割賦基準が、平成30年度の税制改正によって廃止されました。
収益認識基準に新しく改正されたことによって、変わった項目の中でも、割賦基準の廃止は特にそれぞれの企業に大きな影響を与えます。
しかも、企業が上場していないときは非常に大切な項目であるため、十分に把握しておきましょう。
今回は、割賦基準とは?割賦基準が廃止された、法人税法上も割賦基準が廃止された、収益認識会計基準を適用するときの対応、収益認識会計基準を適用しないときの対応、について解説していきます。
割賦基準というのは、割賦販売における特有の収益計上基準で、利益を代金の回収あるいは回収期限が来ることによって算出するものです。
割賦基準は、割賦販売基準ともいわれています。
利益は、一般的に販売基準をベースにして計上されますが、その特殊性を考えて割賦販売においては基本的に代金の回収をベースにして計上します。
割賦販売のときは代金の回収に日数が掛かるなどのリスクがあるので、代金の回収日が来たことで売上収益を計上します。
普通の売上利益のときは、実現主義の基準をベースにして、サービスの提供や商品の販売で計上することができますが、割賦販売のときは、経費が対価の確定後からも掛かるので、代金の回収日を基準にします。
このような割賦基準を使うことによって、実際の資金の状況と帳簿上の収益の状況が違うというトラブルを防ぐことができ、企業経営をより安全に行うことができます。
割賦販売での収益計上に関しては、従来、販売基準の代わりに、割賦金の入金の日あるいは回収期限が来た日で売上収益になるという割賦基準も認められていました。
しかし、この割賦基準は、収益認識会計基準では認められなくなりました。
収益認識会計基準では、支配が顧客に移ったときに、企業の履行義務が満たされると考え、基本的に、収益を支配が移って履行義務が満たされたときに計上するので、資産の引渡しのときが割賦販売での支配の移転であるため、割賦基準は認められなくなりました。
割賦基準は、平成30年度の税制改正によって廃止が決まりました。
公平に課税するという観点から、法人の全てについて廃止されたと考えられます。
廃止されたことによって、経過措置が次のように講じられたことに注意する必要があります。
つまり、長期割賦販売などに当たる資産の販売などを平成30年4月1日前に行った法人に関して、令和5年3月31日までに始まるそれぞれの事業年度について、収益の額と費用の額を現行の延払基準によって算出ができると同時に、平成30年4月1日以降に終わる事業年度について延払基準の適用を止めたときの繰延割賦利益額を均等に10年で計上する経過措置が行われました。
所得に対する影響を、廃止することによって緩和するためであると想定されます。
なお、繰延割賦利益額を均等に10年で計上するのは、その資産に関係する未計上費用額を未計上収益額がオーバーするときと決まっています。
強制適用時期から収益認識会計基準を適用するときは、令和3年4月1日以降に始まる事業年度の期の当初からになります。
延払基準の適用を、令和3年4月1日以降に始まる事業年度から止めることが考えられます。
このときは、10年均等で前の事業年度末の未計上収益額を益金に算入して、10年均等で前の事業年度末の未計上費用額を損金に算入するようになります。
しかし、影響を会計上の損益に与えてはいけないため、申告調整によって所得額に益金と損金の算入を反映するようになります。
収益認識会計基準を適用しないときは、令和5年3月31日までに始まるそれぞれの事業年度に関して収益の額と費用の額を現行の延払基準によって算出することができます。
しかし、延払基準の適用を平成30年4月1日以降に終わる事業年度のいずれから止めるかは自由です。
どの事業年度で止めても、延払基準の適用を止めた事業年度以降のそれぞれの事業年度において、10年均等で前の事業年度末の未計上収益額を益金に算入して、10年均等で前の事業年度末の未計上費用額を損金に算入するようになります。
収益認識会計基準を適用しないときは、基本的に監査を監査法人で受けている企業やグループ企業でないことが考えられます。
10年均等の益金と損金の算入に関しては、会計上の損益に申告調整によらず反映しても問題ないと想定されます。
ここでは、平成30年度の税制改正によって廃止された割賦基準についてご紹介しました。
割賦基準が廃止されたことによって、収益認識会計基準を適用するときの対応と適用しないときの対応はそれぞれ違っているため注意しましょう。