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金融、コンサル出身のCFOが伝える、選ぶのは会社ではなく仕事であるべき

HUPRO 編集部
金融、コンサル出身のCFOが伝える、選ぶのは会社ではなく仕事であるべき

京都大学卒業後、外資証券会社と戦略コンサルティング会社を経て、現在は株式会社WACULの取締役CFOとして活躍されている竹本祐也さん。普段大事にしている考え方や、転職の際の判断基準、業務での仕組み化の重要性など様々なお話をHUPRO編集部が聞いてきました。

外資証券会社でスタートしたキャリア

—大学生のときはどんな学生生活を送っていましたか?

大学は京都大学の経済学部に入りました。勉強はそこそこに、入学してサークル見学をしたのですが、あまり惹かれるものが無いなと思って、大学入学して1ヶ月も経たないゴールデンウィーク前にフットサルサークルを作りました。僕自身、サッカー経験は全くなかったのですが、フットサルがこれから流行るなと考えて、フットサルを選びました。やりたいことは「面白い組織をつくること」であって「面白い競技をすること」ではなかったので、そういう選び方をしました。当時、周りを見てもサッカーサークルはたくさんあっても、フットサルサークルはなかったのでチャンスだと感じ、立ち上げました。その時はちょうどFリーグができるなどフットサルが盛り上がり始めたころで、そういった外部環境にも支えられて、サークルは急成長し、今では京都大学では最大のフットサルサークルになっていると聞いてます。僕自身はフットサル自体には正直あまり興味がなかったのですが、そういった組織作り、組織運営が楽しくてやっていました。

—現在が3社目とお伺いしましたが、新卒のときはどのようにして会社を決めましたか?

就活の際は、当時、業界としては金融を第一志望に考えていて、加えて外資系ブームだったため、日系企業が就活解禁になる前の3年生の時に、とりあえず面接の練習がてらと思って外資企業を受けました。他には戦略コンサルティングファームなど流行りどころの企業を受けていました。
結果的に、ゴールドマン・サックス証券投資調査部に内定をもらい入社することに決めました。

—なぜ金融業界が第一志望だったのですか?

実は中学3年生から株式投資をしており、元々金融というものに興味がありました。
また、証券アナリストがレポートを書いて、それによって株価が影響を受けるのを実際に見ている中で、証券アナリストは会社名と併せて個人名も公表されるので、個人の力が重視されるのがいいな、そういったプロフェッショナルな仕事がしたいなと思い、その仕事に憧れを抱くようになりました。

—外資の証券会社はゴールドマン・サックス以外の企業は受けましたか?

いえ、外資の証券会社はゴールドマン・サックスだけです。実はゴールドマン・サックスだけエントリーシートが日本語でそれ以外の企業は英語でして、英語は苦手だったのでゴールドマン・サックスだけエントリーしました。

もちろん、実際の業務では英語で海外の投資家と話をする場面はありましたけれど、証券アナリスト部門は日本語でレポートを書いたあとに、プロの翻訳家や編集チームがちゃんとあったので、採用では自分自身の日本語力や論理構成力といった点を評価してもらえたようです。

—どのような仕事内容でしたか?

1年目は、下働きの環境でひたすら数字の入力作業や決算書を読んだりしていましたが、ちょうど9月にリーマンショックがありました。リーマン・ブラザーズとは同じオフィスビルでしたし、同じ外資証券会社が経営破綻して、自分たちは大丈夫かと、社内の雰囲気はもうギスギスしていましたね。実際にそこからリストラが起こり、会社の人数も確か半分ぐらいになりました。僕は1年目だったので、まだ守られていた立場でしたが、周りでは頻繁に起き、自分の身近なチームのシニアや若手がリストラされるのも目の前で見てきました。

そんなことがありましたが、その後3年目までは上司について業務をこなし、商社やメディア、インターネット関連などいろいろな業界に携わることができました。4年目で、シニアアナリストになり、鉄鋼チームのヘッドとして、鉄鋼業界を専門に担当するようになりました。ゴールドマン・サックスには約5年半勤め、その後、A.T.カーニーという戦略コンサルティングファームに転職しました。

金融、戦略コンサルでの経験からベンチャーCFOとして

—戦略コンサルティングに転職したきっかけをお伺いできますでしょうか?

もともと経営コンサルティングの仕事には大学で就活をしていた当時から興味がありました。また、証券アナリストという仕事はあくまでも会社の外部から評価をする評論家であり、会社を良い方向に変えるというのは難しいと実際に働きながら感じていました。そこで、もう少し経営にも携わることができるコンサルティング会社に転職することで、評論家からアドバイザーに仕事内容を変えることができると思ったのが転職のきっかけですね。

あと、ゴールドマン・サックスでは4年目から基本的に鉄鋼業界のみを担当していたのですが、自分自身テクノロジーにずっと興味があっため、転職を機に通信業界やテクノロジー業界の担当にゆるやかに移っていきました。

—会社が変わって仕事内容ではどんなことが変わりましたか?

A.T.カーニーでは、チームとして動くことが主で、また、アナリストの仕事と比べると期間限定のプロジェクトという時間の制約が多かった印象です。アナリストという仕事は小説家のようなイメージで、投資アイデアを思いついたら四半期に一度、その時々の投資環境にそったテーマレポートを出すという感じで、あまり時間制限がなかったのですが、A.T.カーニーでの環境では、次々とプロジェクトが変わっていくので、それをこなすのに必死でした。
最終的にはマネージャーまで上がれたのですが、コンサルタントとして仮説思考をはじめとする“頭の使い方”から構造化や論理思考、プロジェクト・マネジメントやチームの運営など、いかに最短距離でそこにある課題を解くかという経験をすることができました。

—今は株式会社WACULのCFOとして活躍されていますが、やはり過去の経験が生きていますか?

今のポジションはCFOのため、当然ファイナンスの知識は問われますけど、経営者としての考え方も必要とされます。ファイナンス責任者と経営者、その2つの視点が伴わなければ、ポジションとしては部長での採用でいいので、そういった意味では、1社目でファイナンス、2社目で経営を学べたというのはすごく良かったと思っています。

ベンチャー企業で求められる人物像

—WACULではどんな人が求められていますか?

弊社のプロダクトがデータ分析を自動化するサービスなので、社内でも“仕組み化”というのを大切にしています。“仕組み化”によって効率性や完全性、再現性に加え、スピーディーな行動が実現できるので、常にそういったものを追いかける姿勢を求めています。
また、経営陣4人が全員コンサル会社を経験しているので、何かに取り組む際には、決して勢いだけでなく、しっかりと論理性や根拠を示すことが要求されます。

—社内で大事にしている考え方としてどんなことがありますか?

社内、特にコーポレート部門では“サステイナビリティ(sustainability)” “スケーラビリティ(scalability)” “フレキシビリティ (flexibility)” の3つの考え方をよく伝えています。

“サステイナビリティ”の考えでは、ミスが起こらないために、ルーティン作業含め持続可能な仕組み作りを大事にしていこうと伝えています。
“スケーラビリティ”については、会社や事業がどんどん大きくなっていくので、早い段階から将来の成長を先読みして拡大できるようにしておくようしています。例えば、最初は5件の対応なら手作業でできるかもしれないけど、それが100件になったら手作業は厳しいでしょう。そうなっても対応できる仕組み作りを予め準備しておこうという考え方です。
“フレキシビリティ”は、新しいプロダクトが出たり、業務フローで今までのやり方と変わったりしたときに、その変化に耐えられるようにするという考え方です。もともと1パターンしかできないというようなことがなく、事前に変化にも耐えられる設計をしておくことが求められます。

—ベンチャー企業で活躍するのはどんな人だと思いますか?

主体性があり自分で考えることができる人ですね。
自分で考えて問題を見つけたときに、自分でその問題を解決するための仕組み化をしたり、解決フローを構築したりする力が求められます。また、それによって組織全体に良い影響を与えられる人が必要とされます。

—一般の事業会社で士業の需要はどのようなところにありますか?

知識が必要とされる業務は絶対にあるので、士業の方がいると安心しますね。
士業事務所出身の方から見ると、もしかするとベンチャー企業の社風などが合わないのではないかと考えるかもしれません。しかし、実際にはベンチャーの社風も若手中心のイケイケベンチャーから40代の人が中心の落ち着いた会社など様々です。
士業の方の知識はベンチャーでもすごく活かせるので、初めから自分に合わないのではないかと思わずに、少しでも興味があればぜひ飛び込んでみてほしいです。

会社ではなく仕事を選ぶべき

—キャリアについて聞かせてください。
新卒で、大手企業で働くべきかベンチャー企業で働くべきか悩んでいる人は多いと思うのですが、どのようにお考えですか?

私は、そもそも会社ではなく、「自分のやる仕事」と「一緒に働く人」を選んだ方が良いと思っていて、大企業やベンチャーという区切りはあまり意味がないと思います。
まず、「仕事」ですが、当然に自分がやりたい仕事、情熱を注げる仕事に就けるかどうかを見た方が良いです。入社したらどこの部署に行くかわからないのはリスキーだと思いますね。例えば新卒で、経営企画に携わりたいと思っても、全然違う部署に行く可能性があって入社するというのは勧められません。
そして「人」ですよね。新卒だと成長のためにはやはり学べる人がいないと厳しいと思うので、この人から学びたい!という優秀な人と一緒に働いた方が絶対良いと思います。

大企業の中には優秀な人は一定数絶対にいます。しかし、そういった素晴らしい上司を選べるかというとそうでなく、くじ運によるという危険があります。どの人に教わるかわからないので、ダメな上司の下につく可能性もあります。ベンチャーに行く場合は組織が大きくないので、入社したらどういった環境か、上司がどういった人になるのかは、確認しようと思えばできるので、優秀な人が決して多くないかもしれませんが、優秀な人がいることが確認できれば、その人と働ける可能性が非常に高いので、そういった確認をしっかりやった方が良いと思います。
私自身は新卒時にアナリストとして働く部署が決まっていて、コンサル会社行く時も当然コンサル業務をすることは決まっていました。そして、もちろん今もCFOとして、仕事内容は入社する前から決まっていて、ずっと会社ではなく仕事内容をベースに選んできました。

—中途採用の際に見ることはどんなことがありますか?

もちろん即戦力として今のスキルを判断することや、会社の行動指針に沿った人物かどうかというのは当然ですが、それ以外ですと、これから先に得たいと思っているスキルや物事に対する興味関心の高さ、仕組み化に対しての意識の在り方を見ています。
今後どういった力を付けられるかが大事で、興味関心が高ければ、これから自分ができることを増やし成長したいと思い取り組むでしょうし、仕組み化の意識があればより効率的に早く成長できると思うので、そういった伸び代を感じる人に是非それができる環境をどんどん提供したていきたいです。

バリュープロポジションという考え方

—ご自身で大事にされている考え方はありますか?

自分の価値は“人と違う”ところにあると思っています。
バリュープロポジションという、“市場から求められていて、他者にはできず、かつ自分にできるものに価値がある”という考え方があります。キャリアにおいては、いかにその“自分にしかできない人と違うところ”を増やせるかを意識すると、自分の市場価値が上がります。この考え方は私自身とても大事にしており、個人のキャリアもそうですが、会社の事業戦略を考える際にもよく用いています。

あとは、自分に対しても相手に対しても期待しすぎないようにしています。そうすることで期待を超えたときは当然嬉しいですし、ときには調子が悪い時があっても、仕方ない、そういう時もあるかと前を向けるようになります。皆人間なので、毎日を完璧にこなすのは難しいじゃないですか。上昇志向はもちろん必要ですが、長い目で見て着実に目標とするところに近づいている、そこに向かって成長している、そういうことが大事だと思っています。

—普段どんなことを勉強されていらっしゃいますか?

今は組織について勉強しています。
私は今までファイナンスや経営戦略、ビジネス戦略については前職も含めやってきました。ただ、今は事業の成長に合わせた組織の構築が大きな課題であり、今までそのような経験があまりなかったので、色々と勉強しています。
やはりベンチャー企業というのもあって、自分が経験したことがない組織を作ろうとしています。今の自分の経験が足りない部分については、知り合いに聞く、本を読んで学ぶなど、様々な追体験をしないといけないと思っています。

—将来のビジョンを教えてください。

5年後、10年後は明確に考えるようにしていますが、そのあとについては社会がどうなっているのか読めないところもあるので、なかなか難しいですよね。
今の目標は会社をマザーズ、そして東証一部に上場させることです。もちろん、上場させて終わりではなく、上場をひとつの手段として、会社としては社会に価値を届けて、そこで得た対価を次の価値に転換していくような、社会にとって価値のある優れたサービスを提供し続けることです。

—本日はお話を聞かせて頂きありがとうございました。

今回インタビューさせて頂いた竹本祐也さんが取締役CFOを務める
株式会社WACULのホームページはこちら
竹本祐也さんのツイッターはこちら


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この記事を書いたライター

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