資産を運用するために、投資信託を利用している方も多くいるのではないでしょうか。
投資信託を利用していると、繰上償還という言葉をよく目にするでしょう。
今回は、繰上償還とは?投資信託で繰上償還する理由とは?投資信託で繰上償還するデメリットとは?について解説していきます。
繰上償還というのは、信託期間が決定している投資信託において、決定した償還日になる前に償還したり、無期限の信託期間の運用が終わったりすることをいいます。
では、投資信託の繰上償還はどのようなときに行われるのでしょうか?
次のような注意書きが、投資信託の目論見書などに書かれているのを目にしたこともあるでしょう。
「委託会社は受益者にあらかじめ書面で通知するなどによって、投資信託を繰上償還するときがあります。」
このような注意書きの意味は、投資信託の規模が投資家が換金するなどによって一定のレベルを下回って、運用が効率良くできないと運用会社が判断したときなどに、あらかじめ設けていた期限、または無期限でも繰り上げて償還することがあるということです。
しかし、このようなときは、投資家として繰上償還に異議があれば、異議・反対を一定の期間のうちに述べることができます。
このように、小さいトータルの純資産額や受益権口数の投資信託は、繰上償還することがあるため注意しましょう。
また、投資信託によっては、一定の条件をクリアーしたときに繰上償還することがあらかじめ決められているものもあります。
このようなときは、一定の条件をクリアすると繰上償還が自動的に行われるため、投資家として異議を申し立てすることはできません。
投資信託の目論見書などに、繰上償還になる条件は書かれているため十分に確認しておきましょう。
投資信託の繰上償還というのは、初めに設けていた償還期日以前に投資信託の運用が終わることです。
例えば、投資家として、2019年10月20日に10年間の信託期間で設けられているとしましょう。
この投資信託の償還日は、基本的に2019年10月20日から10年間経った後の2029年10月19日になります。
繰上償還とは、この投資信託が償還日になる以前に償還されることです。
繰上償還は、ありえないことでは決してありません。
では、投資信託で繰上償還するのはどのような理由なのでしょうか?
最も一般的な理由としては、投資信託のトータルの資産額が小さくなることです。
これは、投資信託の目論見書の「信託契約の一部解約」で、次のように一般的に書かれています。
「委託者は、一部の信託契約を解約することによって、5億口を受益権の口数が下回るようになったときは、受託者と協議して、監督官庁にあらかじめ届出することによって、この信託契約を解除して、投資信託を終わらせることができます。」
なお、投資信託によって、この口数は違っています。
投資信託を選ぶときにトータルの資産額が小さいものは選ばない方がいいといわれるのは、小さい資産規模であれば分散投資が効率よく行えないためだけでなく、繰上償還のリスクがあるからです。
なお、繰上償還するときは、これを委託者は公告し、書面で受益者に対して知らせるようになっています。
なお、書面が受益者の全てに交付されると、公告されないときもあります。
では、持っている投資信託が繰上償還されると、どのようなデメリットが投資家にはあるのでしょうか?
資産運用の見直しが必要になることが、デメリットとして挙げられます。
投資信託を買うときに、余裕資金、収入、運用期間、リスクなど、いろいろなことを検討して選んだにも関わらず、繰上償還されると、運用を他の方法や他の投資信託で再度検討する必要があります。
また、利益が繰上償還される投資信託において出ていたときは、税金を利益に対して支払う必要があります。
金融商品の投資信託のようなものでは、税金を利益が確定したときに負担するようになります。
運用が続いていると税金を支払う必要がないにも関わらず、繰上償還されると課税されるようになります。
では、投資信託の運用で損失があったときはどうなるのでしょうか?
このときも、損失が確定されます。
相場が回復しており、運用をもう少し続けていると利益が確保できる可能性があっても、損失は繰上償還するときに確定して、マーケットがこの後いかに回復しても関係なくなります。
このように、投資信託で繰上償還するといろいろなデメリットがあるため注意しましょう。
ここでは、繰上償還、投資信託で繰上償還する理由、投資信託で繰上償還するデメリットについてご紹介しました。
投資信託を選ぶときは、繰上償還のリスクを避けるためにも十分に目論見書などを確認しておきましょう。