があります。
つまり、国税局と税務署は国税庁の下部組織です。
国税庁は、財務局の外局であり、国税の賦課徴収を担当する行政機関です。
財務局の主税局で決めたルールについて、執行するための企画・立案や税務行政上必要な法の解釈を行い、統一した見解を示します。それらを実施していく部署が国税庁となります。
近年ですと、確定申告における e-tax や、税金納付手段をキャッシュレス化、マイナンバー制度への取り組みや、新しい税制の制度対応の仕組みづくりを行うなど、納税者サービスの充実と行政効率化のための取り組みなども行っています。
また、国税局と税務署を指導監督する業務も担っており、税務行政の代表者として、他の省庁との折衝も行っているのです。
部内の業務は以下のように分けられています。
長官官房は、人事、会計、厚生等、組織全体にかかわる管理事務を行うとともに、多岐にわたる税務行政全般の総合的な運営方針を企画・立案しています。
電子申告を始めとした情報システムの整備や管理、また外国税務当局との租税条約に基づく情報交換の実施や国際会議の参加なども長官官房にて行なっています
課税部は、内国税の賦課に関する事務の企画・立案、国税局・税務署の指導・監督、法令解釈の統一等を行っています。9つの部門に別れ、例えば個人課税化は所得税及び個人事業者にかかる消費税に関する担当、法人課税課は法人税、地方法人税、法人に係る消費税及び源泉所得税といったように、
それぞれの専門分野によって部門を分けています。
国税債権・債務の管理事務や滞納国税の徴収事務を担当しています。管理運営課では、租税債権の管理、国税に係る還付金等の還付、相続税の延納、物納の許可等、振替納税の普及などの事務についての指導・監督を担当、徴収課では全国の税務署や国税局が行う滞納国税の徴収に関する事務の指導・監督、法令の解釈・適用及び不服申立て・訴訟に関する事務を担当しています。
国税局調査部が行う法人税、地方法人税及び消費税の調査事務の指導及び監督を担当するほか、海外取引等の国際調査も行います。
組織図にある「税務大学校」は、財務省の職員に対する研修などを行う国税庁の施設等機関であり、本校のほかに全国に12の地方研修所が置かれています。
なお、納税者の不服申立ての審査を行う裁決機関である「国税不服審判所」は国税庁の特別機関です が、国税局や税務署などの執行機関からは分離されています。
国税局は、国税庁の地方組織であり、内国税の賦課徴収事務の一部を分掌させるため地方に設けた機関です。
管轄内の税務署を指導監督するほか、資本金が1億円以上の大会社など大規模な納税者についての徴収も行う執行機関となっています。
いわゆるマルサと呼ばれる「査察部」は、悪質な納税者や大口滞納者などを調査摘発する国税局の部署です。マルサが行う強制調査とは、税務調査の1つにあたり、大口で悪質な脱税を疑われる納税義務者に対して行われます。
通常の税務調査は事前通達がありますが、強制調査の場合は、証拠隠滅を防ぐため裁判所の令状を得て事前連絡なしにいきなり調査を行います。
そのほか、国税局には、外国企業の法人税消費税の調査を行う「調査部」や有名人著名人を専門に調査する部署もあります。
国税局の職員は専門的かつ高度な知識が要求されるため、税務署で経験を積んだ職員の中から選抜された職員が集められています。
国内には11の国税局に加え、沖縄国税事務所があります。
税務署は国税庁の地方組織であり、国税の賦課徴収を行う第一線の執行機関です。
私たちにとっては一番身近な存在ですね。
税務相談・各種届出書や申告書の受理を行う内部の部署と、税務調査を行う部署とがあります。
国税局で担当する大企業・著名人・大口滞納者以外の企業や個人がその対象です。
全国に524の税務署があり、国税局と同様、税別にそれぞれの部門を設けており、それぞれの部門では相談や調査も受け付けています。
国税庁・国税局・税務署は、いずれも税金に関係する国家機関ですが。組織によってそれぞれの役割が違います。
国税庁の役割は、財務局の外局として国税局と税務署の事務を指導監督です。
国税局は、国税庁の地方組織であり、管轄内の税務署を指導監督するほかに、大規模納税者についての賦課徴収を行っています。
そして、税務署は、国税庁の地方組織であり国税の賦課徴収を行う機関です。
機構の図を確認することで、それぞれの組織による役割分担と指示系統などの概要を理解することができます。